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ロードバイク初心者がMagene(マージーン)の激安両足パワーメーター pes-p505をティアグラコンポに導入してみた

ロードバイク関係の記事をネットで見ていると、「FTPがいくつ」だの「5倍で踏む」だの、よくわからない単語が並んでいる。
調べてみると、どうやらこの計測をするにはパワーメーターが必要となるようだ。
やはりロードバイクに乗る者は、「自分がどの程度の力量なのか」、「どのくらい成長できているのか」ということが気になるのが性。

そんなことで、以前よりパワーメーターを導入してみたいと思っていたところ。

しかし、導入にあたりネックとなっていたのが
①ティアグラコンポへの導入可否
②導入価格
であった。

1 パワーメーターの導入検討

(1)ティアグラコンポへの導入

 私の乗っているロードバイクには、ティアグラコンポが搭載されている。しかし、ティアグラのロードバイクにパワーメーターを導入した事例は
、ネットで検索してもいまいちヒットせず。
 導入しやすい片側計測のパワーメーターは、105のクランクからとなっている。そしてシマノのクランクであれば、左右でグレードが違っても装着可との情報もある。それに105のクランクへティアグラのチェーンリングを装着出来る可能性もありそうだが、なんせ、ティアグラに関する情報が少ないので、現物合わせしかない・・・。
 まぁ、最悪、使えなかったらフリマで売却すればよいと考え、次の価格と計測方式の検討に進むこととした。

(2)導入価格

 ①高価格路線(10万円~)

 両側クランクとセットとなっている両足計測のパワーメーター。計測結果の詳細な表示が可能で、見た目も最高。
 ただ、ただ・・・、高すぎるよ・・・。これは。初心者には完全にオーバースペック。

 ⓶低価格路線(4万円~)

 これは、シマノ純正の左側クランクに計測装置が後付けされたもの。メーカークランクを活用するので、クランクとしての剛性や信頼感はバツグン。
 ただし、片足計測となるので、他にパワー計測の方法(スマートトレーナなど)がない場合には表示される数値の正確性が気になるところ。特に初心者は左右バランスが怪しいし。

 なんせ、お金は無い!ので、低価格路線の中で導入出来そうなパワーメーターを調べ、購入したのがMagene(マージーン)のpes-p505だ!


2 Magene:pes-p505を選んだ理由

①両足計測が出来る!

 初めてのパワーメーター導入となるので、より正確な計測が可能な両足計測を導入すべきと考えた。
 片足計測の場合には、計測している左足の出力を測り、その測定値を基に両側のパワー値を表示することになる。そのため、仮に左足の出力が右足より高かった場合には、表示されるパワー値はハッピーメーターそのものでしかない・・・。
 最初に購入すべきパワーメーターは両足計測のタイプに限ると判断!

⓶豊富なクランク長の設定

 現在、ロードバイクに装着されているクランク長は170㎜である。そして、一般的なサイズのロードバイクに初期装着されているクランクの多くは170㎜であろう。
 しかし、どうもこの170㎜のクランク長というのは、日本人には長すぎるのではないかという疑惑がある。ネットを漁ると、身長170㎝の場合には165㎜が適正なクランク長との記述が多数ある。
 しかし、クランクは脚の回転運動の要となる超重要な機材である。長さの変更がもたらす膝などへの影響も気になる。いきなり170㎜から165㎜へ変更するのは、バンジージャンプから飛び降りるのと同じくらいの勇気が必要だ。
 その点、このパワーメーターには、クランク長の設定として167.5㎜がある!
 この長さは、少し短いクランクを試してみたかった自分には最適な選択。

③値段も安い!

