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元講師が打ち明ける「歌手やシンガーソングライターを夢見る君へ」:喉(のど)のケアについて

「喉のケア」を知らないのは危険

今回のは歌のにとって切り離せない、喉(のど)のケアについて書きたいと思う。

喉のケアについても、なるべく早く、歌手やシンガーソングライターを目指す君にに伝えたいことだ。

なぜなら、喉や体についての知識がない状態で、喉に負担になる間違った練習をしかも大量に行った場合、喉をいためてしまうばかりか、元に戻れないレベルでの損傷になってしまうからだ。

さらに、間違った練習で喉に負担のかかる強引な発声方法が定着してしまうと、そのクセを取るためだけに多くの時間がかかってしまう。

マイナスからゼロのスタート地点に戻すのに数年かかることもある。

しかも、発声のクセを取る期間は普通の歌の練習もなかなか進まなくなってしまう。

つまり、喉のケアについて最初に知っておかないと、気づかないうちに大きな回り道をしてしまうことがあるのだ。

レッスンの最初に「喉のケア」を教えるかどうかが、「よい講師かどうか」の判断材料のひとつになる。

私が現役の頃は、ウォームアップ・クールダウン・その人の音域の判定、喉のケアを、レッスン初回に教えていた。

もちろん、初回は思いっきり緊張している生徒などもいたりするが、遅くても2回目までには必ず教えていた。

それは、喉について知識のないまま、間違った発声を大量に行っていて、初めて会った時には、声も発声方法もめちゃくちゃになっている人を何人も見たからだった。

ウォームアップやクールダウン、喉のケアはそれぞれ大切であるのは間違いないのだが、レッスンで取り上げるにしては地味な内容だ。

講師の視点でいうと、面白さが少ないレッスンをすれば在籍数減少につながる。
つまり生徒がやめてしまいやすくなる。

それでも最初にやっておかないと、生徒本人がその後トラブルや回り道をしてしまう可能性があるので教えるわけだ。

だから、最初にしっかりとウォームアップ・クールダウン・その人の音域の判定、喉のケアを教える先生はよい先生なのだ。

そしてその次は腹式呼吸・・・となっていくが、そこまで教えていると、おそらくレッスンは3~4回、1か月くらいは経っているだろう。

その間、地味なレッスンばっかりやっていくのは講師も生徒もややしんどいのだが、間違いなくそれをするだけの価値はあるのだ。

もし、長い間レッスンしていてもウォームアップや喉のケアをほとんど教えない講師がいたら、知識や経験がないか、儲け優先になっている可能性が高い。

そんな講師のレッスンはさっさと辞めてよい。
それが君のためにも講師のためにもなる。
この件についてはまた別の記事で取り上げようと思う。

あ、ウォーミングアップとクールダウンについては、今回の記事では書ききれないと思うので、次回の記事で取り上げようと思う。



「体験レッスン荒らし」では決して教えてもらえない「喉」のこと

コロナ前、リモートが一般化する前は、レッスンにお金を払いたくない人や、ボーカルスクールを開業したい人が、いろんなスクールの無料体験レッスンを回ってノウハウを得ようとしている場合があるようだった。

しかし、無料体験レッスンは、実際のレッスンはこんな楽しいですよ、と参加者に伝えるものなので、体験レッスン荒らしをしても、こういう地味だけど本当に大切なことはあまり教えてもらえない可能性が高い。

