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『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の感想

また久しぶりになっちゃいました…。
先日『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を観に行ったのでその感想。

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アメリカ・サンフランシスコでホテルマンとして親友のケイティと平凡な毎日を過ごしていたシャン・チー。
しかし彼には、かつて父ウェンウーが率いる犯罪組織から逃げ出した秘密の過去があった。
復讐のために悪へ染まったウェンウーが《テン・リングス》を操り世界を脅かす時、息子として、ヒーローとしてシャン・チーは実の父へと立ち向かう。

監督は『ショート・ターム』などを手掛けるデスティン・ダニエル・クレットン。
主役には『キムさんのコンビニ』などドラマシリーズで活躍していたシム・リウが大抜擢(僕はこの作品が初見だったんだけど、なんか顔がおっとりしてて可愛かった)。
親友のケイティには今世界中で大注目のオークワフィナ(『オーシャンズ8』や『フェアウェル』で知ってる人が多いかも)。

ついにきたMCU初の「アジア人」ヒーローという感じで、ブラックパンサーからの流れもあって確実に来るなと思ってました。
いざ観ると中華ムービーの色(素早く手数を繰り出すアクションやふわっとしたワイヤーアクションなど)もありつつ、ハリウッドの大胆なカメラワークが混ざり合って多様性を感じる映画でした。

その中でもトニー・レオンが別格!!!
登場するだけで画面をフィルム・ノワールというか彩度を落としても違和感の無い世界観を作り上げてしまうその存在感…かっこいい…。
悲劇から悪に染まってしまうウェンウーという役なんですけど、父親としての想いを捨てられない哀愁も同時に表現していてもはやトニー・レオンしかできない役なのでは…と思いながら観てました。

洪家拳 陰陽 五行説 等々…

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というわけでとても面白かったのですが、
劇中登場する「テン・リングス」という武器は洪家拳のリングから着想を得ているっぽいですね。
『カンフー・ハッスル』や『少林寺三十六房』でも使われています。
元々は鍛錬に使われるもので実戦では使用しない?という記事もあったりで調べてもあんまり情報が出ないんですけど、見た目の特殊性からも使いたくなる気持ちが良くわかります。(なんかかっこいい)

映画を観たとき、「陰陽」「五行説」のイメージが意図的かそうじゃないかは分からないけど、取り入れられているのかなって感じました。
父と母、兄と妹、母と子、父と子など属性の違うものを主軸に話が進んでいて、それはこの作品だけではなくて、アメコミ原作の作品すべてに言えることなのかもしれないなーと。
ヒーローとヴィランっていう関係性は単純に善と悪という分け方ではなく、陽は陰、陰は陽のように存在して初めて一つの関係となっていて、
本作も家族としての関係やシャン・チー、ウェンウーの中にある心の表裏など「陰陽」の思想が適用されてる内容になってる気がしました。

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同様に「五行説」は木・火・土・金・水の元素で万物はなっている、て感じの考え方みたいなんですけど、それは単純に生物を構成する要素だけではなくて、関係や物語などにおける変化にも適用されているような気がしました。
「相生」(=「木は燃え火を生む」など順に生み出す関係性)は家族と命の関係を、「相剋」(=「水は火を消す」など相手を滅ぼす関係性)はシャン・チーというヒーローの物語を表しているように感じました。(専門家とかではないので自分の中でそう感じたってだけなんですが…)

どこまでも不器用な家族の物語

上の二つのことを考えると「円」のイメージが出てきたんですが、母から子へ、父から子へ渡されていく「家族」の想いは巡っていて、そんな父と子は母の故郷に還ることでルーツ(先祖の想い)は巡っているなーなんてぼんやり考えてました。
最後のシャン・チーとウェンウーの親子喧嘩でも母が宿ったような戦い方をするシャン・チーの姿を見ると、そんな「円」の中で本当の力を見つけることができたのかなーなんて。
それはこの「テン・リングス」というアイテムが円の形をしているところからも(勝手に)イメージできました。

登場人物みんな愛を伝えるのが下手なんだけど、不器用なそんな姿もとても魅力的な作品でした。
劇中で気まずい食事シーンがあるんですけど、ウェンウーがケイティに自分語りしだして、そんな姿にシャン・チー、シャーリンが不機嫌顔でアイコンタクトしているところが家族って感じで個人的に大好きでした!

ということでとってもおすすめの作品なので、是非気になった方は観てくださいね!

頭の中で思うことを書こうとすると難しい…。
でも書きながら整理できるので不定期で続けていこうと思います!

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