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体験するべし! Syn:身体感覚の新たな地平 by Rhizomatiks×ELEVENPLAY

虎ノ門ヒルズステーションタワーの情報発信拠点TOKYO NODE。
その開館記念イベントとして開催されているのが、
Syn : 身体感覚の新たな地平” by Rhizomatiks × ELEVENPLAYです。

このイベントに興味を持ったきっかけは、NHKアカデミアで振付家のMIKIKOさんの回を見たから。NHKアカデミア、色々な方がお話される面白い番組なのですが、特にMIKIKOさんの回は、面白かったです。
Perfumeの振付をはじめ、様々な振り付けや演出をされるMIKIKOさんです。作品を振りつける過程やこだわりが興味深く、ELEVENPLAYの実演と共に振り付けする様子がとても面白かったです。
創作ってこういうふうになされているんだ……
その番組で、ELEVENPLAYというダンスカンパニーを知って、興味を持ちました。

そして、このイベントを見つけたわけです。
丁度、雪100に遠征して東京にいるのだから、これを観て帰ろうとチケットを購入し、雪100をマチソワした翌日、虎ノ門に向かいました。

虎ノ門ヒルズステーションタワーってすごく近代的なビルのようだし、没入型パフォーマンスというイベントも若い方向けで私みたいなおばちゃんが観ても大丈夫だろうか?とか、ちょっとドキドキしました。

すっご! さっすが、天下の森ビル!
スタイリッシュ! スタイリッシュ! スタイリッシュ!
新品のビルは、エリートサラリーマンしか入ってはダメなのじゃないかと思える、スタイリッシュなビル!
私がこんなところをうろうろしていて、怒られないかしら? 
「どこに行くんですか?」っとか言われたら「TOKYO NODE」ですって言わなくっちゃ、ところで、これトウキョウノードであってる?とか、まあまあ心臓バクバクしながら、「TOKYO NODE」に向かいます。
すると、スタバがあって、何かホッとしました! 困った時のスタバ。
予約時間には間があるので(40分も前に着いている!)素晴らしい見晴らしを眺めながら、スタバでカフェラテを飲みました。
地価の高そうなこんな豪華なビルで、490円のカフェラテで儲かるのかしら?といらん心配したりしていると時間になったので、会場に向かいます。

無料のコインロッカーがあるのですけれど、コインロッカーまでスタイリッシュ!

え? コインどこ入れるの?
おお! 扉の裏でした。

さて、イベントに参加する前に注意事項を聞きまして、スマホは機内モードにするように言われます。でも、写真撮影は可なんですね。
いよいよ、入場です。 注意!ネタバレあります!

まず、研究施設のような場所に案内されます。案内してくれるのはアンドロイドのように機械的な動きをするダンサー。ボックスに入るように促され、そこで顔をスキャンされる?
壁面のディスプレイに次々映し出されるのは、スキャンされた観客の顔、顔、顔……どこか、不安げに、見えます。
いくつかのカプセルの中にはアンドロイド?あるいは人形?
研究施設では何かの研究が行われてるのか?

次の場所へと移動すると、3Dメガネを渡されます。
ドキドキしながらトンネルを抜けると、うねうねと蠢く球体が見える。生命体か? 何なのか? 拍動のようなリズム、幾何学的な空間、音、光。
初めて体験する不思議な空間で、大きな直方体の箱が動き、ダンサーが現れ、フォーメーションが変わります。
没入型パフォーマンスというのも納得で、ダンサーと同じ空間で観客というよりは、空間の中のピースの一つとして存在しているような浮遊感を感じました。
ダンサーに誘われ、場所を移動します。
数分前の自分の姿が映し出され、音や光と共に、時間すら制御されているような不思議な感覚。時間が逆行しているように感じます。
そして、最後の場所は、静かです。
水面に浮かぶようなピアノの音。見えるのは影。
そこに置かれたVRゴーグルを通してみると、映像が現れます。
ゴーグルの中には演奏者やダンサーの姿。
影しかみえなかったその空間には、演奏者やダンサーが存在するのです。
それは、ゴーグルを通してだけ見える存在です。

目に見えるとは何なのだろう?
存在しているとはどういうことなのだろう?