しかも体験レッスン荒らしの人だって、予約を取ってあちこちのスクールに行くわけだから交通費も時間も結構費やしているわけだ。

まあ、何事もタダより高いものはないのだ。

相変わらず長い前置きになってしまったが、それだけ大切なことなので、以降の内容をしっかり読んで参考にしてもらえると嬉しい。


まずは喉のケアについての基本を押さえよう

基本①:喉は内臓

喉は消化器官が発達したもので、胃や腸の仲間、つまり内臓だ。

どちらかと言えば声を出す機能のほうがおまけなのだ。

基本としては、内臓に負担がかかるようなことをして内臓を疲れさせてしまうと、喉も調子が悪くなる。

そして喉は粘膜だ。

粘膜は粘液で常に潤っており、毛細血管がたくさん通っていて、充血しやすい。「粘液による潤い」「充血」に気をつけることもポイントとなる。

結構誤解している人も多いのだが、何かを食べたり飲んだりして、それが直接、喉、それも発声に対して「いい効果」や「悪い効果」をもたらすということはない。

たまーに聞くかもしれないが、ハチミツがどうだとか、牛乳がどうだとか、ああいうのは全部迷信だ。これは言い切る。

つまり、食べ物や飲み物の種類と発声とはあまり関係がないのだ。

もちろん、本人の好き嫌い、気になる気にならないなどの「気持ち」の問題としては、喉に調子に影響があるかもしれない。

しかしそうであっても、気持ちが喉に影響を与えるのであって、何を飲もうが食べようが、薬のようにただちに喉に効果を及ぼすというのはない。

食べ物・飲み物の種類というよりも、食べ方・飲み方が喉の調子を下げる。
食べ過ぎ・飲みすぎで内臓に負担をかけるから喉の調子が下がるのだ。
仮に、喉にすぐ大きな影響を与える飲食物が存在するとしても、そんなものを口に入れれば、すぐにむせて吐き出してしまうはずだ。

さらに、喉は粘膜で、充血するということは、女性の場合、生理とも関係があるということになる。

生理中などで、何もしてないのに喉が充血している、逆に喉がなかなか温まらないということもありうる。

そういう場合は無理をせず、レコーディングなどは可能なら延期も検討してよい。

男性スタッフで意味がわからないという人がいたら、この記事を読んでもらってほしい。


基本②:1日に歌える(喉を使える)時間には限界がある


声という楽器は、音を人間の喉(声帯)で作る。

こういうふうに人間の体の一部を震わせて音を出す仕組みの楽器には、トランペットなどの金管楽器がある。

人間の体は疲労する。

声なら喉を、トラペットなら唇を集中的に使って音=振動を作るのだが、1日中走ることができないのと同じで、長くても数時間で音を作れなくなる。

しかも、喉をたくさん使うほど、早く限界が来る。

カラオケで長時間歌ったことがある人ならわかると思うが、限界が来ると「喉が枯れる」という現象になる。喉が痛いとかではなく、一時的にハスキーな声になるアレね。

たくさん歌って枯れるというのは、喉の粘膜が充血しきって腫れぼったくなり、声帯が効率的な振動ができなくなるため、声(音)になっていない息が混じってハスキーな声になるのだ。

そんな充血しきった状態からさらに無理して声を出し続けると、粘膜から血がにじむように出血してしまう。

そんなことを繰り返していると喉を壊してしまい、例えば普通の状態でも効率的に声帯が振動しない状態になってしまう。常にガラガラ声になってしまうのだ。

君には今日から、一日に稼働できる量や時間に限界があるということを前提として、レコーディングやライブでどう喉を使うか、いつ休憩を取るのか、どうケアするのかについて、誰よりも先に君自身が考えるようにしてほしい。


大切なのは、休みたくなったら、自分から周囲のスタッフに伝えるということだ。

君の喉の状態は君にしかわからない。

特に仕事となるとプレッシャーから無理をしてしまいやすい。
無理することで余計に喉が不調になり、君をさらに追い込む。自分からよく考えて、疲れたら必ず休むようにしよう。



基本③:正しい腹式呼吸を身につけると喉への負担を減らせる

正しい腹式呼吸を身につけ、さらに発声時に使えるようになると喉の負担が減る。

言い方を変えれば、プロは長時間、喉を酷使するので、正しい腹式呼吸を身につけないと、喉を壊してしまうリスクが高まる。やっていけないのだ。

ポップス系では喉声(のどごえ)を使うことも多い。

喉声とは、いわゆるオペラのような響く声とは別の、普段話しているような硬い声だったり、芸人さんの甲高いコミカルな声だったりするやつのこと。

クラッシックの声楽とはちがう、日常的な声で歌うポップスの場合は、喉声も使うので、喉への負担は大きくなりがちなのだが、腹式呼吸を身につけて喉への負担を減らすことで、プロとして長時間歌ってもやっていけるということなのだ。

歌うための体づくりということなのだが、これについてはいつか別の記事で取り上げられたらと思う。



基本④:喉を傷める発声や練習は何かが間違っている

私の生徒で喉を壊した人はいない。

正しい呼吸と発声ができれば、ポップス系で激しい歌い方だったとしても、そうそう喉を壊したりはしないのだ。

もし君が、練習や本番後に喉に不調を覚えるのならば、今までの自分のやり方を見直す時だ。

呼吸や発声、喉のケアについて正しい知識を得て、しかも確実にできるようになることが必要だ。


基本⑤:喉が弱い=感度が高い

君の喉は荒れやすいほう?

