大谷レキオ

熊本は自然もいい、街もいい、文学もいい。熊本を舞台にした小説と、趣味の花のことなどを投…

大谷レキオ

熊本は自然もいい、街もいい、文学もいい。熊本を舞台にした小説と、趣味の花のことなどを投稿してます。うさぎとSFと幻想的な小説が好き。

マガジン

  • 花や植物についての投稿まとめ

    オススメの花や植物の紹介を写真つきで。

  • 宇宙うさぎ

    熊本うさぎ小説 幻想をどうぞ

  • 短編小説、ショートストーリーのまとめ

    コメディからヒューマンドラマまで。短編小説やショートストーリーのまとめです。

  • 【小説】肥後の琵琶師とうさぎ

  • ノケモノの地下城【長編小説】まとめ

    熊本を舞台にしたミステリー小説です。地下水脈に隠された陰謀とは……。

最近の記事

咲くやこの花ファン

大阪にある日本最大級の大温室、「咲くやこの花館」が好きなので紹介していきます。 インパクトがスゴいお花の看板がお出迎えしてくれます。 これは定期的に変わってる。 ではさっそく中へ。 大人は500円です。 順路にしたがって進むと、最初は熱帯雨林植物室となっています。 咲くやこの花館のイメージマークにもなっている熱帯スイレンもこの場所です。 ここがかなりぬくい! 湿度も高く、寒い外からきたらサウナかと思うほどです。 進んでいくと、またランです さらに進むと、パラボラ

    • 【小説】宇宙うさぎ26 最終話

       その夜は、広場のステージにみんなが集まってお別れの会が開かれた。ダイコク編集長、玉寺人事部長、天女様、宇宙うさぎ、地球うさぎ、オケラ、カンガルー、サイ、クジャク、サル、タヌキ、キツネ、シロクマ、カバ、水辺の鳥たち、芽吹きの季節を待つ植物、他にもみんなみんな。  跳ねる、回る、飛ぶ。踊る、踊る。芽吹く、咲く。季節は変わり目。すべてがごちゃまぜ。  天女様が琵琶を弾くと、リンドウが地面から湧きあがった。リンドウの花が咲くと、宙も地も濃紺で、合わせ鏡のようだった。リンドウの花

      • 【小説】宇宙うさぎ25

         翌日の夜、私はオケラを肩にのせて満月とミラーハウスで話をした。 「なあ満月、ひとつ気になってるんだけど」  満月はこちらを見ずに何だ、と言った。 「カンガルーの言ってた園長殿ってなんだったんだろうな」  夢で見たあの少年、少年のころの園長殿。ガラスのカケラを持っていた。あれは宇宙うさぎの目玉だった。でも満月のモノではない。満月の目玉はまず地球うさぎの五十六がイカサマで奪った。その後、産山うさぎのトビキチに説教されて返したから、一つはそのトビキチからダイコク編集長へ、

        • 【小説】宇宙うさぎ24

           地球うさぎは、もし、カンガルーの子が幸せになれなかった時は、いや、幸せにするにはどうしたらいいか考えて暮らしていた。カンガルーの子は動植物園で暮らしている。ならば自分も動植物園で暮らして、手助けできる体制を作ればいい。動植物園での地位確立。人気者にならなければ。  すぐに動植物園の飼いうさぎたちに接触し、同盟を結んだ。飼いうさぎたちに自由を与える穴ぐらの提供。それから開園時間中の入れ替わり。日中の仕事から解放される提案を飼いうさぎたちは喜んで受け入れてくれた。飼いうさぎの所

        咲くやこの花ファン

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        • 花や植物についての投稿まとめ
          7本
        • 宇宙うさぎ
          27本
        • 短編小説、ショートストーリーのまとめ
          19本
        • 【小説】肥後の琵琶師とうさぎ
          14本
        • ノケモノの地下城【長編小説】まとめ
          43本
        • 【小説】最強のばーちゃんと私の思い出
          0本