この作品からは、様々な感覚を受け取り、様々な疑問を感じて、色々考えることが出来て、本当に面白かったです。
70分があっという間に過ぎてしまいました。

人によって感じ方は違うと思います。
私は、ダンサーの人間的な感情を感じないことが面白いと思いました。
ですが、ダンサーは機械でも映像でもなく、実体です。
感情を感じないのに、感情を持つ人間であること、そこに存在する実体であることをひしひしと感じるんです。
感情を感じないのに、無機質なものには感じられないのです。
人間が、リズムや音や光と同化するように演じている。
哀しいとか、苦しいとかそういう感情ではないのです。でも、鍛錬をつんだ肉体が生み出すリズムや音や光に重なる動きは、機械的に見えるのに、とても人間的にも見えるのです。
人が創作する世界。肉体が表現する世界。
脳の中に直接アクセスされたように感じる、不思議な感覚。
でも、それが感情を揺さぶるんです。
人間が演じるのではなく、アンドロイドや映像が演じていたとしたら、同じように感情を揺さぶられるだろうか? 否。
これは、人間が演じているから揺さぶられているように思います。
本当に、不思議なパフォーマンスです。

感情表現豊かなクラシックバレエに対する、モダンバレエのような感じかといえば、それもちょっと違うように思いました。
幾何学的というか、数学的というか、宇宙的というか、新しい創作物という感じで、とっても面白かったです。

でも、演者の魂は感じるんですよね……

これ、通年で公演しても良いのじゃないかと思うような作品なのですが、わずか1か月余りの公演のようです。
なんか、もったいない……

さすが、東京だな……
こういう作品は東京に行かなくちゃ見られないなあって感じました。

私は休日に見たので8300円でしたが、平日なら8000円です。
そして平日の学生なら半額の4000円、子供ならさらに半額の2000円という価格設定には驚きを感じます。
学生さんは、ぜひ体験するべきだと感じます。
私が親なら(子供いないけれど)、子供も孫も連れて行くなあって思いました。

この作品を作り上げた、MIKIKOさん、真鍋大度さん、石橋素さんの才能や感性に脱帽しました。

MIKIKOさん、宝塚の振付とかしてくれないかな?
新しい世界が見えるだろうなあ。栗田先生とか、合いそうだなあ~
と妄想を膨らましてしまいました。

宝塚とは全く違うダンスパフォーマンスですが、色々と感じることができる素晴らしい作品だと思いました。

11月12日までですよ!

もう一度、見たいくらいだったのですが、お腹も減ったしカフェに行きました。

驚いたのが、お手伝いロボット。スタッフの片づけを手伝うんですよ、これ。食べ終わった食器をスタッフがこれにのせると、運んでいきます。

クラムチャウダー、プリン、紅茶。
どれも美味しかったです。

ビルから見える景色も凄いです。

ずっとコロナで遠征をしていなかったのですが、やっと博多座や東京などに足を延ばせるようになりました。
遠征をきっかけに、行ったことのない場所に足を運んだり、面白いパフォーマンスをみたりして、好奇心を満たすのは本当に楽しいですね。
これ、絶対ボケ防止になるなと思います。
想像力、創作力、人の持つ力を感じると、こちらまで元気が出ます。
そして、自分の感受性も変化しているように思います。

悲しい出来事で、しばらくムラでの観劇はできないけれど、次の公演を観る時には「新しい感じ方をする私」でいるかもしれません。
そんな「私」がどんな楽しみ方をできるのか、そんなことを思うとワクワクします。
だから、ムラでの公演再開を静かな気持ちで待ちたいと思います。

楽しい東京遠征でした。


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