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演劇ドラフトグランプリ2023

今年も演劇の祭典を現地で見届けてきました!

前回よりもはるかにレベルが上がっていて、「20分」という時間でいかにわかりやすく、簡潔的にするかが徹底されていた気がします。
今回は考察物がなく、1度見ただけで公平に審査できるのは本当にありがたかったです。


劇団『びゅー』/天へ熊を招く(てんへわざをおぐ)

演出:松崎史也/テーマ:天気


前回は「地図」というテーマで「天を推し歩く」で伊能忠敬が題材の作品でした。誰もが知っている歴史上登場人物で、ユーモアと感動をもらい私もここに投票したくらいでした。

今回も「日本書紀」を題材に神様たちのお話で「天」という文字を入れたタイトル。ここから既に粋だなと感じました。
松崎さんが演出する「家族」「暖かさ」「困難を乗り越える様」がこの作品にも感じられ素敵なお話でした。

特に驚いた演出は、スクリーンでアップにされることを見越してタブレットを使った演出。
さらに、大道具が使用できないということで”テント”を使用して天岩戸を再現していたことですね。会場も思わず拍手喝采でした。

高野くん=ダンスって部分も今回は演出家も違うしないのかなと思いきや、前回とは違う形で生かされていてとても良かったです!

唯一、個人的に残念だったのがラストが締まりきっていなかったことかな…
おそらくあえてジングルを入れない演出だったんだろうけど、照明落ちるタイミングも微妙で「本当にここで終わりかな…?」と客席が戸惑っていたのがもったいなかったなと思いました><


劇団『国士無双』/君だけの宝物

演出:中屋敷仁/テーマ:宝物


中屋敷さんといえば怒涛に浴びせられるセリフと脚韻。
今年も期待していましたが違う方向できたので、ここで既にサプライズでした。

今年も掴みが最高でした。
宝箱を持って出てきた時、どんな宝物が出てくるのかと思ったら空っぽ。
サンタとトナカイ。クリスマスの夜、子供たちへプレゼントを届けに行く単純なストーリーでなくシリアスな展開に、想像より重くどんな結末が待っているのか目が離せませんでした。
起承転結が分かりやすく、とても好みでした。

ただシリアスだけでなく、所々入れてくる笑いも最高で、鳥ちゃんと鯛ちゃんのトナカイもとってもキュートで可愛かったですw


劇団『品行方正』/愛のシンクロ

演出:三浦香/テーマ:待ち合わせ


三浦さんの演出舞台はブルーピリオドぶりかな?
ミュージカルではないけどお芝居と歌を上手に混ぜられる方だなという印象があり、今回も良いバランスで構成されていて素敵でした。

役者にあったキャラが投影されていてすっごい好みでした!(おそらくアテ書きなのかな?)
個人的には1番見たい唐橋さんが見れて大満足でしたw

七海さんが女性としてでなくメンズ枠で出演して、男性陣に囲まれても劣らずイケメン振り撒いてたの最高すぎました…(語彙力)

一見バラバラの待ち合わせと見せかけて次々と繋がり、伏線回収されていくのが見ていて気持ちよかったです!

そして何と言っても、七海さんと唐橋さんのシンクロダンスが最高でしたwwそのダンスもちゃんとダサい感じなのがまた良くてほんとに印象的でしたw廣野くんがペンライト光らせた時の会場の盛り上がりも今日イチだったんじゃないかというくらいでかい歓声を聞いて観客の心を鷲掴みしているなと思いました!


劇団『一番星』/Last Shining Ray

演出:川尻恵太/テーマ:アイドル


昨年は総合演出をしていましたが、今回は劇団の演出家として参加。

テーマはアイドル、【推しの子】も流行ったし、武道館だしということで王道のアイドルものを持ってくるかと思いきやコメディで勝負しにきたのが川尻さんらしくて、期待通りドストライクな作品でした!!

絶妙にダサい自己紹介に隠された意味もくだらないけど思わず「おおーー!!!」と声を上げてしまったし、荒牧くんがファンサうちわを掲げた時はもう笑いが止まらなかったですww
あと刑に「角刈り」をチョイスするのは多分川尻さんくらいww

ラストはショーに振り切っていて、そこは完全にライブ会場でした。
怜也くんの歌がうますぎて…ソロ歌唱シーンで完全に心奪われました…!
曲が良すぎたので音源欲しいですwあと単純にライブして欲しいですw

川尻さんだからこその脚本演出で毛色が違いすぎたところもあり、この時点では私の中でトップでした。


劇団『恋のぼり』/こいの壕

演出:私オム/テーマ:初恋


今回この5チームの中で1番本命の演出家でした。

今年はたくさんご縁があって、オムさん脚本演出の舞台に足を運ぶことが多かったんですが、涙を流さない作品はありませんでした。
それも悲しい涙ではなく、最後は心温まるシーンでの涙。
演出オムさんで初恋がテーマは今年観劇した「わかば自動車教習所で恋を学ぶ」に近しい作品がくるのではないかと予想していましたが、そことはまた違う初恋を見せてくれました。

冒頭、アイドルとの差が激しすぎて風邪ひきそうでしたw
正直ラストにしてはパンチが弱くなってしまうのではないかと思っていました。でもストーリーが進むにつれて周りの音が聞こえなくなるくらい集中していました。

初恋の思い出話をしている現在の山城が、台詞のないシーンでも微笑ましく見守るシーンも素敵でした。

白旗だと思うな!俺の好きな女のためだと思ってくれ!
鯉のぼりみたいだろ!一緒にこれを振ってくれないか?
一人だと不安だからさ。玉城の家までこれ振りながら一緒に走ってくれよ!
俺の初恋が叶うか叶わないか、見届けてくれよ!!

「こいの壕」より

このシーンでもう涙が止まらなかったです。
鯉のぼりを振りながら走る4人。

「参った」と「まいった」
「叶わない」と「敵わない」

ダブルミーミングがさらに涙を増す演出でした。

武道館なのに気取らず、小劇場のようなどストレートな演劇を披露してくれた劇団『恋のぼり』本当に最高で素敵でした。


最後に

5チームとも何かしら攻めたものを取り入れていて、連勝・リベンジ・初グランプリを取るぞという気合が演出陣からも感じました。
1つの作品が終わるごとに「あ、今年はこれが1番かな」を更新されていって本当に選ぶのが大変でした。

「喜劇・悲劇・エンターテイメントステージ、今日みなさんがどのジャンルを求めてきたのか、そうところで差が動くのではないかとそう感じました」

この鈴木拡樹さんの言葉が全てだと思います。

感想量見たらわかると思いますが、今年は劇団『恋のぼり』に投票しました。甲乙つけがたい中、決め手になったのはでした。
客席も一体となって盛上げる演劇も、笑いに包まれる演劇も大好きですが、気づいたら涙が止まらないくらいのめり込んでいたあの瞬間がこの日は一番心動かされました。

荒牧くんの言葉を借りますが、オムニバスのような演劇の祭典、今年も本当に贅沢な時間でした。
演出家や俳優の新しい一面も発見しとても充実していました。

1回きりじゃもったいない。
(擦り切れないけど)擦り切れるくらい配信も見返したいと思います。

また3回目も開催されますように…
その時はまた、推しも参加してくれると願って。

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