ラーゲリより、愛を込めて
心に残る一本の映画に出会いました。
ネタバレが気になる人はここまでにしてくださいね。
最初に見た時から深く心に突き刺さったので、二回見ました。
日本にいる家族に手紙を
僕が印象に特に残ったのは、最後のシーン。
主人公の山本さんが、病に倒れ無念にもダモイ(帰国)が叶わなかった。収容所の過酷な環境渦、病床にあった山本さんは日本で帰りを待つ、家族、子供たち、お母様、そして奥様に遺書を遺します。
収容所は抜き打ちの持ち物検査があり、基本的に文字はスパイ活動ともとられるようで、残すことがかなり難しいのです。
そんな中、仲間達は山本さんが書いた四通の遺書を四人で分担して保管し、ダモイの日までそれを隠し通そうとするのです。
しかし、現実はそうは行かず、全ての遺書はソ連により没収されてしまったのです。
やがて年月が経ち、収容所から生き残った日本の兵士の方々が帰国していきます。
そして山本さんを失った家族のもとに、一人、また一人と没収されたはずの遺書を届けに行くのです。
山本さんの元上官だった原さん。
この方の発案で、それぞれ分担して預かっていた遺書を、頭の中に記憶していたのです。
山本さんの言葉を、山本さんを知る人が間に入ってご家族に届けるのです。
ここが泣けた。
人を挟むことでリアリティが増す
山本さんが直接伝えないことによって、映画を見るこちらにとっても、リアリティを増して感じられた。
もしも山本さんが直接伝えたのなら、どこかしら演技臭さを感じたかもしてませんが、他人を間に入れることで、僕らにとっても嘘が無くなるのです。現実と空想の境界線が極めて曖昧になり、一気に引き込まれます。
お母様に遺書を届けたのが、自分の母親を戦争で亡くした松田さん。
子ども達に届けたのが、家庭の事情で学校に行けず、文字が書けなかったのですが山本さんに教えてもらったシンちゃん。
そして奥様に届けたのが、自分の身重の奥様を空襲で亡くした、あいざわさん。
この関係性にも感情が揺さぶられた。
それぞれが自分の亡くした大切な人に対しての想いをなぞりながら伝えているようで、いい意味で頭の中が揺さぶられ感情が湧き出ました。
本当によく出来た映画だと思う。
悲しみを増幅させて見せていたように思う
あとアイザワさんが日本にいる家族が亡くなり、自暴自棄になって、収容所から逃げ出そうとした時、それを止める山本さんが病に倒れるシーン。
あれもただ病に倒れるだけではなく、一つ手前にアイザワさんの悲しみを挟むことで、より絶望感を大きく見せられた。
動物は嘘が少ない
あとは犬のクロがいい仕事してました。
動物は人の演技以上に嘘がなく、伝わってくる物があります。
まとめ
戦争が駄目とかそんな当たり前すぎることじゃなくて、タイトルにあるように、この映画は愛の物語です。誰かを思ったり愛したりすることの深さを教えてくれます。一筋縄には行かないのが人生ですが、なるべく優しい気持ちを持っていたいものですね。
もし機会があれば劇場でご覧ください。
ありがとうございました。
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