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スノーボードをする事はないからこそ

平昌オリンピックで一番心を揺さぶられたのは、スノーボード男子ハーフパイプだった。
ショーン・ホワイト選手が出ると知って「まだチャンピオンなの!?」と驚く程度の知識しか私には無かったが、そんな状態でもこの決勝がとてつもなく濃いものだというのが画面から伝わったからだ。

加えて、平野歩夢選手の態度の良さが衝撃だった。


スノーボードというカルチャーに対する偏見は、殊に日本では強いと思う。具体名を挙げるほどの知識がないので踏み込んだことは言えないが、「何だかよくわからないけどチャラチャラしたもの」というイメージがある。
スノーボードが流行り出した時スキーヤーとの確執を散々聞いたが、「後から流行り出したものがどうしてそんなに偉そうなのだ?」と感じる話ばかりだった。

その後プロのボーダー達がそのイメージを払拭してくれるかと思いきや、服装問題や未成年強化選手の大麻・飲酒問題が起き、「プロですらそうなのか」と思ってしまう現実がたしかに有ったのだ。

もちろん詳しい人々からすれば沢山の言い分が有るだろう。だろうが、得てして大衆というものは悪い方悪い方へ流されていくものであるし、TPOを守れない「何だかよくわからない存在」に対して「更にもっと知ってくれ」というのは難しいと個人的には思う。これは防衛本能に近い。


そして更に個人的な話になるが、私は小さい頃から音楽をやっていて、将来もしかしたら音楽を生業にするかもしれない可能性があった。
一年のまとめとして年度末に大きなステージがある生活を長年過ごして来たため、冬場に怪我など絶対出来ず、ウインタースポーツとは縁が無かった。偏見を払拭する機会など、ハナから無かった。

その後めでたく音楽を生業にする事となり、ウインタースポーツは私の人生から今のところ完全排除となった訳だが(ごめんなさい、これはプライドなのです)、そんな時に開催された今回の平昌オリンピック。ハーフパイプ。

選手達はみな陽気だった。カメラに向かってアクションをするし、声もあげるし、イヤホンも付けている。
それはやはりチャラチャラしたものに見える面もあった筈なのに、解説の中井孝治さんの落ち着いた話し方により「真剣ゆえ楽しんでいるのだ」と見え方が変わった。

そして話題にもなった平野歩夢選手とショーン・ホワイト選手の熱戦。あんな劇的な展開があるだろうか。僅差で結果が出た後、お互いがお互いを尊重し合い、認め合う。年齢差がだいぶ有るのに。

そこには、予想に反して気持ちを丁寧に語る平野歩夢選手がいた。


あの髪型やピアス姿からは想像しない丁寧さや素直さが常にあった。インタビューに呼ばれた際は身なりをきちんとし、相手をよく見て話をするその様子に釘付けになった。

彼がそんな態度を取るのには理由があるそうで、自分が強くなる為にはあらゆるものを吸収するべきだと考え、生活から練習・試合はもちろん、人とのコミュニケーションについても考え直したとどこかの記事で読んだ。
「何かに嫌悪感を抱くのは、相手をよく知らないから」という彼の考え方に、私は強烈に心を撃ち抜かれた。
私がずっとスノーボード界に対して持っていた感情は、彼らをよく知らないからなのだなと思った。と同時にスノーボード界だけでなく、他のあらゆる事にもそれは言えたのだ。


私がスノーボードをする事は、たぶん無い。だから、滑る側の気持ちを考える能力は極めて低い。
けれど彼のような発信の仕方で滑りもポリシーも見せてもらえると、私のような人間にも何かが届くのだ。同じような気持ちになっている人は今たくさんいると思う。
「スノーボードに関係ない人にも届くように」という彼の言葉は、もう実現が叶っている。

踏み入ることが無い世界だからこそ期待を寄せてしまう、これからの平野歩夢選手の活躍に。発信に。
そして私も、自分の想いを様々な形・場所で発信して行きたいと思う。

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