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オープンリミナルスペース南紀

TwitterInstagramで撮影した写真を毎日掲載しています。

3月の中頃、和歌山県東牟婁郡太地町にある旧グリーンピア南紀という公園に散歩しに行ってきました。

その昔大規模な保養地として建設されましたが、ドロドロな政治などが絡んで運営が停止され、放置されている場所です。詳しい経緯はWikipediaを。

広さ的にカメラ持ってぶらぶらするのにいいかも?と思って気軽に出かけて行ったわけですが、結果的に肝を冷やして帰ってきました。多分二度と行かない。

その時撮った写真と共にその日の事をつらつら書いていきます。SNSには載せなかった写真も全て公開するのでまあ見てってくんない。

写真は全てBessaR3A+Nokton40mmF1.4MCと、FujifilmX-tra400(1段上げ)・KodakColorplus200で撮影しています。
デュープしてDarktableで調整。
道中往復して途中でフィルム交換してるので掲載はごっちゃになります。


駐車場の無人ゲート
地域の巡回バスが止まってました
良い天気

車を降りたらヤシの木ドン!青い空ドン!これぞ南紀!!という感じでとてもよいです。南紀生まれとしてはヤシの木を見るとなんとなくホッとします。

駐車場の横にエリアセンターという大きい施設があったのでちょっと覗いて行こうとしたのですが…


閉鎖されていました。

到着前の旧グリーンピア南紀に対する私の認識は「運営こそ停止されたものの野球場やテニスコートは申請すれば利用できるから町営グラウンド的な感じ?だからエリアセンターには管理人室みたいなものあるでしょ」ぐらいのものでしたが、どうやらこれを見るにそういうレベルではないらしい。
天井照明の隙間に鳩が巣を作っているのか、羽音と途切れ途切れの鳴き声が聞こえてきます。
建物の中を覗いてみましたが大量の段ボールや会議机など。荒れている様子はありません。

勢子船と呼ばれる古式の捕鯨船(のレプリカ)
当時使われていたであろう椅子とテーブル
裏に咲いていた花
裏は荒れている

なんか急に不気味になってきたなあ。
そういえば見渡す限り誰も居ない。平日の午前中ってのもあるけど、天気いいから地元の人散歩しててもおかしくないんですが。

とりあえず坂の上の方まで歩いていくことにします。


遠くに見える多目的ホール
廃プール
野球場。手入れされて綺麗です。鳩3羽。
屋根付きゲートボール場。これも綺麗
緑の垣根?は迷路になっているようです

ずいずい歩いて行きますが、相変わらず人がいません。ですが、綺麗に刈り揃えられた芝や植栽、ゴミ一つ落ちていない歩道など明らかに「人の介入の気配」はビンビンに感じます。
青い空にムクドリやウグイスの鳴き声。気温は17℃。春を感じられる爽やかな日。一方、坂を上るにつれて近づいてくる時計台が私を徐々に不安にさせていきます。

大平和祈念塔のような不気味さ
昭和の遺物
テニスコートはもう長い事使われていない様子

そして遂に時計台の元へ到着。

いや怖…

怖くないですか?私だけ?
こんなに広い土地で未だ誰ともすれ違うどころか姿も見えず、何故か時計台の下に脈絡の無い石灯篭があったりとさっきからビビリ倒してます。明るい昼間でコレなので夜なら色々漏らしてたでしょうきっと。

そういえばさっきから胸のあたりが苦しく、呼吸が浅い。肩で息をしないと空気がうまく吸えなくなりました。
これは気のせいではなくやっぱりヤバいやつでは…いやでも事前に調べたとき心霊スポットなんて事書いてなかったしな…

冷静になりよく考えたらここに来るまでずっと上り坂だったので息が切れただけでした。小休憩して時計台を登ります。せっかく来たし。

階段の配電盤には訪れた人の落書き(見づらい)。
新しいものは2022年11月。なぜかホッとする。
ぐるぐると階段を上がっていき…
ついに到着!

一番上は長椅子のある休憩スペースみたいになっていたんですが、やたらと地面に砂場のような箇所が。なにこれ?とよく見てみたら全部風化した鳥の糞でした。余りにもきったねえもんでその写真は撮らず…

眺めはよい。海抜100m以上あるようです
温泉センターと呼ばれていたもの
山側。ため池が見えた

ハァよかったわね(?)と一息ついて時計台を降りました。そのあと上から全貌が見えた温泉センターの方も見ていくことに。

うーん、やはり湿り気を帯びた怖さがある。

写真だけじゃ伝えるのに限界があるんですが、十数年以上前に閉鎖されたはずなのに外観は殆ど劣化していないんですよね。植栽も昨日刈ったばかりのように整然としています。

自分は一体なぜこの場所にこんなにも恐怖を感じているのか。
ゆっくり歩きながら考えてみたんですが、「廃墟然としていない、且つ大人数が使用する目的の建築物なのに中に(十数年も長い間)ひとりも人間が居ない」という事実を理解しようとするも、その途方の無さに理解の範疇を超え脳が拒否反応を起こしているのかもしれません。リミナルスペースに抱く感情と似ているかも。人間は「わからないもの」に恐怖しますからね。おばけとか。

あー怖かった、と来た道を引き返します。未だ誰の姿も見えず。次は駐車場付近から見えた多目的ホールのほうへ行くことに。

帰りはすり鉢状の芝生をショートカット。平衡感覚と膝おかしなるで
途中にあった小屋。昔は売店だったのかも
ううむ、南紀…
多目的ホール
中がどうなっているかは見えない
窓に反射するヤシの木

ここの施設も外観は綺麗。旧グリーンピア南紀のHPを見ると中には体育館っぽい施設があるようです。そもそもいつの写真かわかりませんが…
太地町の人口、年齢層を考えるにこういった大きめの施設を使う人はそう多くないような気がします。

坂の頂上にはさっきの温泉センター
まだちょっと怖い

温泉センターの写真を撮っていたら急に散歩中のおじいさんを見つけてホッワ!!みたいな変な声が出ました。ようやく第一村人発見。
その後坂の下から釣り竿を持った青年も来ました。裏の池に釣りしにいくのかな。
時刻は11時半ごろ。お昼ごろになるとチラホラ人が来るようです。まあそうよね。散歩するのにいいもんね。私はきっともう来ませんが。さようなら旧グリーンピア南紀。



とか言いつつこの記事を書いてる前の日にまた行ってきました。
息子にあそこの時計台が怖かったという話をすると「登ってみたい!」と。ほんとかよ…?

晴れた休日の午後三時、初めて行った時とは打って変わって家族連れが何組も遊びに来ています。エリアセンターの前ではスケボーに興じる若者。野球場では少年野球チームが練習していました。あとなぜかカラスがめちゃくちゃいた。これが本来のあるべき姿。

時計台の元にたどり着いた私達。息子がそびえ立つ塔を見て「こわ…」と呟く。ほれ見た事か(何故か得意げ)。彼はサッサと昇って糞だらけの頂上に閉口してサッサと降りてきました。

それよりもすり鉢状の芝生が気になったらしく、「ここ滑って降りるの気持ちよさそう!」とテンション上がってましたが、「鹿の糞まみれになるよ」と言ったら「糞だらけじゃんここ」と半ギレになりました。実際糞だらけだもんなあ。なんなんだ、旧グリーンピア南紀。

昭和の南紀の遺物に興味がある方は是非訪れてみて下さい。鯨の博物館も勝浦も近いし観光にはオススメです。



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