見出し画像

【大月書店通信】第171号(2023/4/24)

「大月書店通信」メール配信の登録はこちらから

「大月書店通信」第171号をお届けします。

花粉のピークも過ぎ、爽やかな季節になってきましたね。
5月3日は憲法記念日。日本国憲法の施行から76年目となります。しかし、
今年は例年以上に複雑な気持ちで迎えることになりそうです。

昨年12月、閣議決定として公表された「安保3文書」。そこには日本の戦後の安全保障政策を大転換する、戦慄の内容が含まれていました。
防衛予算をGDP比2%まで大幅に増額し、敵基地攻撃が可能な長距離ミサイル等を保有し、自衛隊と米軍のさらなる一体的運用をすすめる――。
ロシアのウクライナ侵攻や台湾をめぐる米中間の緊張など、日本も無関係ではいられないことは確かです。でも、だからこそ、大国の狭間に位置する日本が攻撃的な軍事力を備えることを宣言すれば、かえって戦争の火種をばらまくことになるのではないか。そして集団的自衛権を行使可能とし、敵基地攻撃まで可能とすれば、最悪の場合、日本自身が意図せず戦争の当事国となってしまうシナリオもありうる――。

そうした危惧を抱く研究者とジャーナリストが結集して、1月に開催された
緊急シンポジウムの書籍化『日本は本当に戦争に備えるのですか?』が先週
刊行されました。
「新しい戦前」との不吉な言葉も交わされるなか、日本みずから戦争の火種を招く事態を黙って見過ごすわけにはいかない――。著者たちの警鐘に耳を傾けていただけることを願います。

◆岡野八代・志田陽子・布施祐仁・三牧聖子・望月衣塑子[著]
日本は本当に戦争に備えるのですか?――虚構の「有事」と真のリスク


新刊案内『日本は本当に戦争に備えるのですか?』ほか4月の新刊5点

4月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。(定価はすべて税込)

●軍事力だけで国は守れますか?各界識者の緊急提言
……………………………………………………………………………………………
日本は本当に戦争に備えるのですか?――虚構の「有事」と真のリスク
岡野八代・志田陽子・布施祐仁・三牧聖子・望月衣塑子[著] 1,650円

防衛費倍増・敵基地攻撃能力・ミサイル配備・米軍との一体化――その先にあるのは本当に「安全」なのか。台湾「有事」は本当にあるのか。なし崩しにされる平和国家の理念を前に、気鋭の論客らが真の危機を警鐘する緊急出版。

●「どこにもない本屋」をつくるための思考と試行
……………………………………………………………………………………………
ユートピアとしての本屋――暗闇のなかの確かな場所​​』
関口竜平[著] 1,870円

たった一人で「小屋」から書店を立ち上げ、独創的な店づくりと果敢な発言で注目される「本屋lighthouse」の若き店主による初の単著。腐敗と敵意、諦観がはびこる時代に、誰もが生きられる空間をつくるための実践と思考の書。

●特集=子どもの権利と学校づくり
……………………………………………………………………………………………
月刊 クレスコ』5月号 no.266 550円

12年ぶりに改訂された「生徒指導提要」では、子どもの権利条約の4つの原則にもとづく対応が求められている。校則の見直しなどの実践や、地域や関係機関との連携のあり方から、子どもの権利をいかした学校づくりを考え合う。

●特集=反ヘイト 現場からの提言 安田菜津紀&阿部岳
……………………………………………………………………………………………
放送レポート』5月号 no.302 550円

●ドキュメンタリー台本●番組批評●制作者の素顔●ラジオの現場から●スポーツとマスコミ●映画の中のマスコミ●話題の本から●放送をめぐる動き

●特集=地方政治を問う――くらし、議会、自治
……………………………………………………………………………………………
季刊 自治と分権』no.91 1,100円

●首長インタビュー 仁科喜世志静岡県函南町長 ●今日の地方政治をめぐる状況と課題 岡田知弘(京都大学名誉教授)●新型コロナ感染症対策から考える地方衛生行政の課題 松田亮三(立命館大学教授)ほか


