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Day 7 脳内にエルビス・コステロ 両耳にシャカタク

2023年9月9日。
今日も快晴のロンドン。ベッドを降り立ち上がるとふくらはぎが痛い。やはり昨日は歩き過ぎた。ごく軽い肉離れをおこしているかも知れない。湿布をもらう。
この日の予定で決まっているのはハンプトンで行われるシャカタクのライブだけだ。少し足を休めよう。

1日目のパリの出来事を回想しながらメモを書いていく。朝食を用意してもらい、午前中はのんびりすることにした。お話を楽しんだりしながら昼過ぎスパゲッティの昼食をご馳走になり、出かけることに。

実はラーメンよりも大好きなパスタ

映画「ノッティングヒルの恋人」。ロンドンはノッティングヒルを舞台にする逆シンデレラストーリーのラブコメディと言ってもいい楽しい映画だ。この映画はロンドンが舞台と言うこともあるが、ヒュー・グラントの素朴さジュリア・ロバーツの可愛さがが好きだ。妻とのデートで観たのも良い思い出だし、レンタルビデオでも借りて観た。この映画のロケ地巡りをした後に、シャカタクのライブに向かうということは、これまたきっと素敵な思い出になるだろう。

いつものようにベーカルーラインで中心地へ向かおうとするも、同じ線路を共有するオーバーグラウンドと言う新しい路線でユーストン駅に出て、ユーストンスクエア駅からハマースミス行きの電車で行くのが良いらしい。事実、新しい車両が導入されている路線はエアコンが効いている。1991年には走っていなかった路線だ。

ユーストン駅に着いたオーバーグラウンド

しかしベーカルーラインなど古くからの車両で運行される路線は夜でも暑い。いやかなり暑い。このハマースミス行きの路線もエアコンが効いていて快適だった。
何も旧型のチューブ(地下鉄)に文句がある訳ではない。そもそもロンドンはこれほど暑くなることはなかったし、近年の異常な高温、そして晴れ男の私のせいだ。悪いのは全て私だ。旧型車両が通る地下鉄の穴を広げることは出来ず、旧型車両にエアコンを取り付けたら、車内はとても狭くなり、身長の高いイギリス人は窮屈で仕方がないだろう。

ラドブローク・グローブ駅で下車。ノッティングヒルへのアクセスはノッティングヒル・ゲートと言う別の路線にある駅もあるが、今回はこの駅から、ポートベッロ・ロード・マーケットを楽しむ。かつて来た時には食料品や骨董品を中心に目や胃袋を楽しませてくれていたが、現在はお土産店が多い感じだ。

ノッティングヒルのポートベローマーケット
美味しそうなフルーツも並ぶ

楽しいコメントが書かれた動物たちの絵手紙を見つける。1枚で3ポンド、4枚なら10ポンドだと言うところを6枚で15ポンドにしてもらい、家族、親、兄弟へのお土産とする。

どれもかわいく、迷ってしまう
結果、選んだのはこの6枚

すると生牡蠣をその場で剝いて食べさせる出店を発見。1つ3ポンド、4つで11ポンドの表示。

か、牡蠣だ〜!!

ここを訪れたタイミングは在庫一掃セールなのか6つで10ポンドと言う。生牡蠣に目がない私。アイルランド西海岸の牡蠣は海水の塩味を感じる小ぶりながらも美味しい牡蠣だ。

小ぶりな牡蠣だが旨味は充分

隣に立つ女性はドイツから来て今はイギリスに住んでいると言う。片手には、白ワインが注がれたグラスが。きっとこの上ないマリアージュだろうが、いったいどこから持ってきたのだろう。羨ましい。

生牡蠣を平らげたら、今度は映画ノッティングヒルの恋人のロケ地巡りだ。
まずは、映画の中で二人がぶつかり、オレンジジュースで服を汚してしまう交差点。

私ももここで
ジュリア・ロバーツとぶつかりたい

主人公の住む家の設定の玄関は、通称ブルードアと呼ばれている。

このドアの前に記者たちが殺到したのだ

主人公の営む旅行者向けの本屋(実在する本屋で映画のような旅行専門の本屋ではない)。

ノッティングヒルブックショップ

こっそり忍び込むプライベートパーク(近所に住むカギを持っている人しか入れない公園)を訪れ、脳内には映画の主題歌のエルビス・コステロが歌うSHEが流れる。

中を覗き込む人が多いのだろう
今は鉄板が貼られている

花屋を覗くと、9月だというに大好きな紫陽花の切り花が売っていた。街中を歩いていて、何度か紫陽花には遭遇した。最近は忙しいことを理由に離れたが、昔は草木を育てるのが大好きだった。

紫陽花の切花が
街中に額紫陽花も見つけた

日本食料品店を覗いてみる。日本の食材に混じり、韓国、中国の品物も並ぶ。店名は一休。一休さんのような子供のお坊さんのキャラクターも描かれている。日本人っぽい経営者がいたが、いらっしゃいとも話しかけてこないのは日本人経営ではないのかも知れない。