実は、歌手や声優などの、声を使う仕事の人は、喉が繊細で荒れやすい人が多いようだ。

声をたくさん出して喉を酷使するのに、喉が繊細で荒れやすいというのも面倒なことなんだが、それは喉の感度・反応が良いということなのだ。
つまりトレードオフ。仕方ない。

自分の喉は高級な楽器なんだと思ってしまおう。

最高の音を奏でることができるけど、感度がいいだけに、ちゃんとしたメンテナンスが必要なのだと。

この記事を読んで、しっかりケアすれば大丈夫。

ここからは、喉についていくつかのポイントから説明していこう。


喉は「睡眠不足」に弱い。

喉で一番大切かつ効果のあるケアは「眠ること」だ。

重要度で言えば、100%中60%以上を占めるだろうか。

ちょこまかといろんなケアをしたところで、十分な睡眠がとれなければ、次の日の喉のパフォーマンスはガタガタになる。


唐突だが、凡人の私が、それなりに生きてきて得られた、数少ない真理。

それが、

疲労は、眠ることでしか回復しない。

ということだ。

これはめちゃくちゃ大事な真理なので、何度でも描く。

疲労は、眠ることでしか回復しない。

疲労は、眠ることでしか回復しない。

疲労は、眠ることでしか回復しない。

エナジードリンクを飲もうが、

梅干しやレモンを食べようが、

焼肉や寿司を食べようが、

ハチミツや甘いものなどの糖分を摂ろうが、

疲労は絶対に回復しない。

せいぜいその瞬間、気持ちが少しあがるだけだ。

ドリンク剤なども宣伝では「疲労“感”の軽減」と言っているはずだ。絶対「疲労の回復」とは言わない。

眠ること以外では絶対に疲労は回復しないからだ。
つまり、ドリンク剤を飲んでも、その時の気分を変えるだけですよ、と言っているのだ。

ただ、クエン酸など、寝た時の疲労回復時に、より回復を促すというのはある。でも結局は寝ないとだめなのだ。


もし君が今、すでに疲れているのなら、体の調子も発声も、一度眠らなければ絶対にそれ以上良くはならない。

経験不足な人がよくやる失敗として、オーディションやライブの前日に長時間練習して疲れ切り、当日には声が絶不調というパターンがある。

私も何度も失敗し、ある時から、本番前日は全く練習しないことにした。

いろんな事情もあるとは思うが、前日にバタバタしなきゃいけない状態というのは基本的によくない。


さらに、睡眠で喉や体の調子が回復するということについては、年齢も大きく関係する。

若い時は長い時間眠れるし、回復も早い。
これが30代以降、だんだんと回復力も落ちていく。

40代を超えてくると、まず睡眠時間が減ってくる。
老化で眠りが浅く短くなりがちになるのだ。
それにつれて、回復力も落ちていく。

もし将来の君が、40代を超えても歌の仕事ができている人だったら、40代以降は、できれば毎日長時間、全力で歌う仕事をするというのは避けたい。

例えば、今日の仕事では長時間全力で歌ったというなら、その日はできるだけ長く寝て、次の日はあまり声を出さず休む、というペースで仕事ができるとよい。

まあレコーディングやツアーだとそうも言ってられないのだが。


若い人は睡眠時間が短くても長時間歌を歌うことはできてしまう。

しかしそれは決して「平気」なのではない。いわば借金返済の先送りのようなものだ。

しかも、借金なら一括返済できるが、何日も無理した喉は週末に1回たくさん寝たとしてもすぐには回復しない。

寝なくても歌えるというのは、本人が気づかないまま喉や体に負担を蓄積しているだけなので、数か月後とか1年後などに喉のポリープとか、いろいろな病気としてあらわれてくる。