 両足計測のパワーメーターでありながら、販売価格は43,560円! 片足計測のパワーメーターと同じくらいの価格。
 安いのには当然ながら理由があるわけで、メーカーであるMageneは中華メーカーであるのだ。そこで気になるのがMageneの実績である。

④Mageneの実績と日本代理店

 Mageneは2015年12月に設立された、メーカーとしてはまだ日の浅い新興勢力となる。主な開発商品はパワーメーターのほか、スマートトレーナやサイクルコンピュータなどであり、開発・生産・管理体制は中華メーカーとしては一定のクオリティを保っていそう。
 ホームページも日本語表記は無いが、英語表記のものはあり、アメリカへはMageneから直接販売も行っているようだ。サイクリングパワーメーター、心拍数モニター、インドアバイクトライアナ、スマートサイクルコンピューター |マジェネ (magene.com)
 日本で購入する場合には代理店を通じて購入することとなるが、代理店はグロータックとなる。グロータックは、自転車用品の販売店として一定の実績があり、製品サポートページもある。購入にあたっての安心感を少し得ることが出来た。グロータック - GROWTAC

3 開封から装着まで

 購入すると決めたら、意を決してネットでポチリ。

 程なくして。ついに我が家にパワーメーターが届いたのである。

最近の中華は箱の質感が高いのである

 精細な測定が必要であるからして、精密機械を収めるのに相応しい箱の硬さ。最近では、中華系のメーカーであっても、それなりの規模と使命感で市場に参入している企業は、外装の手を抜くことはない。もっとも、外装だけ凝ってて、中身が伴っていなかったら元も子もないけど。

写真では黒くて判別し難いが、それぞれのパーツが緩衝材で固定され、箱の中で遊ぶことはない

 箱を開けると、いよいよパワーメーターとご対面。
 赤子に触れるように慎重な手つきでパワーメーターとクランク、その他付属物一式を取り出す。

一式並べてみた

内容物は上から
・スパイダー型パワーメーター
・クランク左右
・充電ケーブル
・クランクとパワーメーターの固定用工具
 ↑要注意!シマノのホローテックⅡのBB取付工具が必要。クランクとパワーメーターを固定させる際には、舐めないようにしっかりと工具を取り付けて慎重に! ※グロータックからの捕捉説明書にも記載あり
・Oリング3本
 ↑クランクボルト緩み防止用としてクランクボルトに装着させるらしい
・チェーンリングボルト4個 ←これがあるのは地味にありがたい
・クランクボルト
 ↑要注意!10mmの六角レンチが必要。手元には10mmのショートヘックスしかなく、それでは奥にある10mmのボルト受けを回せなかった。全力でホムセンへ買いに走ることに。
・シール ←パワーメーターに貼り付けてドレスアップ!貼らないけど
・ただの空箱 ←付属品が入っていた箱です

クランクの重量を測ってみる。

167.5mmのクランク重量

クランク(167.5mm)のみの重量は505g

パワーメーター・チェーンリングボルトも含めると645g

 ティアグラのクランクの重量は約650gのようなので、だいたい同じ重さ。
つまり結構重い。
 中華メーカーで軽すぎるクランクというのも、強度面の関係でそれはそれで怖い。強度を保つために必要な重量を、緻密な設計・計算の上で確保した結果ということで納得することとした。

取り付け方法などの説明書

 取り付けに際しては、図入りの説明書があり、簡単に取り付け可能。日本語での説明書きもあり。
 さらに、グロータックから、別紙で取り付け時の注意書きが添えられている。

 取り付けは、手順書どおりに作業すれば問題ないが、上で書いたとおり、必要な工具には注意。

シマノのホローテックⅡのBB取付工具が必要

 クランクとパワーメーターを固定するためには、シマノのホローテックⅡのBB取付工具が必要となる。

ホローテックⅡのBB取付工具に付属の工具をはめて使用

 上の写真のとおり、付属の工具をはめて、パワーメーターの固定用ナットとクランクを固定していく。工具とナットが構造上、深くかけられないため、ナットを舐めないよう慎重に固定する。←グロータックからの注意書きにも書いてあるのでよく読んで作業しましょう。

 もう一つの工具が10mmの六角レンチだ。

クランクボルトの固定には10mmの六角レンチが必要

 もしかしたら、多くのご家庭には10mmの六角レンチが常備されているのかもしれないが、我が家には10mmの六角レンチはショートタイプのソケットしかなかった。
 ショートタイプの六角レンチでは、クランクボルトを回すことができないので、ノーマルの長さの六角レンチが必要となる可能性が高い。

