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優しい言葉だけ覚えればいい

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日々の雑記と台湾で覚えた優しい中国語を紹介します。
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記事一覧

優しい言葉だけ覚えればいい(第十二次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第十二次)

人それぞれによって、思い出のある言葉には辞書にない意味がある。経験してきたことが意味を持たせていく。

例えば、東京という地名の持つ意味は、東京生まれの人と、東京に何かしらの憧れや夢を持って出てきた人とでは、重みや含むものが違う。故郷を捨て、東京で出会った人を心から愛したなら、「きみは、ぼくの東京だったよ」という言葉は「きみは、ぼくの全てだったよ」とイコールになる。説明してしまえば陳腐なそれを、た

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優しい言葉だけ覚えればいい(第十一次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第十一次)

理由もなく淋しくなる時がある。
淋しくなるということは、持っていた何かを失った時なのだろうけれど、何を失ったか分からない時もある。
気づかなければ、淋しくなることもなかったのに、誰かが持っているものを見てしまったせいで、自分が持っていてもおかしくなかったはずのものを失った気持ちになることもある。

この淋しさの対処法は、あまり多くはない。そのひとつは失うのは悪いことという考えを捨てること。
日々、

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優しい言葉だけ覚えればいい(第十次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第十次)

なるべく効率よく。でも効率を最優先にすることなく。無駄な努力をせず。でも無駄を愛しつつ。
そんな両立を言葉で言うのは簡単なことだ。

バランスを取る、なんて言葉で片付けることはなんて無責任なんだろう。バランスを取ろうと必死になることは、バランスを崩していることに等しい。大切なのは、白と黒の比率を同じにすることじゃなく、白にも黒にもなれるように常に動いていること。そのための余白をもっていること。だれ

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優しい言葉だけ覚えればいい(第九次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第九次)

難しくする方が簡単だ。つくづくそう思う。
間違っていないことよりも分かりやすいかどうか。小難しい言葉よりも、たどたどしい幼稚な言葉が伝わることもある。

でも、簡単か難しいかよりも伝わるかどうか、となると、誰に伝えたいのかということになる。相手をよく知っているつもりでいても伝わらないこともある。よく知らない相手だからこそ、受け入れやすい言葉もある。たどたどしい幼稚な言葉が許される立場だからこそ、届

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優しい言葉だけ覚えればいい(第八次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第八次)

ワクチンを打って、少し熱が出ている。肩と首にかけて倦怠感を感じながら、この文を書いている。
体調を崩すのは4月ころに一度気管支炎になって以来。なんだか体調が悪いときは、部屋の空気も淀んでいるようで、早く外の空気を吸いたい気持ちになる。元気な時は外に出ないのに。

保重
お大事に

「大事」に「お」をつけると、見舞いの意味を持つようになったのは、いつ頃からなんだろう。丁寧にするための「お」が付くと別

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優しい言葉だけ覚えればいい(第七次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第七次)

「伏線回収がすごい」というフレーズをよく目にする。作り手にしてみれば、難しいのは回収ではなく隠すことだろう。結果が決まっているなら、それは動かしようがない。でも何を伏線として見せるか、どうすれば伏線と思われずに自然に見えるかは、気を付けなければ台無しになってしまう。隠さないなら、それは伏線ではない。

ある映画のレビューに「最後こうなるなら、その伏線を張っておくべきだ。」とあって悲しい気持ちになっ

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優しい言葉だけ覚えればいい(第六次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第六次)

どうせイントロを最後まで聞くこともなく止めるのに、アラームの音を好きな曲にした。それでも、と思う。たとえイントロだけでも、そこから好きな歌を口ずさむところまで自分を持っていくことができるのは大きい。だってスタートを切ることが一番難しい。スタートさえ切ることができれば、後はどうにでもなる。

毎日、一日一枚描く、ということをやめた。7年くらい前だろうか。それでも一年で100枚以上は描いているようだ。

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優しい言葉だけ覚えればいい(第五次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第五次)

新しくホームページを作りなおしました。

Twitterのプロフィールのリンクは少し前から変えていたので、気づいた方もいるかもしれません。小さなことに気付きつつ、小さなことは気にせずに、ぼくらは生きていかなきゃいけない。

以前使っていたホームページサービスが終了してしまって、長く作品を投稿していたtumblrに切り替えたのに、ログインができなくなってしまい、ホームページでは新しい作品を更新できず

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優しい言葉だけ覚えればいい(第四次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第四次)

前回の復習。

我很高興跟你聊天
お話できて嬉しいです

2019年に台湾で展示をした時、来てくれた人となるべく向こうの言語で話したいと思っていたのだけど、会話の締めくくりの言葉があるとよいと思って教えてもらったフレーズ。内容がどうあれ、別れ際さえスムーズなら笑って手を振れる。

ある二人連れが、ずっと絵を見てくれていたので声をかけた。台南からきたと言うので、まだ台南には行ったことがないと言うと、

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優しい言葉だけ覚えればいい(第三次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第三次)

少し前に「シンプルに生きるとは残酷なことだ」と書いた。

ものを増やさずに、手に入れ、そして手放す。どういうことだ?と考えた結果、なるべく形に残らないものにお金を使うことは良いことなのだ、という結論になった。例えば、メンテナンスに十分なお金を使うことも、シンプルに生きることと矛盾しない。
人との食事。ひとりの食事ももちろんそう。
映画を見ること。
旅。

形のないものにも「大切にできることと、いつ

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優しい言葉だけ覚えればいい(第二次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第二次)

見たことのない景色を見せてくれていたはずのTwitterやInstagramも心地よさよりもつらい時間の方が増えてしまって消した。
フォローを減らして、たまに見るだけにしたらだいぶ気持ちが軽くなった。いっそのことゼロでも大丈夫な気がしている。繋がっていたい人とは別のところで繋がっていればいいから。

“繋がるくらい 実は簡単だ
離れること でもこれは面倒”
という歌が脳内に時折流れてくる。
そう、

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優しい言葉だけ覚えればいい(第一次)

優しい言葉だけ覚えればいい(第一次)

2021年もあっという間に1ヶ月終わってしまった。
目の前のことをがむしゃらにやっているだけで日々は過ぎていく。
2019年は、春前の東京と台湾での展示に始まり、10月には鳥取での展示。
6月と11月にも台湾に行くという、信じられないほど動いた一年だった。
そして2020年は、東京から一歩も出ていない。

自分の鬱屈とした気持ちをなんとか外に向けて保つのに、色々なことを試しても試しても、目の前の景

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