こんな感じのお店
お菓子からカップ麺、調味料まで色々

ノッティングヒルを後にし、地下鉄に乗車。ハマースミス駅で乗り換えリッチモンド駅へ。

リッチモンド駅から
ハンプトン駅まで向かう国鉄

ここからは国鉄でハンプトンへ向かう。途中キングストン駅でスイッチバックしてハンプトン駅へ向かうのだが、ここで何を勘違いしたのかグーグルマップでルートを再検索すると、今乗っている電車が30分停車しているような表現。ずっと我慢しているトイレを探しに下車したら、すぐに電車は出発してしまい下車したことを後悔する。そしてホームにあるトイレはクローズの表示で、聞くと駅内にはどこにもトイレは無いという。
諦めて次の電車が来る30分間、またまたこの旅の記録の筆を進める・・・いや、スマホのキーボードをタイプする。

乗り直しの電車で無事にハンプトン駅に到着。

かわいいハンプトン駅の駅舎

歩いてすぐのハンプトンハブ。

ハンプトンハブの外観

100人も入ればいっぱいとなるライブハウスの開場は19時。19時10分に到着するも最前列の3つの丸テーブルはすでに埋まっていて、2列目となる丸テーブルを確保出来た。イギリスのラガービール、フォスターをバーカウンターで注文し開園20時をワクワクしながら待つ。

フォスターで喉の乾きを癒やす

チビチビ飲む飲むビール、BGMとして流れてくる耳に馴染んだ歌たち。心の中で「この歌がここでかかるか〜!!!」と大興奮。
この時客数は20人ちょっと。アジア人、とりわけ日本人はこの自分1人だ。ここまでライブを観に来るヘンな日本人はきっと自分1人だろう。
ビールとBGM。興奮する気持ちを話す相手がいないのだからついついグラスを傾けてしまう。そして興奮する訳は距離。昨年行ったビルボードライブ横浜の公演の演者との距離は30メートルくらいだだっただろうか。今眼の前のステージまでの距離は、10メートル。
開演5分前。2杯目のビールはこれ。爽快感がたまらない。

ビッラ・モレッティ
ほんのり苦みがあるイタリアのビール

予定の開演時間の20時。60人から70人といったところか。

ん?始まらない。30分が経過。ずっと続くワクワク感。チビチビ飲みながらも減るビール。会場はほぼ満席になる。
20時52分照明が落ちる。

21時!いよいよ中学生の頃から大好きだったシャカタクのライブの始まりだ!開演時間を間違えてた。20時半であったので、30分遅れだ。

ステージ前のダンスフロアでは、踊るのも自由

サード・アルバムのタイトル曲、Invitationからライブは始まる。ダンスフロアで踊るもよし、じっくり聞くのもよしだ。初期のナンバーを含め前半8曲。ファーストステージは45分で前半終了。
休憩を挟んで後半戦がスタートする前に帰りのルートを調べてみる。電車だけで帰るには、ここを22時30分には出なければならない。それ以降はバス3本乗り継ぎだ。
15分後なんて言ってたけど、なかなか出てこないメンバー。ちゃんと戻れるか心配だが、ここはもう出たとこ勝負!お酒を飲んているからこそバスを乗り過ごしたり、乗り換えミスをしないか心配だが・・・。

後半のステージが始まる。

ドラムとベースのソロから始まり、馴染みの歌が演奏される。ライブは最高潮を迎え、きっとここはナイトバーズだろうと、ダンスフロア、ステージ最前列のビル・シャープの前に陣取る。きっと今まで何千回と聴いたこの歌を眼の前1メートルで聞く、観る。ガラケー時代から私のスマホの着信音はこの歌、ナイトバーズだ。

ビル・シャープの奏でるナイトバーズ

左の耳の横には大きなスピーカーが。音がキンキンするほどだ。ここまでエキサイトしたのはいつ以来だろう。後半7曲。ボーカルのジル・セイワード、キーボードのビル・シャープ、ベースのジョージ・アンダーソン、ドラムのロジャー・オディール、復活を遂げたギターのキース・ウインター、コーラス、サックス、フルート担当のジャッキー・ヒックス。素敵なライブをありがとう!

セットリスト

前半
Invitation
Easier said than done
On night like tonight
Takin' off
Street walkin'
City rhythm
Chi Chi Castanengo
Hypnotised

後半
Bass and Drums solo
To be loved 
Summer sky
Dark is the night
Day by day
Night birds
Down on the Street

お帰りなさい
キース・ウインター

さて、まだ夢を見ているような気分だ。電車は全て終電が去り、23時13分ハンプトン発、3本のバスに乗り継ぎ、約2時間かけて戻らなければならず、うっかり寝過ごしたら大変だ。なのでライブの後半はお酒なしで、持参したペットボトルの水で酔いを覚ましながら帰る。まあ酔いと言ってもたかたか2杯なのだが油断は禁物だ。

路線名に「N」が付くのは深夜バス

1本目と2本目の乗り継ぎに本来6分あるはずなのに、1本目の遅延と2本目の早発で走ってギリギリ間に合った。いや間に合わずに動き出したバスを前方から走りながら手を振る。すると停車し乗車させてくれた。助かった。逆に2本目から3本目に乗り換えの際、遅延で15分ほど待たされると言うことに。何より無事に戻れてこれでホッとした。おつまみと黒霧島にこの日も癒やされた。毎晩Yasukoのご主人と晩酌。楽しいひと時だ。

黒霧島よ〜
今夜も〜
ありが〜と〜お〜!


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