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自由俳句 #13 夏炉冬扇

新米の袋抱けるたなごころ

 食の秋です。新米を食べました。新蕎麦を食べました。写真は、蕎麦屋の店内で撮影したものです。扇風機と暖炉が置いてあり、夏炉冬扇という言葉を連想しました。これは、辞書に季節外れで役に立たないもののたとえとあります。扇も炉もいらない季節、窓を開けて秋の気配を感じました。

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   #13 夏炉冬扇

使はれぬ部屋あり西日射すを恥ず

鶏の形なき唐揚げの残暑かな

新米の袋抱けるたなごころ

細々と手巻き煙草や秋風裡

コキア赤き団地に路上駐車せり

レジ前の秋の彼岸のお萩かな

神送る風に小さき声のして

足袋に命救はれ霜の屋根の上

父母の借家行き来轍の霜柱

テレビから笑ひ声して乾燥す

ぎんが

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