仕方がない。毎日、できるだけたくさん寝ること以上に、喉にとって有効なものはないのだ。



喉は「急な温度変化」に弱い。そして「冷える」のがよくない。

冷たいものを食べると声が出なくなると誤解している人もいるが、関係ない。

それよりも、熱いものを食べたあとにすぐ冷たいものを食べるとか、急激な温度変化を喉に与えると、喉の調子が落ちるのだ。

熱いものを食べれば、その食べ物の温度や血流が増えることで、喉の粘膜が充血する。そこに、突然氷くらい冷たいものをかけられれば、喉は当たり前に不調になる。

鍋焼きうどんでもアイスでも、食べたければ間隔をあけて食べて、食べ過ぎず、少しの間休憩してから歌えば、発声上なんの問題もない。

まあつまりは、いたって普通にしていればいいということ。


レコーディングなどでたくさん歌うと、喉の粘膜は充血する。その時に飲む水は常温のほうが喉への負担は軽い。逆に熱いお湯でも粘膜にはダメージになる。


そして、基本的に喉を冷やさないことが大切だ。

喉の調子が悪くなくても、夏でも、襟の高い服、ストールやマフラーなどで喉を冷やさないようにすることで、疲労を軽減し、結果的に回復を少しだけ速めることができる。

やってみると実感できると思う。

いっぱい歌ったその日の帰り道から、喉を冷やさないようにして、家に着いたら早く寝る。これだけで次の日は結構楽になっている。


喉は「乾燥」に弱い

これはあまり説明の必要はないように思うが、喉が粘膜であるということは、常に潤っている必要があるから粘膜なのだ。

喉は声を出す以外に、食べ物を体内に送り込んだり、空気中の細菌やウィルスを粘膜で捕まえて体内に直接入らないようにするなど、さまざまな機能を持っている。

だから喉を乾燥させるとウィルスが喉で増殖してコロナやインフルエンザ、そのほかの風邪などにかかりやすくなる。

ちなみにコロナが流行する前から、プロの歌い手は、風邪にかかった状態で、マスクもなしで音楽の仕事の現場に行っては絶対にいけないという暗黙のルールがあった。

もしそんなことをしたら同業者や周囲のスタッフから、一日で確実に嫌われる。

なぜかといえば、誰かから風邪をうつされたら自分が仕事できなくなるからだ。

プロの歌手やミュージシャンは、自分が病気になって働けなくなったら、すぐに収入がなくなる。そんな他愛もない、脆い職業なのだ。



マスクを着用すると喉の乾燥を防げる。

だから多くの歌手やシンガーソングライターは、病気でなくても、今日は乾燥しているなと思えば、一日中マスクをすることで喉の乾燥を防ぐということをする。コロナが流行るずっと前からそうだった。


加湿器を使うのも有効だ。
ツアーでも、ホテルの加湿器を持ち込む人もいるし、頻繁に加湿器の水を補給して一日中つけっぱなしにする人も多い。

有名な歌手でお金持ちだと、自室やホテルに何台もの加湿器を導入している場合があるが、それは逆効果だ。湿度が上がりすぎると雑菌が繁殖しやすくなる。


場所で言えば、ホテルは乾燥しやすい。

仕事でホテルに泊まる場合、寝る時は必ずエアコンを切ろう。
エアコンをつけたまま寝れば一発で声が枯れてしまう。

加湿器がなくても、ホテルのフロントに頼んでバスタオルを1枚余分に貸してもらい、濡らして固く絞って室内に干しておけば十分に加湿になる。

車、飛行機、新幹線などは乾燥しやすい。
車内で寝てしまいそうならマスクは必須。

意外かもしれないが、エアコンは乾燥するが、石油やガスのファンヒーターは乾燥しない。火の扱いにはくれぐれも注意してほしいけど。


喉は「おしゃべり」に弱い

実は、普段普通にしている「おしゃべり」を長時間すると、簡単に喉が枯れてしまう。


大声を出しているわけではなくても、少ない空気で休みなく話すのは喉への負担が大きいのだ。

特に、プロとしての腹式呼吸や発声ができるようになった人ほど、油断しがちで、おしゃべりで声を枯らして肝心な時にやらかしてしまうことがある。

よいマネージャーがついているバンドなどの場合、インタビューではボーカルは最低限しか話さず、ギターやベースなど、声を使わない楽器の人が多めに話すようにしているケースもある。

また、私の先輩世代のボーカリストなどに多いが、普段のおしゃべりは喉をなるべく使わず、小声で息っぽい声で話している人もいる。

個人的にはあれには困った。
先輩ボーカリストと飲みに行くと、BGMもかかったりしていて、何を話しているんだか聞き取れない。

でも、そうやっておしゃべりでの喉枯れを防止しているのはさすがのベテランということになる。


喉と飲食物の関係

この記事の冒頭にも書いたが、これを食べたらだめとか、飲んだら声が出る、というのはない。
はっきりいって気分の問題だ。

何を、というより食べ過ぎ・飲みすぎなど「過剰」が良くない。

喉は内臓の仲間なので、食べ過ぎ・飲み過ぎで内臓を疲れさせれば喉のパフォーマンスは落ちる。


香辛料も、通常の量なら全然大丈夫だが、一部の激辛マニアが食べるような、料理の上に唐辛子の粉末をドバドバかけるようなものを食べれば、当然喉の粘膜は荒れる。というか、口の粘膜も喉も食道も丸ごと荒らしてしまう。

