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でかい木をでかい重機で吊る

9月15日、都内のとある川沿いの住宅街での伐採の現場にお邪魔した。
この住宅街はとにかく道が入り組んでいる。
今回切る木は、そんな住宅街に隣接した遊歩道に生えているサクラの木だ。

でっかい。とても立派な木だ。
これだけ大きな木で、住宅街に近ければ吊り上げたりなど伐木にも配慮が必要になってくるだろう。
しかし、この奥まった遊歩道でどのようにして重機を入れるのか。不思議に思っていると、

みっちり

道が完全封鎖されていて、そこにめっちゃでかいクレーンが鎮座DOPENESSしていた。
これはラフタークレーンと呼ばれるもので、クレーンは大きいが車体自体は細長いので、不整地や狭いところでの吊り上げ作業に使われるとのこと。
移動式のクレーンなので、運転席でクレーンの操作ができるという。

狭いところに向いている車両とはいえ、住宅街と遊歩道を結ぶ道はあまりに狭く、道幅いっぱいぎちぎちにラフターが詰まっていた。運転がうますぎるでしょ。

今日はどうやらこのラフターで伐採時の発生材を収集・運搬するらしい。
でっかい木をでっかいラフターで吊る…全体的にでっかい作業だ。現場は狭めだけど。

今回はロープワークを使用しての伐採だ。以前の記事でものぼっていた職人さんが今回も木の上で作業をするようだ。
ひょいひょいと身軽に枝葉の中を移動しては、ラフターで繋がれたワイヤーを枝に括りつける。

このワイヤーの括り付け方がなんともかっこいい。
ワイヤーの端を軽く投げて、振り子の原理で巻き付けるのだ。

ワイヤーを括り付けたら、ラフターでしっかり固定しておく、うっかりゆるくなったりすると、枝を切り落とした時大きく揺れて職人さんが怪我をしたり、吊り上げに失敗するからだ。角度や締め方、クレーンの長さも細かく指示を出しながら、職人さんがチェーンソーを入れる。
最初の方は末端の方の枝葉から落としていくので、太さもそこまでなく、切り落とす作業も難なく進む。しかし、木の高さを詰めなければならないので段々と太い幹の方を切っていかねばならない。太いものは切り落とすのも大変だし、重量があるので吊る時も万全の注意を払わねばならない。得も言われぬ緊張感がある。

いくよー、という掛け声とともに丸太が切り離された。
ラフターがワイヤーを巻き、ゆっくりと丸太を上昇させる。
切り離された丸太は、河川敷の方へ運ばれる。
本来ならすぐ運べるよう直接トラックに積み込んだ上で発生材を裁断するのだが、住宅街と隣接していて電線も多い。安全を優先し、今回は少し手間だが河川敷で発生材を処理した後、トラックに積み込むことになっていた。

しかし、河川敷におろすのも至難の業だ。運転席から河川敷は死角になっているので、ラフターの前にいる職人さんが細かく位置を指示しなければならない。
身振り手振りで職人さんが指示しながら、丸太がゆっくり河川敷の方へおろされる。
河川敷では発生材の処理をする別の職人さんたちが、ワイヤーを外す為に待機をしている。

職人さん同士で位置を細かく共有しながら、丸太がゆっくりおろされた。
河川敷におろされた瞬間、職人さんたちがすばやくワイヤーを外す。その一連の流れは、こうして説明すると長く感じるがとてもスムーズだ。
全ての作業に職人技が詰まっている。かっこいいね。

狭いところでの大きな木の処理は、職人さんたちの馬鹿でかい配慮と技術によって進められていたのだった。