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【元カノに軟禁された話①】

※画像はイメージです。

怖い話する!!!!!!!!!!!



2018年初夏。
大学デビューを早々に諦めた僕は、いつのまにか出会い系アプリをインストールしていた。

たっけー金払って
「直前まで飲んでたらしく、会って数分で嘔吐し始めた看護学生」
「毎週高級ホテルに泊まっているというステレオタイプな港区女子」
「YouTubeのコメント欄で釣りコメをするのが趣味の女子大生」
などなど数人の女の子と会ったが、本当に特に何にも無く終わった。

もういよいよ諦めるしかないのか?人生。
と思っていた矢先、インスタにルナ(仮名)と名乗る女の子からDMが飛んできた。

「Osierさんの曲すごく好みです✨
(中略)高円寺に住んでるんですが良ければ今度飲みませんか⁇」


ひしゃげる程うれしくて、一瞬告白されたかと思った。
可哀想なほどチョロすぎる俺は次の日学校をサボって会いに行くことにした。


この時、初の高円寺だったからどんな所かは知らなかった。噂では下北沢をマッド感強めにしたようなところと聞いてたから自然と握り拳を作っていて、
彼女と会う頃には緊張も相まって手汗でビチャビチャになっていた。
「これが石油だったら今ごろこんなところに居なくても良かったのに」「美人局だったら俺はどうなっちゃうんだ」とか考えていたら、
都塚寧々似の女の子が話しかけてきた。


「あのー、おーじゃさんですよね?DM送ったルナです!」


この子だ!めっちゃかわいい、本当に存在するんだ。
はしゃぎたい気持ちを抑える、人間関係は第一印象で決まると言われるから。
マジでここの挨拶は重要。


「ア...はい。ドーモ....」


お通夜明けかな?



未だに女の子と話す時は緊張してしまう。

マジで難しすぎる、何回やっても慣れない。
ダークソウルかよ、攻略wiki作ってくれ。

ガツガツいってしまうと最悪人間だと思われるし、
口数少ないと面白くない奴の刻印を押され、いつの間にかブロックされる末路がチラ見えする。
どうしよどうしよ。情けなさすぎる。
思考がグルグルグルグル。脳の下痢。
はよ殺してくれや。
生涯そんな「他人からどう思われるか」という自分本位な感じで女の子と接してきたから
いつも冷静を装っているつもりだけど、大抵の人にはバレてるだろうな。



「そんな緊張しないでくださいよ、お店行きましょう〜」


案内されるままアーケード街を進んでいき、大衆居酒屋に入っていった。
こういう場面で大衆酒場に行く彼女に対して少し親近感というか、安心感を覚えた。

店で痛みを抑えるようにアルコールを摂取した俺は饒舌になっていた。音楽、猫、最近あった面白い出来事。
Osierのオールナイトニッポンゴールド状態。
話がスムーズに溢れ出て止まらなかった。それに応えるように彼女の方も話題を山のように提供してくれた、ありがた。

帰り道、ふたりで散歩することになった。
住宅街を歩いてるとふとベランダに白と黒のTシャツが交互に5枚干されているのを発見した。
「オセロ...?」
無意識のうちに口走ってしまった。


「え?」

ヤバい。妄言を言う人間だと言うことが早くもバレてしまう。無かったことにしたい。


「何でもないよ」
「オセロって何?...あ...」


ベランダオセロに気づいた彼女は爆発したように笑い始めた。

「ホントだwww白勝ってるしwww」

そんな笑うことじゃねえだろと思ったけど、夏の暑さとアルコールと笑ってる顔に頭がやられて、つられて爆笑した。

彼女の家に行くことも出来ただろうけど、そういうのはちょっと無理だからまた会う日を決めて解散した。


下戸のくせに飲みすぎた俺は、飲み食いしたものを全て家のトイレに返上した。
それでも今の俺は無敵だ。

全盛期のアイルトンセナのように駆ける想いは誰にも止められるはずがない。



続く

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