見出し画像

大月書店通信*138号(2020/7/30)

「大月書店通信」第138号をお届けいたします。

戦後75年の夏。当時10歳だった方はいまや85歳を迎えます。戦争体験者に体験を語っていただくには負担がいっそう重く大きくなっています。

2008年から全国各地を手弁当でまわり、みずから制作した原爆朗読劇「夏の雲は忘れない」を読み継いできた「夏の会」の女優さんたちも、高齢化には抗えず、昨夏で12年間の公演活動に終止符を打ちました。
最後の公演に際して渡辺美佐子さんは、若い人たちがあとに続いて、若い人なりの感性で広島・長崎のことを伝えてくれることを願っています、とインタビューに応えていました。
渡辺さんたちが朗読してきた広島・長崎の子どもたちの言葉を、戦後世代がどのように伝えていくのか、もはや猶予のない課題です。

7月新刊『夏の雲は忘れない』では、朗読劇の初演から演出を担当してきた城田美樹さんに解説文を書いていただきました。戦中生まれの女優さんたちに立ち混じって演出するプレッシャーは察するに余りあります。朗読を通して戦争体験の言葉と格闘してきた城田さんの解説には、「継承」の確かな糸口が綴られています。
この夏にぜひ、「あの日」の広島・長崎の子どもたちの言葉に触れてほしいです。本書がその一助になれば幸いです。

新刊案内『夏の雲は忘れない』ほか7月の新刊

7月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。

●女優たちが編んだ「あの日」を伝える原爆詩
夏の会[編]『夏の雲は忘れない――ヒロシマ・ナガサキ一九四五年』

女優たちが制作し読み継いだ原爆朗読劇が2019年に幕を下ろした。あの日の広島と長崎の子どもたちを証言する舞台は深い感動をよんだ。上演された子どもたちの詩、母親や教師の手記、峠三吉らの原爆詩を再録して構成する。

●特集=気候変動と防災――問われる国と自治体の役割
『季刊 自治と分権』夏号 no. 80

●首長インタビュー 石井宏子さん(千葉県君津市長)●気候危機対策で国と自治体に何が求められるのか(上園昌武)●土砂災害、河川氾濫への対応と自治体の役割(田結庄良昭)ほか

●特集=教科書――どう選び、どう使う?
『月刊 クレスコ』8月号 no.233

中学校の新教科書の採択が今夏おこなわれる。「教科書の通りに」という「指導」が強まっているが、どんな教科書をどう使うかは、子どもを中心に教職員・保護者がみんなで考えるべきこと。そうしたとりくみを広げるための特集。

話題の本『これからの男の子たちへ』『ファシズムの教室』ほか

★『これからの男の子たちへ』刊行前から大反響★

8月末に刊行予定の『これからの男の子たちへ――「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(太田啓子 著)。
著者の予告ツイートがたちまち50万PVを記録し、Amazonでも書籍総合 50位以内にランクインするなど、発売前から反響を呼んでいます。

これからの男の子たちへ - 株式会社 大月書店 憲法と同い年大月書店は1946年創業の出版社です。社会科学の古典・理論書に始まり、歴史・教育・社会からYA・児童書まで幅広い分野の書籍www.otsukishoten.co.jp


「男らしさ」の呪縛は何歳から始まる? わが子をセクハラ加害者にしないためには? 性差別に怒りを燃やしつつ男子2人を育てる弁護士ママが悩みながら考えた、ジェンダー平等時代の子育て論。
対談=小島慶子(タレント・エッセイスト)、清田隆之(桃山商事代表)、星野俊樹(小学校教師)

「はじめに」を無料公開中。ぜひご注目ください。


★『ファシズムの教室』早くも4刷★

4月に刊行した『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(田野大輔著)。大好評につき、早くも4刷が決定しました。

☆『文化通信』7月20日号「大月書店 『ファシズムの教室』3刷と好調 ネット、新聞などで話題に」※4刷決定前の記事です。

まだお読みでない方はぜひ!☆試し読みできます↓ 

★優生思想を考える。小社の関連書★

「命の選別」を容認する政治家の発言、ALS患者の嘱託殺人事件、ミュージシャンの「お化け遺伝子」ツイートなどにより、優生思想をめぐる議論が巻き起こっています。小社の関連書も参考にしていただけますと幸いです。

児玉真美『死の自己決定権のゆくえ――尊厳死・「無益な治療」論・臓器移植』

児玉真美『私たちはふつうに老いることができない――高齢化する障害者家族』

雨宮処凛[編著]『この国の不寛容の果てに――相模原事件と私たちの時代』

藤井克徳・池上洋通・石川満・井上英夫[編]『生きたかった――相模原障害者殺傷事件が問いかけるもの』

藤井克徳・池上洋通・石川満・井上英夫[編]『いのちを選ばないで――やまゆり園事件が問う優生思想と人権』

いのちを選ばないで - 株式会社 大月書店 憲法と同い年大月書店は1946年創業の出版社です。社会科学の古典・理論書に始まり、歴史・教育・社会からYA・児童書まで幅広い分野の書籍www.otsukishoten.co.jp

イベント 日韓シンポジウム「『反日種族主義』現象を批判する」

昨年12月に刊行した『だれが日韓「対立」をつくったのか――徴用工、「慰安婦」、そしてメディア』の出版記念シンポジウム。韓国と日本の専門家が登壇します。オンライン(Zoom)での参加も可能です。
☆7月31日(金)13時で参加申込は締め切りました。ご了承ください。

日時:2020年8月1日(土)14時~16時45分(13時30分 開場)
参加方法:会場参加(早稲田奉仕園スコットホール)/ オンライン参加

講演:康誠賢(カン・ソンヒョン:韓国・聖公会大学教員、歴史社会学)
著書『脱真実の時代、歴史否定を問う――『反日種族主義』現象批判』を韓国で刊行。日本語版出版準備中。
日本からの応答:加藤圭木(一橋大学教員、朝鮮近現代史)岡本有佳(編集者)ほか
コメント(予定):板垣竜太、吉見義明、金富子、金ユビ、林博史、洪昌極 ほか(50音順)

編集後記

家庭菜園をやっている親類から時々野菜をもらうのですが、例年この時期になると大量の夏野菜が届きます。別口からそれぞれ届いたりすると冷蔵庫が満杯になり、必死で消費することに…。毎日のメニューもいかに野菜を使うか優先になってきます。冬なら鍋がお手軽ですが、最近みつけた良い方法がチーズタッカルビ。大量のざく切りキャベツといろいろ野菜に、下味をつけた鶏肉を載せてホットプレートで焼くだけ。最後にたっぷりチーズを載せて、ビールが進みます。キャベツ半玉くらい刻んで、さすがに多すぎたかな…と思っても、嵩が減るので意外に食べられてしまいます。野菜の供給過剰に悩むご家庭はお試しください。(鰯)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?