見出し画像

ハッカ油(夏) :

ノーベル賞(仲秋)/ 野依良治(仲秋)/ BINAP(仲秋)

✳︎

涼しさについて書こうと思ったのが、もう秋ですね。

 涼味というのは、歯磨き粉であったり、眠気覚ましであったり、現代の生活に欠かせないようであります。ハッカ油の涼しさの主成分は、l-メントールというそうです。工業的に合成できるようになったのは、野依良治がBINAPという触媒を発表した1980年以降のこと。以前、俳句の座談会で新しい季語として「野依良治」を挙げている記事がありました。ノーベル賞の子季語ということで秋の季語だとか。野依良治は、不斉触媒の開発の功績で2001年のノーベル化学賞を受賞しています。

 寺田寅彦は、『涼味数題』という随筆を書いていますが、そのときにはまだメントールの不斉合成は、なされていなかったわけです。とすると、この涼味のひとつにメントールを加えて科学歳時記のひとつとしてみようかと思いました。BINAPというのは、実に涼しげな触媒です。暑苦しい触媒は、日本の風土に合わない。この触媒は、よくみると団扇のような形をしています。このうちわを二枚重ねて、反応を涼しくすることで精密な化学反応を制御できる具合です。

ドロップ舐め団扇二枚の涼しさよ

✳︎

 主題と傍題(ハッカ油・ノーベル賞・野依良治・BINAP)は、本記事上でのみの分類です。俳句における季語の分類は、俳句歳時記や季寄せをご参照ください。なお、薄荷水は夏の季語です。

ぎんが

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?