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いい塩梅の投資でグッチに磨きをかける。〜趣味のオートバイの話 4 最終回

オートバイの音を目ん玉飛び出すほど高いお金を払うことなく、いい塩梅の出費で楽しみたい。
そんな思いで始めた独自調査。
果たして納得の結末を迎えることができるのか?
趣味のオートバイの話 1
趣味のオートバイの話 2
趣味のオートバイの話 3
から続く4話目最終話。

何を隠そう、調査することなく直感でコレ! と思ったマフラーは、確認の層を深めていくにつれ、最初の閃きが間違っていたことが明らかになってきた。あとになって振り返ればスタイルも古臭いし、音もかっこだけを気にしたがらんどうの男の口説き文句みたいに軽かった。

そしてとうとう、納得のスタイルと価格のパーツを見つけた。
所有しているバイクと同型の車両に「加工無しでそのままついた!」という写真付き投稿も見つけた。

残念ながら動画がなく、となると音量も音質も確かめられない。
しかたない。似たような排気量のオートバイへの装着例を探さなければならない。
検索ワードを工夫して工夫して、その末、ついに! 探し求めていたものにもっとも近い動画にめぐり合えた!

チェック!

広告動画を5秒間耐え、スキップ。すると動画が流れはじめた。

どどどど。

ん。
悪くない。

これなら納得の領域におさまる。

おっけえ!

通販画面に戻る。
まさかね、画面にはShipping Freeとある。配送無料は国内へのデリバリーだろうと思って海外発送の配送料を探すが、ない。
たしかに、どこにも見当たらない。

ま、送付先を日本にしているのだからいずれ現れるだろうと思い、購入手続きを始めるも、いっこうに送料が出てこない。配送先は日本のはずなのに、Shipping Freeのままだ。

二度目の「まさかね」。

もしかして着払い? 船便ならたいしたことないだろうと性善説でファイナル購入ボタンを押してしまった。

画面には商品到着は1か月弱後と表示されていた。
うん、これは船便のスケジュールだ。船便なら送料も高が知れている。
かつてイタリアから船便で品物を送ってもらった際、6000円ほど配送料をとられた。今回はアメリカからだが、重量的には似たようなもの。高くても1万円はいかないだろう。

ところが、だ。わずか数日で購入先からメールが着た。
1週間以内に着くよ、とあった。配送会社はFedEx。

ふぇでっくす!?

イヤな予感がした。

FedEx経由の配送で過去、不快な思いをした経験があった。それが、暗い影となって脳裏を覆っていく。中国のショップから船便なら送料サービスとあるから船便で送ってね、と指定したはずの500円程度の小物が、予告もなしに翌週にFedExから届いてしまったのだ。
FedExの兄ちゃん曰く。「送料いただきたいのですが」
「は?」
そんなはずはない!
断じてっ!

送料がいくらだったか詳しく覚えてはいないが、4~5000円くらいの記憶がある。500円程度のものの送料がその10倍? ありえない!
料金を徴収しなければならないFedEx配達員には申し訳ないけど、約束とは違う料金は払うわけにはいかない。
事情を説明して「証明できるものがあるのですが」と言うと、どうやって折り合いをつけたのか知らないが「わかりました」と気持ちのいいほど潔く引き下がり、帰っていったことがあった。
かの国からの配送にはどんぶり勘定なところが伝統的に残されていて、慣れるわけにはいかないけれども慣れっこになっているのかもしれなかった。改善の意思を断固かため、帰っていったのかもしれなかった。

勝手に配送方法を変更した業者に腹がたった。その身勝手が少なくとも2者を困らせたのだ。FedExに落ち度はないが、注文したこちらにも責められるいわれはなかった。

その、送料がぶっとび価格のFedExで送られた?