話題の本・本の話題

入管法案、月内にも衆院通過? くりかえされる人権侵害の根本原因とは

ふたたび国会に提出された入管法改正案が、今月中にも衆院を通過しかねない状況です。つい先日、スリランカ人女性ウィシュマさんの亡くなる直前の映像が公開され、入管による扱いのむごさに多くの人が怒りと疑問を覚えた矢先。これ以上、世論が反対に傾く前に先手を打とうということでしょうか。

10年以上も断続的に入管施設に収容されていたクルド人のデニズさんが、収容中に職員から暴行を受けたとして入管を訴えていた裁判で、東京地裁が職員による暴行を認め22万円の賠償を命じました。帰国すれば命を脅かされるおそれがある人を長期収容し、「制圧」と称する暴力による支配を日常的に行ってきた入管行政のあり方は抜本的改革が必要です。

毎日新聞の入管難民問題取材班によるルポ『彼女はなぜ、この国で』では、
ウィシュマさんやデニズさんが被った人権侵害の数々、また前回提出された
入管法改正案の問題点も指摘しています。

◆和田浩明+毎日新聞入管難民問題取材班[著]
彼女はなぜ、この国で――入管に奪われたいのちと尊厳

◆ナディ[著]
ふるさとって呼んでもいいですか――6歳で「移民」になった私の物語

『沖縄 戦火の放送局』出版記念トークイベントがおこなわれました

沖縄 戦火の放送局』著者の渡辺考さん(NHK沖縄放送局チーフディレクター)とTBS「報道特集」の金平茂紀特任キャスターによる出版記念トークイベントがジュンク堂書店那覇店にて開催されました。沖縄タイムスが当日の模様を報じています(有料記事)。

沖縄 戦火の放送局』の書評掲載

琉球新報(2/26)

しんぶん赤旗 日曜版(3/5)

週刊読書人(3/31)

◆渡辺考[著]『沖縄 戦火の放送局――軍隊に飲み込まれたラジオ

明石書店・大月書店・柏書房・現代書館 4社合同フェア企画
「声をあげれば、社会は変わる? #社会運動の現在形

全国の書店にて引き続き開催中です。お近くの書店でどうぞご覧ください。

開催店舗  *2023年4月24日時点・敬称略
・東京堂書店神田神保町店
・くまざわ書店武蔵小金井北口店
・喜久屋書店倉敷店
・清風堂書店(大阪・梅田)
・ACADEMIA港北店
・丸善お茶の水店
・ジュンク堂書店三宮店
・ジュンク堂書店三宮駅前店
・ACADEMIAイーアスつくば店
・くまざわ書店ペリエ千葉本店
・紀伊國屋書店富山店
・紀伊國屋書店鹿児島店
・東京大学生協本郷書籍部
・うさぎや栃木城内店
・ジュンク堂書店那覇店(4/27~)
・紀伊國屋書店横浜店(5/1~)
・紀伊國屋書店福岡本店(5/1~)
・紀伊國屋書店徳島店(5/1~)
・Bookman’sAcademy高崎店(5月上旬~)

☆店頭のようすはこちら。特製リーフレットも配布しています。

『チーム・ブルーの挑戦』やまと診療所の活動が紹介されました

チーム・ブルーの挑戦』のやまと診療所が立ち上げた「おうちにかえろう。病院」がTBS報道特集(4月22日)で取り上げられました。

中島隆著『チーム・ブルーの挑戦--命と向き合う「やまと診療所」の物語』では、病院設立の経緯や、チーム力で医療に取り組む「やまと」メンバーの思いがつづられています。

特集『在宅医療のプロがつくった病院』の全編は、TVerで無料配信中です
(下記リンクより、配信期間は4月30日まで)。

◆中島隆『チーム・ブルーの挑戦―命と向き合う「やまと診療所」の物語


イベント

 『ユートピアとしての本屋』出版記念イベントぞくぞく決定! 

