見出し画像

壁を乗り越えてほしい。

一昨日の9月24日(金曜日)から開催されている『第69回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会』。

一人の東京オリンピックランナーが苦しんでいる姿をLIVE配信で見守っていました。

それは、鶴田玲美選手(南九州ファミリーマート)。

大学を卒業して、社会人1年目の2020年に一気にブレイクした遅咲きの短距離選手です。

大学時代までは、日本のトップ争う日本選手権とは無縁の選手で、地元である鹿児島を拠点に、男子高校生を相手に練習を始めてから一気に日本のトップクラスまで駆け上がりました。

初出場となった2000年の日本選手権では、『100m』で2位、『200m』では優勝という結果を残し、東京オリンピックの『女子4×100mリレー』ではアンカーを任されるまでになりました。

しかし、チャレンジャーとして伸び伸びと走れていた2020年に対し、今年は持ち前の後半の伸びを欠くレースが続き、2020年に記録した自己ベストに遠く及ばない記録で、もがき苦しんでいる状態です。

大学を卒業した時点では、東京オリンピックに出場することなど微塵も思っていなかったでしょうから、今はオリンピック選手ということがプレッシャーになっているのかもしれません。

昨日行われた『女子100m』。

予選1組目に登場した鶴田選手は、スタートから出遅れて最後方からのスタート。

後半は持ち味である伸びのある走りで1着となりましたが、追い風1.4mの好条件下でしたが、11秒86と記録的には物足りない結果での決勝進出を決めた表情には笑顔はありませんでした。

その硬い表情のまま迎えた決勝。

同じく東京オリンピックに出場し、『100mH』を専門とする青木益未選手(七十七銀行)が予選から好調さを見せており、鶴田選手にはますますプレッシャーがかかる条件が揃ってしまいました。

スタートラインに立つ鶴田選手の表情は硬く、集中しているという表情とも違い、焦りを感じているようにも感じられました。

号砲がなり、予選よりは改善されたものの、やはり出遅れ最後方からのスタート。

メンバーに恵まれた予選とは異なり、決勝は予選を勝ち上がってきた猛者たちばかり、予選で好調さを見せていた青木選手が抜群のスタートを決めて先行すると、鶴田選手は中盤追い上げるも終盤の伸びを欠き、11秒83の5位に終わりました。

一方、青木選手は、向かい風0.1mで11秒60の自己新記録で優勝。

11秒4台の記録を持つ鶴田選手にとって、決して勝てない大会ではありませんでしたが、やはり日本トップクラスでの大会経験の少なさが、大きな壁として立ちはだかった形となったのかもしれません。

チャレンジャーとして臨んだ昨年から、追われる立場に変わった今年、国体出場の目標から一変して東京オリンピックの世界舞台に立ちました。

目標を現実が追い越してしまい、それが心身の成長に追いついていない状況ではないかと思います。

この見えない壁を乗り越えた先には、新たなステージが待っていると思いますので、是非乗り越えて、満面の笑みを見せてくれることを願うばかりです。

まずは、本日実施される『女子200m』で、昨日の悔しさを晴らす走りを期待しています。