今度はいったいいくら取られるというのだ? 中国から500円の小物で5000円程度。マフラーという重量級のシナモノをアメリカから送られてくることを考えると、予想すらできない。循環していたはずの血液が足の裏からすっと抜けていくようだった。

購入ページには156.46米ドル、当時の為替レートで1万5080円とあった。
Shipping & Handling欄は、送料無料のまま。
でもねえ。アメリカからの配送でしょ?
無料で送ってくれる太っ腹?
本当?
表示が真実であることを願い、すがりたいと思う気持ちが強くなっていく。だけど、世の中にそんなに虫のいい話が転がっているとは思えなくなってきた。料金負担が当方の可能性だって、ないわけではない。もしこちらが負担するとなったら、トータルでいくらになるのだろう?

どきどきしながらFedExの料金表を検索し、評させた。
ページが開くまで、気が気ではなかった。

不安材料を紐解こうとする瞬間はいつだって時間の流れが歪み、速度を弱める。

どくん。

そして運命の時。

料金表を見て、血の気が引いた。
料金表は、日本からアメリカへの送料を表していた。
該当重量の場合、送料は・・・・4万円を超えていた。
よ、ん、ま、ん、え、ん、よりもっと高い!
1万5080円で買ったものが、いきなり5万円になるのだと思ったら視界を照らす電気のスイッチがいっせいに切れた。それはもう、同時多発で有無を言わせぬフィラメントのショートという抵抗だった。

商品が着くのが怖くなった。

ああ、こんなことなら冒険などするのではなかったと後悔した。
でも時間はもう巻き戻ることはない。ただただ残酷に前に進んでいくだけだ。

だが待てよ。アメリカからの送料が日本から送る料金と同じだとは限らない。アリババで購入する商品が、日本郵便の常識外の送料を設定していることを考えると、あながちアメリカも同じセオリーをあてはめられるのではないか?
藁をもすがる思いが、指を動かす。
調べてみると、2万円くらいまで値がさがってきた。
ほっ。
安堵にはほど遠いはずなのに、隣の芝を青く見る日本人の悪い癖。比べることで納得してしまう情けない自分がいた。

結局、トータルで3万5000円まで下がった。

・・・顔を突き合わせてもいないのに、なんだかアジアで値引き交渉しているみたいな気分だった。意識して楽しんでいない分、弄ばれているようでおもしろくはなかったけど。

そしていよいよ到着の日を迎えることに!

「〇×運輸です。FedExさんからのお届け物です。サインを」
あれ? FedExが直接持ってくるんじゃなかったの?

しかも、である。
サインしておしまい。
送料は?
表示どおりなかった!

ひゃあ、あのシナモノを本当に1万5080円で手に入れられてしまったのだ!

歓びが声をあげ心が手放しで万歳したせいで、受け取ったマフラーをあやうく落っことしそうになった。

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心がバイクの鼓動みたいに浮かれ立った。

問題もあった。装着してかけたエンジンが奏でる音質に満足はしたが、音量が思っていたより大きかった。

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これではご近所にうるさがられるばかりでなく、きっと車検にも通らないだろう。排ガス規制の構造はエキパイまでで構築されているから心配にはおよばないのだけれども、いかんせん音量は許容してもらえる範疇外。

近々消音材を入れなければならないなあ、というのが、次いで湧き出た課題だった。
消音器は買ってもたかがしれているし、装着も簡単だ。
さ、次のステップへ。
かくして湧いて出た難題を解決し、次なる冒険に意気揚々と向かおうとする趣味世界の泥沼は、さらに深みを迎えていくことになる。

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以下は、有料記事とさせていただきますが、商品(型番というか商品の指定)とその入手方法、装着方法の手順を記してあり、同じタイプの車両をお持ちでない方には無用の情報になります。
音量規制の問題があるので、自己責任の承認フィルターとしての有料化であることご了承ください。
この情報で該当商品を購入されても、当方はいっさいの責任を負うことはありません。また、以降の記事は記録であり、一連の行動でかかる費用を保証するものではありません。有料記事におすすみいただいた場合、上記2点の注意事項を承認したものとさせていただきます。

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