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舞台感想 宝塚歌劇 雪組全国ツアー 仮面のロマネスク Gato Bonito!

全国ツアーを岐阜県で見てまいりました。

車を出してもらわなければいけないので、チケットは二枚取って夫に連れて行ってもらいます。夫は宝塚ファンというわけではありませんが、舞台鑑賞が嫌いなわけではないので、一般人の目から見た宝塚の感想を聞くことができてわりと面白いです。

知らない会館なので早めに行って、周りの状況を確認します。6時からの公演なので4時半くらいに到着して、軽く食べようと思いました。
が、不二羽島文化センター周辺の飲食店は、開いていない!! 5時からとか休業とか……。
「オムライス」というのぼりのある喫茶店が見つかったので入ってみたら閑散としていて、店主はちょっと個性的な方……店に入ったとたん「消毒してください」と言われ手を消毒し、机には「撮影禁止」とかのシールが貼られていてなんだか異様……水とおしぼりを持ってきた店主に
「何か食べるものは?」ときくと
「ありません」
「え?」
「飲み物だけです」
「あの、オムライスののぼりが……」
「終わりました」
ごめんなさい……私一人なら仕方なく飲み物を頼みそうですが、
「あかん、出よう」という夫の言葉で、退出。
知らない場所で食事をするって意外と難しい……
近くにあった「ほっともっと」でお弁当を買って、会館前の公園で食べました。「ほっともっと」のお弁当、安くておいしいですねえ~

さて、不二羽島文化センターは初めて来た会館なので、トイレの場所や個数がわかりません。とりあえず一階のトイレの列に並んだのですが、遅々として進まず。一体、個室はいくつあるのか?
スタッフさんが「トイレはスカイホール内、二階にもあります。○○も開放しております」と言ってくれるのだけど、この案内では列を離れられない。
どこのトイレが空いているとか、開放しているトイレのわかりやすい場所を教えてくれなければあまり意味はないですよね。場所を変えて同じくらいの列に並ぶならここに並んでおこうと思いますよね。
案内の方法に、もう一工夫必要かなって思いました。
ちなみに一階のトイレの個室は6~7室あったかな。で、スカイホール内のトイレの方が個数はだんぜん多いのだけど、和式トイレが結構ありまして和式OKの方なら早いかもです。(和式が洋式だったらなあ~とは思う)

さて、舞台感想です。
ネタバレありです。

ストーリーは貴族、富裕層、平民が混在し、平民の不満もまた膨れ上がりつつある王政復古時代に、美しく富もあるメルトゥイユ侯爵夫人とヴァルモン子爵が恋愛ゲームを繰り広げるというものです。
メルトゥイユ侯爵夫人は昔自分を裏切ったジェルクール伯爵が純真無垢な令嬢セシルと婚約したことを知って、ヴァルモン子爵にセシルを誘惑することを持ちかけます。ですがはヴァルモン子爵は貞淑なトゥールベル夫人に興味を持っていて彼女を攻略しようと狙っていました。
ヴァルモン子爵とメルトゥイユ侯爵夫人は昔の恋人同士。
意地をはり、本音を口にしない二人ですが、仮面をかぶった心の奥底ではお互い強く惹かれあっているのでした。
セシルの母親にトゥールベル夫人を誘惑することを邪魔されたと知ったヴァルモン子爵はセシルを誘惑することで母親に復讐しようと考えます。
セシルにぞっこんの青年ダンスニーを利用してセシルを手に入れたヴァルモン子爵は、トゥールベル夫人も自分のものにします。
二人を自分のものにできた場合は、よりを戻すとメルトゥイユ侯爵夫人と約束していたヴァルモン子爵ですが、メルトゥイユ侯爵夫人はトゥールベル夫人に心を残しているヴァルモン子爵の愛人の一人にはならないと拒絶します。そしてダンスニーはヴァルモン子爵に利用されたことを知り決闘をすることになるのですが……
平民が蜂起し、男たちは貴族として戦いに赴かなくてはいけない世相になってきます。
ヴァルモン子爵は、メルトゥイユ侯爵夫人は、どうなっていくのでしょう……

私はこれまで実際の舞台で見たことはなくて、スカステの放送で数回観ました。
はっきり言ってこの作品、好きではない。
宝塚の名作の一つですけれど、私は好きではありません。
恋愛ゲームを仕掛け、ゲームに巻き込んだ人々の心をもてあそんだ二人が最後には二人だけの舞踏会で美しく終わっていくのに、どうしても納得できず、もやもやしてしまうからです。
初演が退団公演ということで、美しい別れで最後をしめくくるという柴田先生の愛のあふれる作品だったのだろうなあと推測します。
それは、わかる。
モラルのない主人公をこれだけドラマティックに仕上げるのは、すごく宝塚的で、凄いなあと感心するけれど、登場人物の誰にも共感できないないので、やはり作品としては好きではないのです。ま、古典ではありがち。
古典って差別意識が強烈な時代に書かれているものですから、現代人の感覚ではついていけない部分も多いと思います。
でも「人間の本質はこういうものなんだよ」と改めて思い知ることもできますから、古典から学ぶべきことも多いと思います。
だから、古典を否定するつもりはありません。