        記事

          【小説】宇宙うさぎ23

           地球うさぎは、穴ぐらからすべてを覗いていた。宇宙うさぎの行動、カンガルーの行動、それから人間たちの行動。  あの賭け事の夜、憎き宇宙うさぎの満月から勝ち取った目玉。あの目玉の片方がまだ手元にあればもっと少ない労力で監視できたのだが。思い出すだけで腹ただしい。草千里の月夜に馬糞(まぐそ)投げ合いの乱闘騒ぎを起こした満月。竹籠飛脚便の同志たちも同志たちだ。満月なんぞと喧嘩して。あの日は大切な藁編みの日だったというのに。十五夜の綱引きで使う大事な藁。月明かりにさらして清めていた

          【小説】宇宙うさぎ23

          【小説】宇宙うさぎ22

           カンガルーが距離を取り、地面にぐっと腰を落とす。  ――来る!  カンガルーの両脚が満月の顔面に迫ってきた。  ――この時を待っていたぜ。  本気の一発を放ってくれなくては俺に勝ち目はない。カンガルーが両脚を地面から離すとき、支えはしっぽのみとなる。  ――その立派なしっぽ、弱点だ……。  満月は「足ダン」をした。後ろ足を地面に叩きつけて地中の仲間へ信号を送るこの足ダンはオケラたちへ伝わった。カンガルーのしっぽの両脇から一斉に数百のオケラが飛び出し、モグラのよう

          【小説】宇宙うさぎ22

          【小説】宇宙うさぎ21

           目が覚めると、私の顔を覗き込むダイコク編集長、玉寺人事部長、満月、オケラたちがいた。私は、カンガルーの視界から現実の動植物園に帰ってきた。顔のまわりから甘い匂いがした。両手でそっと頬を触るとべたべたしていた。 「あ、ごめんね。どうにかしなきゃって思ってラッキーアイテムぶっかけたの」  玉寺人事部長が申し訳なさそうに差し出してくれたハンカチを私は受け取り、頬を拭った。あの黄金の光は不知火ジュースだったか。立ち上がって前を見ると、距離を置いて、カンガルーがいた。満月が話しか

          【小説】宇宙うさぎ21

          【小説】宇宙うさぎ20

           目が覚めると、カンガルーと私だけがそこに存在していた。誰からも邪魔されない、柔らかなゆりかご。母の胎内だ。何故だかそう思った。  思う存分寝っ転がって、ぐっすり眠りたい――。  そんな衝動を何とか振り払い、私はカンガルーを見据えた。カンガルーもこちらを見ていた。ふいに小さなため息。カンガルーが話しかけてきた。 「あんたカンガルーは好きか嫌いか」  カンガルーを? 好き嫌いで考えたことなどなかった。ただびょんびょん跳ねる動物としか思っていない。 「いや、嫌いじゃない

          【小説】宇宙うさぎ20

          【小説】宇宙うさぎ19

           草木も眠る丑三つ時、動植物園の動物たちは眠らない。そろりそろりと檻から這い出すーー。  私たちも穴ぐらから蛇のように這い出した。 「食いすぎた」  満月がそう言って腹をさすっている。山のような小松菜サラダを食べた後、満月を始めうさぎたち、オケラもダイコク編集長も満腹になると、ちょっと仮眠とか言って寝てしまった。それを起こしてくれたのが玉寺人事部長だった。部長からゆすり起こされた時は悲鳴をあげそうになった。なぜ部長がここにとダイコク編集長に詰め寄ったら、満月の時と同様に

          【小説】宇宙うさぎ19

          【小説】宇宙うさぎ18

           不知火(しらぬい)の皮をむいていたら電話がかかってきた。この甘くてみずみずしい果実は、子どものころからの私のラッキーアイテムだった。毎年、旬の時期を過ぎても食べれるようにと大量に買い込み、ひとつひとつラップに包んで冷凍保存している。不知火専用の冷凍庫も買って置いている。友人たちはみな私のラッキーアイテムをオレンジジュースだと思っているが、正確には違う。不知火はオレンジではない。でもそれを事細かに説明する気もなかったから放っておいたらオレンジということになった。柑橘にも色々あ

