大杉谷のお花

大杉谷から大台ケ原は、標高差約1400m。8.4℃の温度差が生じ、低山帯から亜高山帯までの植物相が分布しています。シダ植物と種子植物合わせて約900種ほどの植物が生育しており、これは日本の植物約4000種のうちの1/4にあたる数。多様な植物が作り出す、山の表情の変化にも注目してみてください。

ここでは、ほんの一部ですが大杉谷に自生するお花を紹介します。他にもたくさん咲いていますので、ぜひ探してみてください。

春のお花

シャクナゲ(ツツジ科)

大杉谷を代表する植物のひとつ。
桃の木山の家周辺は5月中旬から、大台ヶ原は5月いっぱいまでが見頃。

シロヤシオ(ツツジ科)

深山の岩の多い林内や林縁に自生する。
5枚の葉が輪生状に付くことから、別名ゴヨウツツジとも呼ばれる。

シキミ(シキミ科)

モミ林に多い常緑高木。強い香りがある。全体が有毒で、特に果実は猛毒。

ナガバモミジイチゴ(バラ科)

縦長の葉を持つキイチゴの仲間。
果実は黄色。大杉・大台には10種程度のキイチゴ類が自生する。

ヒカゲツツジ(ツツジ科)

明るい黄色が美しいツツジ。サワテラシとも。
名前に反して生育地は日陰だけとは限らない。

ミツバツツジ(ツツジ科)

葉の展開よりも先にピンクの花が咲く。
落葉低木で葉が3枚輪生することからこの名がついた。林内や岩場に自生。

ヤマツツジ(ツツジ科)

4~6月頃にかけて咲く。桃ノ木山の家周辺では遅めの開花。
鮮やかな赤色が目を惹く。

アマドコロ(ユリ科)

山野に自生する多年草。イヤリング上に垂れた花を多数咲かせる。
ナルコユリとよく似ており、茎の形状や花の時期で判断する。

アワモリショウマ(ユキノシタ科)

渓谷沿いの岩上に自生する多年草。
園芸種には桃・赤色などがあり、アスチルベの名で出回る。

ガクウツギ(ユキノシタ科)

アジサイに似た花の落葉低木。5~6月にかけて目を楽しませてくれる。

夏のお花

ウツギ(ユキノシタ科)

山野に生える落葉低木。桃ノ木山の家周辺に多く、初夏の記念撮影に花を添えてくれる。

エゴノキ(エゴノキ科)

北海道~沖縄まで広く分布する落葉高木。
樹形・花・実ともに美しく庭木にも使われる。実はサボンを含む有毒植物。

コアジサイ(ユキノシタ科)

装飾花のない小ぶりなアジサイ。
明るい林内に生え、初夏の登山道でよく目にする植物のひとつ。

サツキ(ツツジ科)

山地の岩肌などに自生する。大杉谷では「カワサツキ」と呼ばれ親しまれている。
開花はほかのツツジ類と比べ、ひと月ほど遅い。

タンナサワフタギ(ハイノキ科)

ブナ林などの林床や谷沿いに生える落葉高木。
樹皮は灰白色で薄く剥がれていて特徴的。タンナは済州島の古名

イワタバコ(イワタバコ科)

8月に星型の可憐な花を渓流沿いの登山道で咲かせる多年草。
夏の大杉谷を代表する植物のひとつ。湿った岩壁を好み冬は葉を巻いて休眠する。

ササユリ(ユリ科)

日本固有種。中部地方から九州に分布。
花はひとつである株が多いが、複数咲く株も見られる。

シソバタツナミソウ(シソ科)

沢沿いの林に生える多年草。
変異が多く、わずかな違いで別名になる。茎の毛や葉型で判断する。

ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)

日本固有種。山地帯~亜高山帯に生える多年草。
白い花に見えるが、実は雄しべの集まり。

ギンリョウソウ(シャクジョウソウ科)

葉緑素を欠き、菌と共生して生きる腐生植物。
山野の湿った林内に生え、登山道全域で見られる。別名ユウレイタケ。

秋のお花

ミヤマリンドウ(リンドウ科)

リンドウより小型で草丈10~15cm。本州南部~九州のみ分布する。秋になると10cm程のものが登山道でよく見られる。

ダイモンジソウ(ユキノシタ科)

花が「大」の字に似ていることからこの名がついた。
湿った岩盤を好み、秋の大杉谷でよく目に付く。
この花の咲く辺りは滑りやすいので足元にご注意を。

ヤマジノホトトギス(ユリ科)

山地に生える多年草で、大杉谷にも多く生息している。
ホトトギスとの違いは、花が水平に咲き、花柱に斑点がこと。


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