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新古の歌

懐メロのことを
夏メロだと思っていた。
だから夏以外の季節に
「ナツメロ特集!」なんて耳にすると
季節外れと思っていた。

正しい意味を知ったのは
良識ある大人の年齢に達してから随分と経った頃だ。
季節外れに「ナツメロ」だねなんていう人を
なに言ってんのと小馬鹿気味でさえあったのが、
自分に思い切りブーメランが返ってきて
驚きと恥ずかしさとで悶えた記憶がある。
でもひとり静かに思い違いをして
ひとり静かに理解したから
全て自己完結でしかなかったけど。

私は昭和中期頃の歌がどうも苦手だ。
映像も音も歌声も、メロディーや歌詞さえも。
テレビで昭和の素晴らしい歌だと紹介されても
いまひとつ受け入れられずにいる。

しかし先日テレビに宮本浩次さんが出演していて、
カバーアルバム『ROMANCE』を出していることを知った。
『異邦人』や『赤いスイートピー』などの知っている曲も、
『二人でお酒を』や『木綿のハンカチーフ』など
初めて聴く曲も入っている。

その時代の映像を見たら
きっとどの曲も私の反応はいまひとつだったと思う。
カバーアルバム用にアレンジし直されているのだろうけど、
聴けばどれも新鮮でいい曲だった。
今日もエンドレスでずっと聴いていた。
それほどに気に入ってしまった。
聴いていない今でさえ
頭の中でリピート再生されている。
宮本さんの歌声で。

歌声がものすごくいいなと思う。
男性特有の力強さと
性格からくるのかその素直さと。
前の歌というだけで遠ざけていた世界が少し近くなった。
自分の中で世界が広がるのは嬉しい。

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