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ラスト8分を何度もリピートした 映画『あん』感想

突然ですが、あんこを作ったことはありますか。
私はないです。(ないんかい)

映画『あん』には、あん(あんこ)を作る場面が出てきます。
あずきを水に浸して、アクを抜いて、ゆでて、砂糖を入れて煮詰めて。
タイパ、コスパ重視の時代に逆行するかのような、手間と時間と豆を思う心を尽くした作業です。

あん作りを通して、どら焼き屋の「店長さん」と、ふらっと現れた老女「徳江さん」は交流を深めていきます。美味しいあんを作る徳江さんに、店長さんは尊敬の念を抱きます。

徳江さんが元ハンセン病患者であるというウワサが流れ、徳江さんは店に来なくなってしまいます。

映画『あん』は監督・河瀨直美さん。
主演は樹木希林さん(徳江さん)。
店長さんは永瀬正敏さんが演じてます。
原作はドリアン助川さんの同名小説。(私は未読です)
撮影はハンセン病患者の療養施設である多磨全生園(たまぜんしょうえん・東京都東村山市)やその近辺で行われています。

ハンセン病に対する無理解、差別の描写がありますが、映画では苦難の歴史を声高に説明することはありません。
徳江さんは差別や不当な扱いによる悲しみを静かに語ります。

悲しみを沈澱させ、うわずみの澄んだエッセンスのようなものを(徳江さんとは別の理由で社会から脱落してしまった)店長さんに伝えます。

エンドロール含めたラスト8分は何度もリピートしました。
徳江さんのエッセンスは究極の受け身でしょうか?謙虚さでしょうか?
あるいは「あるがまま」の受容の精神に通じるものでしょうか?
私にはまだ整理しきれません。

ただ、徳江さんにとって「あん作り」は、
あずきと戯れる至福の時間だったのではないかと思うのです。

あんこを作ってみたくなりました。
あずきはスーパーの何売り場にあるのでしょう。




先日の記事 映画『かづゑ的』見てきました 
のコメント欄で、
書きのたね@ブルボンヌさんから頂いたコメントでこの映画のことを知りました。
(書きのたね@ブルボンヌさんありがとうございます。リンクを貼らせていただきました)
ドリアン助川さんの原作も読んでみたいです。


タイトル画像 ゆかわ様にお借りしました。ありがとうございます。

(ライラン14日目)

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