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舞台感想 宝塚歌劇 月組公演 Eternal Voice 消え残る想い Grande TAKARAZUKA110!

月組公演を見てまいりました。
先月の花組公演と同様、トップコンビのご卒業公演だというだけで、胸に迫るものがあります。
花の道は満開の桜。いやー、良い季節ですね~
でも、春は出会いと別れの季節。
喜びと、切なさとが入り混じるそんな季節でもありますね。

さて、大いにネタバレありの舞台感想です。

芝居は、正塚先生のオリジナル作品です。
発表された時は、正塚先生かあ~ガックリ……と思ってしまった。
音楽学校の先生でもあり、ベテランの演出家でもある方に、素人が物申すのは失礼なことかもしれません。
けれど、「お金を払って観ている観客」として作品の感想を持つのは言論の自由。好き嫌いを自由に口にする権利は持っていると思っております。

一回目を見た感想は、「わかりにくくて、退屈」

物語は(大いにネタバレします)考古学者でアンティークの買い付けもしている月城さん演じるユリウスが主人公です。
ユリウスは、本物か偽物かわからないメアリー・スチュアートの遺品の首飾りを手に入れます。
超常現象研究所を営むヴィクター(鳳月)は不思議な力をもつ女性アデーラ(海乃)の力を実験しています。そこに、ユリウスが首飾りを持って現れると、アデーラはそれがメアリー・スチュアートの物であると言い当てます。
ユリウスとアデーラはどちらも、子供の頃から不思議な力を持っていたことに共感を覚え、親しくなります。

カトリック信者で王政廃止論を唱える自由党の議員ゼイン(高翔)は降霊会を開催し、勢力を広げようとしています。
一方、それを阻止しようとする特定秘密局局員ダシエル(風間)とエイデン(天紫)はヴィクターに協力を求め、ユリウスとアデーラはその争いに巻き込まれていくのでした。

簡単に言うと、
プロテスタントであるヴィクトリア女王の王政を、
カトリックのバックアップを得た議員ゼインが霊媒師や呪術師の力を借りて倒そうとする陰謀があって、
それをユリウスやアデーラが秘密局局員に協力して阻止するって話です。
(たぶん)

遺体とべつの場所に埋められたメアリー・スチュアートの心臓を掘り返したり、霊媒師と呪術師がエイデンの体を使って復讐をしようとしたり、
過去の幻が現れたり、ヴィクトリア女王時代のオカルトっぽい超常現象を思わせる世界感が漂う物語です。
メアリー・スチュアートは何かを呪っていたかのように思われるのですが、本当は、争いを続けないで欲しい、つまりは平和であって欲しいという思いを残していたってわけです。(たぶん)
アデーラはメアリー・スチュアートの侍女の末裔だったから、その想いを感じることができたってオチです。(たぶん)
ちょっと、一回目だから自信がない。

めちゃくちゃわかりにくい上に、さほど中身のない話です。(失礼)

ただ、私はこの時代の衣装とか世界観が結構好きなので、その時代の衣装を身に着けた民衆たちの群舞はとても楽しく感じましたし、
なによりもユリウスとアデーラの美しい姿は眼福だし、
二人の芝居が上手いので中身は置いといて、ヴィクトリア女王時代の世界観に引き込まれます。

そして、よほどのマニアでなければわからない面白ネタを一つ。

観劇の前に、演劇評論家の薮下先生の作品解説をお聞きしたのですね。
これは、参加して良かった!
聞かなければ知らないし、わからない面白い話がありました。それは……
過去に、アリスン アトニーの「時の旅人」を原作に麻路さきさん主演のバウホール公演「グリーン スリーブス」という作品があったようです。
これは、麻路さんが演じる主人公が囚われのメアリー・スチュワートを救出しようとする物語らしいです。
その、主人公の名前がアントニー バビントン。
彩海せらさん演じる霊媒師マクシマスと彩みちるさん演じる呪術師エゼキエルのセリフの中に、「バビントン」とか「アントニー」という固有名詞が入るのですが……
ナント!彼らはアントニー バビントンの末裔という設定らしい!のです。
だから、彼らはご先祖様の為に、復讐を考えているのです。
いやあ、事前に聞いていなければぜーったいわからない話です。
いやはや、知る人ぞ知る、解る人にしかわからない、謎解きまで包有されているのか。マニアックだなあ~と考えると、面白いですね。

あみちゃんとみちるちゃんのコンビは、「応天の門」の長谷雄と白梅も大好きだったのですが、今回のマクシマスとエゼキエルも最高です。
この二人の怪演は、インパクトがあり、かつコミカル。たいくつな作品をピリッとひきしめてくれたと思います。

私の観た日は、凛城きらさんの体調不良でジェームズが佳城葵さんで、セバスチャンが大楠てらさんだったのです。佳城葵さんのジェームズは憎めないコミカルさが魅力でしたし、長身の大楠てらさんのセバスチャンはなんとも不気味で良い味を出しておられましたね。
りんきらさんの体調が早く良くなられますように。

私はあと何回か見る予定があるので、もう少し中身がよくわかるかと思いますが、一度しか観ない方もおられるのだから、もっとわかりやすく、退屈しない物語を作れないものかなあって感じます。
美しく、芝居上手な演者がいなければ、間違いなく爆睡していた。
解る人にだけ解るマニアックな仕掛けがあるのは面白いと思います。
でも、初見の人が面白いと思える作品に、マニアックな仕掛けがあってこそその効果はあるのではないかと思います。

良いオリジナル作品を観たいな~

さて、ショーです。
テンポよく進むショーで、客席降りもあり、初舞台生のロケットもあります。もう、可愛くって、頑張っていて、泣ける泣ける……
耳馴染みある曲が使われていて、飽きがこずにあっという間に終わります。
「月」組トップのご卒業公演ということで、「月」がテーマになっています。

特に、月城さんが狩衣で現れる「雪月」のシーンの荒城の月は沁みます。
最後に、烏帽子をつけたれいこさんの美しさといったら、もう……
「美」って涙がでるじゃないですか、この「美」をもう観られないのかって思うとさらに涙でしょ。号泣ものです……

ご卒業公演にふさわしい、素晴らしいショーだったと思います。

花組さんが観にいらしていて、観劇かぶりの幸せも味わうことができました。

あと何回か見る予定なので、感想を追加することもあると思います。

過去の舞台感想はこちら
宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚OGさん出演の舞台感想はこちら
宝塚OGさん出演 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

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宝塚歌劇以外の舞台、映画感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

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