          【小説】宇宙うさぎ18

          【小説】宇宙うさぎ17

           ダイコク編集長の話を聞きながら、私は幼い時のあの出来事を思い出していた。私は子どものころ画家になりたいと思っていた。きっかけは単純で、幼稚園の先生にクレヨンで描いた絵を褒められたからだ。  ――すごいねえ。長いおさかなさんが泳いでるね。  ――そらをとんでるんだよ。  ――おさかなさん、空を飛ぶの。かっこいいね。  ――これ、りゅうっ。  ――龍?  ――えほんのりゅう。  ――あ、お昼寝の前に見てた絵本ね。  ――りゅう、すーいすいってとぶよ。  そう言って私は両手を

          【小説】宇宙うさぎ17

          【小説】宇宙うさぎ16

           夜、動植物園のカンガルーは、仲間の檻をひとつずつ開けていく。  ひとつ、サイがゆっくりプールから上がってくる。ふたつ、クジャクが羽を震わせ首を上げる。みっつ、サルたちが列をなす。よっつ、いつつ、むっつ……。すべての動物たちが、夜を歩く。その先頭をカンガルーが跳ねる。鍵を開けるとき、カンガルーはいつも園長殿のことを思い出す。  母の胎内で行われた園長殿との約束。  園長殿は特異な人間だった。園の動物、植物たちと会話をするように意思の疎通がとれ、我々を小さな箱庭に押し込んでいる

          【小説】宇宙うさぎ16

          【小説】宇宙うさぎ15

           翌日、私は作戦通りダイコク編集長に会いに行った。  宇宙うさぎが、うさぎ手は足りてるが人手が足りないからダイコク編集長も協力させろと言ったのだ。私自身、ダイコク編集長に会って確認したいことがあったのでちょうどよかった。  下通り商店街の喫茶店で落ち合う約束をして、ダイコク編集長は時間ぴったりに現れた。  やあと言って普段通りに席に着くダイコク編集長。オーダーを済ませると、昨日の今日でどうしたのと聞かれた。私は前置きなしに言った。 「ダイコク編集長は、誰のために、この件を依

          【小説】宇宙うさぎ15

          【小説】宇宙うさぎ14

           オケラに煽てられていい気になった私は、宇宙うさぎとオケラをボロアパートに招待した。もちろん馴れ合いのためではない。今後の作戦会議のためだ。私は今、ダイコク編集長、宇宙うさぎ、天女様と三者から引っ張りだこでキャパオーバーなのだ。それも一人は業務命令で、一人は脅迫で、一人は交換条件ときた。綿密な計画を立てる必要がある。  ボロアパートの軋む階段を上る時、宇宙うさぎは小鳥の囀りのような悲鳴をあげた。階段の二段目に小石があり、それを踏んづけてしまったのだ。宇宙うさぎは私に怒りの眼

          【小説】宇宙うさぎ14

          【小説】宇宙うさぎ13

           弦の振動が記憶を伝う。私とあの人とあの毛玉っ子との日々。産山の神様がお繋ぎくださったあのご縁。ご縁に恵まれたこの幸せは、必ず次の子どもたちに繋ぐ――。  私の前には、おろおろと状況の飲みこめない青年。昔のあの人にそっくり。毛玉っ子にお尻を叩かれて、やっとこさ問題を解決して、少しずつ世界と向き合って。 「あなた、私と取引しましょ」  少年の記憶の夢から覚めたこの人は提案を受け入れるかしら。ポカンと開けた口まであの人にそっくり。 「あなたの望みひとつと、私の願いひとつを交

          【小説】宇宙うさぎ13

          【小説】宇宙うさぎ12

           ダイコクは、ククチ荘の部屋の窓から見える曇天を眺めていた。つい先ほどまで雨が降っていたが、それも止み、蒸し暑い午後だった。早々と仕事を切り上げ、逃げかえるようにして戻ったこのククチ荘の一室が彼の自宅で、同居人の産山(うぶやま)うさぎはムゴムゴと鼻を鳴らして寝ころんでいる。一緒になって寝ころんだら曇天が見えたのだ。あまり良い天気には思えないが、産山うさぎは陽射しの少ない方が好みらしく、機嫌がいい。 「なあ、トビキチ。うまくいくかね」  同居人の産山うさぎに話かけた。 「

          【小説】宇宙うさぎ12