辛味は味ではなく、痛みだ。
つまり、舌を刺激して感じた微かな痛覚を辛味として認識する。
それが過剰ということは、まさしく喉への攻撃なのだ。


お酒も、食事の時に飲むだけなら喉にどうこうということはない。

ただ、お酒は一時的に血液の循環をよくするので、喉を充血させる。

その時に酔っぱらって大声で話したりしていれば、かなりの負担が喉にかかる。

さらに酔うと正常な判断能力がなくなり、無茶をしやすくなる。
そういう意味で要注意と言える。

また、アルコールの消化は内臓への負担も重い。

酔って寝ると眠りも浅くなる。

歌わなくてもおしゃべりしなくても、可能なら本番前日はお酒を飲まないほうがいいのだ。


タバコは、今時若い人であまり吸っている人は少ないと思うが、当然喉や肺にはよくない。体全体への老化も早めるし、ガンになりやすくなる。

タバコには常習性がある。つまり、タバコは麻薬だ。毒だ。
常習性とは、依存症になるということだ。
一定時間吸わないと落ち着きがなくなる、というのは、禁断症状なんだよね。

昔から一定数、吸っている人がいて、政治家にもたくさんいたから、法的に規制できなかっただけなのだ。

お金もかかる。確か半分以上税金なんじゃなかったっけ。

常習性があるものに慣れてしまうことで、他の麻薬にも移行しやすくなる。
オススメしないというよりも、問題外だ。

タバコの種類も関係なく、全部だめだ。
昔ながらの紙タバコ、機械式のタバコ、葉巻、水タバコ・・・売る側はいいように言って宣伝すると思うけど、喉や肺、体に麻薬や毒を摂取させるのは同じ。騙されないようにしよう。


歌っている時に何を飲む?

レコーディングやライブなど、歌っている本番中に何を飲むかについては、基本的には自分が好きなものを飲んでいい。

「温度変化」や「充血した喉」という観点では、「常温」「お酒以外」ということにはなるが、それさえ守ればあとは正直なんでもいい。

コーヒーのカフェインが、とか、お茶だと喉が渇くとかは、その成分中に含まれる量からいうと、99%が水分なので1日単位では無視できる。
オススメはしないけど。

牛乳は、水よりも粘度が高い。つまり内臓に負担がかかる。
お腹いっぱいになるということだ。
だからダメではないがオススメはしない。

何を飲むかについては、「消化」という観点からも考えてみるとよい。
飲み物の水分以外の物質は、内臓によって消化吸収される。

甘い飲み物で元気が出ると思うなら飲みながら歌ってもいいのだが、その糖質を消化するので、内臓は頑張って働いていることになる。

少ない量ならエネルギー源になってむしろ元気が出るかもしれないが、糖分が多いとか、消化する量が多ければ内臓が疲れてしまう。
その分だけ、喉は早く疲れる。

さらに、糖質よりも脂質やたんぱく質のほうが消化の負担が大きいので、その辺も考慮するとよい。

具体的な例で言えば、コーヒーやお茶などは水分補給としてまあ本当はそこまで害はないが、気分的に口がねばつくとかは思うかもしれない。

仮に口が渇いたとして、それは体内の水分が不足しているということなので、今飲んでいるものが原因というよりは、それまでの活動、運動や消化活動で水を消費したり、緊張による体調の変化だったりする。

甘い飲み物は、甘すぎなければそこまで害はないが、甘すぎたり、たくさん飲んだりすると内臓が疲れ、喉のパフォーマンスが下がる。

牛乳はお茶などに比べれば格段に消化がよくないのでやっぱり疲れるだろう。

はちみつも、まあ食品の中では消化がいいのは間違いないが、水やお茶に比べると内臓への負担は大きい。

スポーツドリンクも、消化はいいんだろうけど市販のものはまあ甘いよね。

オススメなのはやっぱり常温の水だ。
消化の負担が一番少なく、シンプルに水分を補給できる。

炭酸水は、げっぷが出やすくなのでおすすめしない。


喉と薬の関係

うがい薬は喉を焼くもの(殺菌・消毒)なので、頻繁に使わないようにする。
使うにしても、外から帰って1日1回、正しく使うくらいがよい。

同様に、喉に塗るタイプ、直接薬液をかけるタイプのものも焼くもの(殺菌・消毒)で、しかも薬液が濃い。使う必要はない。

それよりも、水でいいのでこまめに何回もうがいしたほうがいい。
喉のケアが目的なら、例えば枯れぎみで喉の負担を軽くしたいという場合は、水でいいので1時間に1回うがいをするとよい。

