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母親の持つ「姉妹観」と、反面教師

私は2人姉妹の長女で、母はずっと専業主婦でした。今でも強く記憶に残っているのは、ことあるごとに「お姉ちゃんなんだから云々」と言われてきたことです。

子供の頃、妹は私の持ち物を勝手に使って返さないことがよくありました。そのたびに口論になるのですが、だいたい途中で妹が母に泣きつくのです。すると決まって母は「お姉ちゃんなんだからそのくらい許してあげなさい」と言い、時には妹をなだめるために私を過剰に𠮟りつけるポーズを取りました。そうすると妹が満足して引き下がり、母は「これが最も良い仲裁の方法なんだよ」と後から私に弁明(?)しました。

母親は「姉はこうあるべき」とか「妹なんだからこのくらいでいいのよ」とかいう強い固定観念を持っているタイプの人で、幼い私はそれに反発しつつも、まだ的確な抗議の言葉を持っておらず、(母がそういうんだから、お姉さんらしくしなくちゃな)と自分を納得させてきました。

最近気付きましたが、この母のレッテル張り、今でも続いています。何かにつけて「妹ちゃんに〇〇してやってよ」「お姉ちゃんのほうから先に動いてあげてよ」と言ってくるのです。妹はすでに結婚して家を出ています。おそらく妹は姉である私に何かの面倒を見てほしいなどとは、微塵も思っていません。そりゃそうです、もういい大人ですからね。「コロナのワクチン、妹ちゃんが全然予約取れなくてかわいそうなの。お姉ちゃんが探してあげてよ」と言われた時の、開いた口の塞がらなさ。なんで私が探してあげなきゃいけないんだ(笑)

母は、妹が頼りなく、自分から行動できない、甘えの強い人間だと思い込んでいます。そして私のことを、しっかり者で芯の強い人間だと思い込んでいます。どちらかというと後者の思いがより強いです(全然違うのに)。うちの娘たちについても「長女ちゃんに、もっとお姉ちゃんらしくさせないと」「次女ちゃんはもっと妹らしく甘えたいのでは」と、こんな調子で奇妙なアドバイスをくれることがあります。

これってなぜなんだろう、と考えてみました。私自身、母のことを何でも知っているわけでもないので正確な分析は不可能ですが、一つ思い当たる節がありまして、母は、昭和の亭主関白な家に生まれた、「二人姉妹の次女」なのです。しかも母の姉(私のおば)は、めちゃくちゃ気の強い人で、姉妹喧嘩ではいつも一方的に負かされてきたとか。思い当たる節っていうか、もうほぼコレでしょう。そういえば言ってましたもん、「姉なのに妹の私にやさしくなかった、妹のためなら姉というものは我慢して譲るべき、だって年上の方が弁が立つし強いのは当たり前なんだから!」って。

確かに年長者が、年長者である利点を悪用して、年下に理不尽を強いるのは良くないことです。でも、だからと言って年上に我慢させる理由にはならないんじゃないかと思います。だから私は娘たちに「お姉ちゃんなんだから」も「妹なんだから」も言わないようにしています。ここまで語っておいてなんですが、私の母はちょっと思い込みが強くて、且つ思ったことをノーモーションで口に出してしまうだけで、全然、悪人ではないです。むしろ羨ましいほどに素直で裏表がない人間です。

・・・・・・なんだか、こう書くと私が冷静で公正な目を持つ賢い母みたいな文章になってしまいますが、全くそんなことはなくて、毎日良くないと思いつつもイライラして、すぐ子供に怒ってしまいます。ちなみにそのキレ方がマジで母にそっくりでぞっとすることがあるのですが、自分のイライラっぷりを母の教育のせいにするつもりはないので、もっと穏やかなママになれるように頑張ります。そこは本当に反省しております。


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