でもね、ヴァルモン子爵もメルトゥイユ侯爵夫人もクソ野郎ですよ。
この二人の心の奥底は強く愛しあっていたって設定にしたところで、実際の行動はクソですからね。
古典の世界では、男が女を品物のように選んだり、評価したり、誘惑のすえ「嫌よ嫌よも好きのうち」でことに及んでしまい、トゥールベル夫人のようにそれを「忘れられない」と思ってしまう女心が当たり前のように描かれるという作品多いですよね。日本の源氏物語だって似たような部分はある。
私自身、昔はそういう古典の表現に違和感を持っていませんでした。
ですが、最近は自分自身の受け止め方が変わってきていると感じます。
だから「不快」「もやもや」という感情が消えないのだと思います。
美しい結末に心が寄せられないのですね……
悪者は悲惨な最期をとげるか、あるいは清々しいまでに悪を貫き通して高笑いをしている方が面白いと感じてしまう私は、美しい最後の物語は「なんだかなあ」って思ってしまいます。
ちなみに、原作の最後はこうではないらしいので、柴田先生が無理やり結末を宝塚的になさったのだと思うけれど……
ちなみに、原作は難解らしく私は読んではいないのですが、スカステのナウオンで縣くんが原作を読んだと言っていて、なんて真摯に役に向き合う子だろうと感心しました。

でも、宝塚ファンの視線で、つまりビジュアルと物語の世界観とジェンヌさんの頑張りを楽しむ意識で観れば、それはそれで楽しいわけです。
だって、なんといっても美しい。美ですよ、美!
冒頭、ピンスポットが当たって振り向いたヴァルモン子爵の美しさといったらもう、そりゃ、あなた、言葉を失いますわ。
「美しい」だけであーさを評価するのはむしろ失礼なくらい、芝居も歌もお上手なあーさですけれど、やっぱり綺麗だわ~
そして、夢白ちゃん。貫禄と色気がものすごくって、女にモテモテのヴァルモン子爵がずっと執着し続けてきたことを納得させる魅惑的な女っぷり。
この二人が、芝居をひっぱっていくので、退屈しません。
音楽もいいですね。
ダンスニーの縣くんが、なんとも可愛い。原作を読んだ上での役作りって思うと、縣くんの役に取り組む姿勢に頭が下がります。
女性慣れしていない体育会系。猪突猛進で人を信じやすい単純頭の持ち主。
ドロドロした大人たちの中での真っ直ぐさがなんとも愛おしく感じられる。彼はセシルと幸せになって欲しいと思っちゃいます。
驚いたのが、咲城けいさん演じるジェルクール伯爵。大人の貫禄と色気があってメルトゥイユ侯爵夫人が彼に執着して復讐を考えるのも納得だわ~と思いました。若手なのに、役によって突然貫禄がでるものだと驚きました。
希良々うみさんのトゥールベル夫人も、背徳の行為に苦しみながら揺れ動く恋愛感情をもてあましている様が良く出ていました。
華純沙那ちゃんのセシルも可愛い。世間知らずなあぶなっかしさがとても良く出ていたと思います。
雪組は娘役ちゃんたちが皆良い! 歌も上手いし期待できますねえ。

あーさのヴァルモン子爵は、美しく傲慢で自信にあふれていますが、私にはどこか危うい繊細さが感じられて、たまりませんでした。
そして、夢白ちゃんですよ。
素晴らしい存在感と美しさと色気で作品を引っ張っている感じがしました。

若手が多いので芝居に不安があるかと思いきや、バランスのとれた好演だったと思います。

さて、ショー。
Gato Bonito!
綺麗、楽しい、上がる~
夫はとても、楽しんでいました。
めったに手拍子しない夫が手拍子していたので、宝塚ファンではない地方の初見の方も絶対楽しめていると確信します。
やはり、全国ツアーは、こうして新しいファンを確保していくのだと思いますし、それに大きな意味があると思います。

でも、私はと言えば……
どうしてものぞ様の歌声が、姿が、記憶の彼方からあーさの姿に重なってしまうのです。
再演の難しさって、こういうところにあるかもしれません。
少し前にのぞ様のHelloを観たせいもあるかもしれません。
「何か違う」「こうじゃない」感がぬぐえないのです。
間違いなくあーさのGato Bonito!になっているのに、ずっと「どこか違う」という感覚のまま、観終わってしまって、あーさに申し訳ない。

でも、驚いたことに夢白ちゃんは違ったのです。前作に出ていなかったこともあるのでしょうが、彼女の世界を作り上げていて、キレのあるダンスに目が釘付けになりました。
私の記憶の中のまあやの姿を、全く違う形で上書きする。

全国ツアーでの夢白ちゃんの存在感は、格別だと思いました。
咲ちゃんに添い遂げず「私にはまだやることがある」と言った夢白ちゃんの覚悟が出ていたように思えました。
今後の一層の進化が楽しみなトップ娘役さんだと思いました。

過去の舞台感想はこちら
宝塚歌劇 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

宝塚OGさん出演の舞台感想はこちら
宝塚OGさん出演 舞台感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)

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宝塚歌劇以外の舞台、映画感想まとめ|おとぼけ男爵 (note.com)


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