実際、私も1時間に1回の水うがいで、何度も危機を回避してきた。
仕事でやっていると、あ、なんか喉にいるな、とわかるようになるのだ。
そしたら、すぐに繰り返しの水うがい。
それで次の日、ことなきを得る、という感じ。

漢方薬系の喉の薬には、喉を焼くのではなく、粘液の分泌を促すものがある。「響声破笛丸(きょうせいはてきがん)」とか「甘草(かんぞう)」など。龍角散もそうだ。
ただし、漢方薬は基本的に消化はよくないので飲み過ぎに注意する。


実は咳(せき)や咳払いは喉にダメージになる
なるべくしないほうがよい。

もし喉がかゆくてどうしても咳払いがしたくなっても、なるべく小さくやさしくするようにする。

咳止め薬を飲んでもいいが、実は咳止め薬の成分は薄い麻薬成分なので、咳が多すぎて回復が遅れそうな場合に限るとか、なるべく使用しないようにする。


喉の病気・手術について

普段話している時にやや声がかすれていたり、喉に痛みを感じる場合は、すぐに耳鼻咽喉科へ行ってほしい。
実は、結構危ないパターンだ。

早く処置すれば早く治る。
ただ、耳鼻咽喉科でも喉に詳しい医者は意外に少ない。
よく調べ、経験豊富で喉の治療に詳しい医者に診てもらおう。
不安を感じたら医者を変えること。

あごを動かすとパキっと音がする場合は顎関節症(がくかんせつしょう)になる恐れがある。
音がしなくてもなる場合もある。
顎関節症はしばらく安静にしていれば治る。

顎関節症になったら、あごを動かすことをなるべくせずに無理せず休む。

だいたい顎関節症になる時は基本的に疲れが溜まっているのだ。
最優先で十分に休養しよう。

発声ができなくても、腹式呼吸、リズム練習、いろいろな音楽を聴くなど、やれることはたくさんある。

正しい発声や練習をしていれば、顎関節症の原因にはならない。
なってしまったとしても、それは他の要因による。


歯に矯正器具をつけると少なくても数年間、滑舌が悪くなる。

決断する前によく情報収集をして、医者の説明をわかるまで聞こう。
強制器具をつけないやり方なども検討できる。


「喉の結節を切除する手術」「鼻のつまりを取る手術」などをした場合、声質が変わらないことはないが、その変化はほとんどの人間にはわからないくらいのものなので、基本的に気にする必要はない。

手術で一番影響を受けるのは精神面。
考えてもしょうがないので、いい歌を歌うことに集中したほうがいい。

オーディションに受かった後に手術となると、より悩みやすいので、やるなら早めにやってしまうのもよい。

そもそも手術しようがしまいが、人間の体は常に変化するのだ。

ちょっと体に悪いことをすれば声は変わる。

普通に歌っているだけでも、1~2年で結構声質は変わっていく。

人間が、何年間も声質がまったく同じままというは実はありえないのだ。

年齢とともに劣化するし、若い時と比べるその変化は大きい。

手術して声が変わるのを心配するくらいなら、そのエネルギーを喉や体をケアをすることや、少しでも多く眠ることへの工夫に使うほうがいい。


風邪等で喉が枯れた後、風邪は治っても、何週間か喉だけ枯れているというのはよくある。
喉は回復するのに時間がかかるものなので心配する必要はない。
回復するまではなるべく無理をしないようにする。


間違った練習✖繰り返し=喉を壊す


まとめるが、喉を傷めるような発声や練習は、間違った方法だ。

正しいやり方なら、喉への負担は少ない。
そうでなければ、プロの仕事量などこなせないのだ。

もし講師が喉を傷めるようなやり方を指導してくるなら、すぐに辞めていい。
その講師が君の治療代を出してくれることはないのだから。

君が辞めることで、講師も成長のチャンスが得られる。
またそれは別に記事で取り上げよう。

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