ここは僕に
「ここは僕に払わせてください」
目の前にいるあなたは言った。
そんなに気を遣わなくてもいいのに。ま、年下にごちそうしてもらうのも悪くない。そこまではっきりと強い口調で言ってくれるなら奢られてみよう。
「ごちそうさま。今度は私が払うね」
「そういうセリフ、自然に出るのずるいですよ。次も会えるんだって期待するじゃないですか」
そう、今のは完全に自然に出てしまった。非常にナチュラルに。でも悪気はない。今度がない人にそんなセリフ吐けないのだから。
「次があるってことでいいんじゃない?」
また次も会いたいって思っているかと言われると、微妙だ。ただ、彼の知っているお店はセンスがいいと直感で思ってしまった。彼に会いたいのか、それとも素敵なお店で腹を満たしたいのか、否、両方なのか。
「ずっと次があるって思いたいです」
そんなに赤ら顔しないでよ。
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