関口竜平さん(本屋lighthouse)の『ユートピアとしての本屋』刊行にあたり全国の書店さんからぞくぞくとイベント開催のオファーをいただいています!それぞれに個性的な書店さん訪問も兼ねて、ぜひご来場ください。

4月27日(木)19:30~
「独立書店を開業した私たちがみる「本屋の未来」~本屋lighthouseという挑戦」
関口竜平 × 内沼晋太郎(本屋B&B、NUMABOOKS代表)
主催・会場:本屋B&B(世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK 2F)
詳細・申し込みはこちら

5月13日(土)19:00~
「「本屋」はZ世代の選択肢になりうるか?
~持続可能な独立書店経営と「ユートピアとしての本屋」~」
関口竜平 × 落合博
(Readin’Writin‘ BOOKSTORE)× 松井祐輔(H.A.Bookstore)
主催・会場:Readin' Writin BOOK STORE(台東区寿2丁目4-7)
詳細・申し込みはこちら

5月20日(土)14:00~
「本屋を開業したぼくたちが考える、これからの書店(員)のしごと
~イオンモールの中心で書店の未来を考える~」
関口竜平 × 橋爪文哉
(小声書房)
主催:未来屋書店レイクタウン店(越谷市レイクタウン3丁目 1番地1 )
会場:イオンレイクタウンmori 3階わんぱくフォレスト前
お申し込み・お問い合わせ:未来屋書店レイクタウン店(048-988-7742)

◆関口竜平[著]『ユートピアとしての本屋――暗闇のなかの確かな場所


『ユースワークとしての若者支援』オンラインイベント開催決定!

ユースワークとしての若者支援』(平塚眞樹編/若者支援とユースワーク研究会著)の刊行記念イベントが、5月14日(日)オンラインにて開催されます。
横井敏郎編『子ども・若者の居場所と貧困支援』(学事出版)との合同イベントとして、両著者による対談や子ども・若者支援の実践者・研究者によるレビュー・コメント、参加者全体での意見交流などが企画されています。2冊の本を交えて子ども・若者支援のこれからを語らう場へ、どなたでもぜひご参加ください。

「2冊の本が問う子ども若者支援 ~居場所づくり/学習支援/ユースワーク」
日時:5月14日(日曜日)15:00~17:30
参加無料。申込みはこちらから(締切:5月11日木曜日)
◆レビュアー:
書き手の立場から(ご発言予定順)
・横江美佐子さん(京都市ユースサービス協会)
・南出吉祥さん(岐阜大学)
・高橋寛人さん(石巻専修大学)
読み手の立場から(ご発言予定順)
・石井正宏さん(特定非営利活動法人パノラマ)
・遠藤裕子さん(公認心理師・学校心理士SV)
・阿比留久美さん(早稲田大学)
・武井哲郎さん(立命館大学)


お知らせ『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』毎日新聞記事について

1月15日、毎日新聞「政治プレミア」に掲載されたコラム「韓国文化を楽しむなら加害の歴史に向き合うべきか」(大貫智子記者)で、小社刊『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』および関連イベントでの学生の発言が関係者への取材のないまま批判的に言及されたことについて、一橋大学加藤圭木ゼミより毎日新聞社に抗議し、2月11日に当該記事が削除されました。

この間の経緯と当事者のコメントを「一橋新聞」が報じています。


編集後記

「大月書店通信」読者の皆様、はじめまして。この4月より大月書店に入社いたしました新入社員です。今号からメルマガの編集後記を担当することになりました。よろしくお願いいたします。

弊社では新卒の社員を雇用するのは約20年ぶりとのことです。
先輩方がいちから丁寧に仕事を教えてくださり、私としましても大変気合が入っております。
しかし、気合が入りすぎたのがたたったのか、勤務2日目にして帰宅後に体調不良&発熱してしまいました。
何事も良い加減でとりくむのが大事なんですね。

読者の皆様のなかには私のように4月に入って環境が変わったという方はおられるでしょうか。新しい環境に飛び込んだときこそ、その飛び込みの
エネルギーを活かすことで面白いものを生みだせることもあるとおもいます。
そんな気持ちを持って、いつか皆様に面白いと思ってもらえる本をお届けできる日が来れば、と思います。共に頑張りましょう!

それではまた次号の編集後記でお会いしましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?