10mm六角の受けはボルトの奥にあるため、ショートヘックスでは届かないのだ・・・

 そんなこんなで、近くのホームセンターで10ミリの六角レンチを購入し、ロードバイクにセット。

ティアグラのチェーンリングにも問題なく装着できた
適合するチェーンリングは「110BCD SHIMANO 4アーム ロード用」

懸念していたティアグラコンポへの装着であったが、全く問題なかった。

 適合するチェーンリングは「110BCD SHIMANO 4アーム ロード用」となっており、シマノのロードバイク用チェーンリングであれば、ほとんど適合するはずであり、現行ティアグラのチェーンリングも当然これに該当する。
 また、フロントディレイラーについては、クランクを交換したので、位置及びワイヤー調整は当然必要となるが、調整後の変速性能に全く問題はなかった。

 パワーメーターを装着後、サイコン(コスパ偏重主義者が買ってよかったロードバイクグッズ②サイコンiGPSPORT BSC200|massan (note.com))とスマートウォッチ(ロードバイクの心拍計としての GARMIN(ガーミン) Instinct(インスティンクト) 2S レビュー|massan (note.com)に連携させ、軽く動作確認。
 いずれも問題なく認識し、パワー・ケイデンスの表示を確認。

 そうなれば、当然ながら走りに行きたくなる。
 そして、出し切れる場所といったらここしかない。

パワーメーターの動作確認は「白石峠」しかないでしょ

 久しぶりの白石峠。
 ほどよい気候と乾いた路面、パワーメーター導入のテンションアップにより最高のコンディション。

ここに来ると、だらけた自分とおさらば出来る。

 白石峠まで全て出し切って、その後はグリーンラインを経由して帰宅。
 帰って、早速、走行ログを確認。

地図データ上に、かけたパワーの大きさが描かれる
頑張った自分の軌跡と記憶が一致していく

 味気なかった地図データに、かけたパワーに応じた色が加わり華やかな雰囲気に。
 そして、気になるパワー値は・・・。

いろいろな値がならんでいるが・・・

 いまいち意味するとことの分からない数値もあるが、気になった値は
・最大パワー 686w
 弱すぎる!スプリンターと言われる人の1/2もないだろう・・・。なんという貧脚。これは鍛えがいがありそうだ。
・左/右バランス 52%左/48%右
 やはり左右差があった。しかも左の方が高いので、片足計測パワーメーターを購入しなくてよかった。この左右バランスの悪さは改善しなければ。
・FTP 241W
 これは、なかなかに誇れる数字では。体重は56kgなので241/56=4.30…
 4.3倍ってけっこうすごいよね。

 今後のトレーニングにおける指標ができた。
 自分の鍛錬度が正に可視化され、いわゆる「ドラクエのレベル上げ」がこれから始まろうとしている。

 そしてマージーンのパワーメーターpes-p505だが、気になる点もある。

〇気になる点(デメリット)

【クランクの剛性と見た目】
 Mageneの主力製品を見る限り、電子部品の製造を得意としていることが見て取れる。クランクは、ロードバイクの顔といってもいいくらい超重要パーツである。それを、信頼に乏しいMagene製のクランクに置き換えるのは、上級者にとっては受け入れられないであろう。グロータックのホームページによれば「精密な精密なCNC加工を施した三つ穴の中空構造により、軽量かつ高剛性を実現しています。」とはあるが、クランクの製造はMageneの得意とするところでは無いものと思われ、クランク剛性や信頼性に拘る場合には止めておいた方が無難。
 またクランクの見た目も、個人的にはお世辞にも良いとは言えない。つくりはシンプルであるものの、よく見える位置にデザインされた「PES」の文字が中華感を増幅させている・・・。

 しかし、上記のようなデメリットは瑣末なことにすぎず、このパワーメーターが、価格的に導入しやすい両足計測パワーメーターであり、トレーニングの効率化・可視化という観点から、初心者や最初の両足計測パワーメーターの導入において、最有力であることには違いなかろう。

 このパワーメーターがあれば、通勤の帰り道の向かい風もウキウキ気分になること間違いなしだろう。

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