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気持ちが通った挨拶

3日ぶりに外出し、ここ数日の寒さを体感することになった。
11月末よりも、少しだけ着る物を変えたが足りなかったらしく、じわじわと寒さが体に沁みてくる。

自宅マンション敷地内を歩いていると、向こうからマンションの管理組合の人が歩いてくるのが目に入った。
決して知らない人ではなく、かつてお世話になったこともあるものの、ご近所さんという訳でもないし、とても中途半端な知り合い程度の人である。
こうした場合、挨拶をすべきかどうかで非常に迷う。
挨拶をするには遠くて、無視するには近すぎる距離であることもあり、どうしようかと考えてしまった。

迷いながらも歩みを進め、じりじりと距離が近づくにつれて緊張感も高まり、しかしちょうどすれ違うタイミングで互いに挨拶を交わすことができた。
よかった、できたとほっとしている自分がいる。

挨拶を交わすことは極自然なことではあるが、お恥ずかしいことに私にはとても難易度が高い。
どうも気負ってしまうのだ。

思い出しだのだが、秋口、駅からの帰り道に体調が悪くなり、俯いてふらふらと歩いていたことがあった。
人気の無い歩道の前方から、スーツを着た男性がひとり歩いてくるのは視界の端っこでなんとなくわかっていた。
しかし余裕がなくて気にも留めることもできない状態だったその時に、すれ違いざま「こんにちは」と挨拶されたのだ。
驚き顔を上げたものの既に通り過ぎた後で、それが一体だれだったのかわからず終いだった。

知らない人だったらちょっと怖いし、知り合いだったら失礼なことをしてしまったことになる。
私の本音を言えば、そうっとしておいて欲しかったなと思うのだけど、知人であったとして、向こうも挨拶するか迷ったのだと思う。
それでしないより、した方がいいと判断して挨拶してくれたのではないかと私は考えている。
とても礼儀正しい人だったんだなと。

挨拶するしないは自分自身の気持ちは然る事ながら、相手に挨拶する気持ちがあるかどうかも大切になってくる。
挨拶はコミュニケーションの取っかかりなのだから、一方通行ではなく互いに気持ち通わせたいものだ。
だから、今日の挨拶は互いに思い、同じタイミングで交わした完璧なものだったと思っている。

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