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大月書店通信*第143号(2020/12/24)

「大月書店通信」第143号をお届けいたします。

全国の小中学校で、児童生徒1人1台のパソコンなどICT端末を導入する「GIGAスクール構想」が、コロナ禍で前倒しされ、今年度中に整備されることになりました。そもそも2023年度に完了予定だったので、コロナ対策だけでも手一杯の自治体や学校現場は、対応に大わらわ。

35人学級がようやく実現されるといっても来年度からの5年計画で、教師の負担軽減にはほど遠く、準備不足のなかで全員がICTを活用する教育ができるのか、と不安の声も聞こえてきます。管理強化や、教育の個別化が危惧されたりもしています。

しかし、日本の学校におけるICT活用は、諸外国に比べあまりにも貧弱です。
PISA調査のこの10年の学習活用度を見ると、日本は見事に変化なく、不動の最下位! 他方で、子どもたちは、すでに自宅でPCやスマホに触れ、デジタル空間にふみいっています。

だからこそ、危険だと遠ざけるのではなく、子どもたちがデジタルを含めた社会を主体的に生きていけるように、デジタル・シティズンシップ教育が必要だ。12月新刊デジタル・シティズンシップの著者たちは、そう主張します。時代は、もう待ったなし。今、そして、これからの教育を、いっしょに考えてみませんか。

本年もまことにお世話になりました。年末は12月25日(金)まで、年始は1月5日(火)から営業いたします。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

【新刊案内】『デジタル・シティズンシップ』ほか12月の新刊

12月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。

●情報社会に不可欠な技術と思考を育む
デジタル・シティズンシップ――コンピュータ1人1台時代の善き使い手をめざす学び
坂本旬・芳賀高洋・豊福晋平・今度珠美・林一真[著] 1,700円(税別)
「情報モラル教育」から、「世界標準」のデジタル・シティズンシップ教育へ。ネットの危険性を叩き込むのではなく、参加型学習によって対話しながらデジタル技術・思考を身につけ、社会を主体的につくる学びへと誘う。

☆ 推 薦 ☆

デジタルを怖がってばかりいる時代はとうに過ぎた。
子どもたちが主体的に使いこなすために教育関係者、必読。
――妹尾昌俊さん(教育研究家)

1人1台PC時代の今、「デジタル・シティズンシップ教育」で、子どもに「真の協働精神」を育もう!
――玉置崇さん(岐阜聖徳学園大学教授/文部科学省「ICT活用教育アドバイザー」)

デジタルという言葉が意味をなさないほどにデジタルとアナログが溶け合う現実。
そんな子どもたちと共に生きるすべての大人が読むべき教科書。
――今村久美さん(認定NPO法人カタリバ代表理事)

試し読みできます

●がんの手術が成功するかどうかは、あなた自身で変えられる!
『がん手術を成功にみちびくプレハビリテーション――専門医が語る がんとわかってから始められる7つのこと』
佐藤典宏[著] 1,400円(税別)
手術でがんの治療を目指す患者さん必読! 入院・手術前に家庭でも取り入れられる運動・栄養サポート・メンタルケアなどについて、手術数1,000例をこえるがん専門医がやさしく解説。

試し読みできます

●日韓ベストセラー出現の構造と虚構を暴く
『歴史否定とポスト真実の時代――日韓「合作」の「反日種族主義」現象』
康誠賢[著] 鄭栄桓[監修] 古橋綾[訳] 2,400円(税別)
韓国で10万部以上、日本で40万部以上売れた『反日種族主義』。日韓の右派ネットワークが作り出したそのからくりを暴きだし、「実証主義」を掲げる彼らの主張と論理を元の資料から読み解き、その虚構をはがしとる。

☆推薦☆ 吉見義明氏(中央大学名誉教授)

試し読みできます

●特集=徹底検証・安倍政権とメディア
『放送レポート』1月号 no. 288 500円(税別)
●徹底検証・安倍政権とメディア(砂川浩慶) ●変化の中の政治とメディア
~インタビュー・西田亮介東京工業大学准教授~ ●官邸VSメディアの攻防/自民党 石破茂氏に聞く(臺宏士) ほか

●特集=みんなで学ぶからできること
『月刊 クレスコ』1月号 no.238 500円(税別)
コロナ感染拡大をきっかけに進んだ学校教育のオンライン化は、様々な利点とともに、深刻な課題ももたらしている。オンラインでは実現できない、「みんなで一緒に、実物や体験を通して学ぶ」ことの大切さを考える特集。

【イベント】『デジタル・シティズンシップ』シンポジウム ほか

★ 『デジタル・シティズンシップ』出版記念シンポジウム ★

12月新刊デジタル・シティズンシップ――コンピュータ1人1台時代の善き使い手をめざす学び刊行を記念して、オンラインでのシンポジウムが開催されます。

デジタル・シティズンシップ 新春早々ものモウす

日時:1月24日(日)15:00~17:00
Zoomによるオンライン開催
発言者(敬称略):
坂本旬、芳賀高洋、豊福晋平、今度珠美、林一真、稲垣忠、今村久美
協力:大月書店

詳細は大月書店ウェブサイトなどでお知らせします。

★ 斎藤幸平さんウェブ講演会(ナオミ・クライン新刊出版記念) ★

ナオミ・クライン地球が燃えている――気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言の出版記念企画。こちらもオンライン開催です。

私たちに必要なのはシステムチェンジだ――斎藤幸平さんと考える、気候危機を生んだシステムから脱却後の世界像

日時:1月21日(木)19:00~20:30
Zoomによるオンライン開催
参加費:無料

事前申し込みが必要です。以下のフォームからお申し込みください。

主催:国際環境NGO FoE Japan
後援:株式会社 大月書店

お問い合わせは主催者にお願いいたします。

【お知らせ】NHK「100分 de 名著」1月はマルクス『資本論』! ほか

★ NHK「100分 de 名著」1月はマルクス『資本論』! ★

古典の歯切れよい解説で好評のNHK Eテレ「100分 de 名著」。1月の名著はカール・マルクス『資本論』! 講師は斎藤幸平さん(経済思想家、大阪市立大学准教授)とのことです。

☆NHK Eテレ「100分 de 名著」

毎週月曜日/午後10時25分~10時50分
再放送:水曜日/午前5時30分~5時55分、午後0時~0時25分

☆テキスト(発行:NHK出版)


年末年始は小社の関連書でガッチリ予習を!

★ 『日本の民主教育』2020年版は欠番となります ★

毎年1月に刊行してきた『日本の民主教育』(みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい―教育研究全国集会報告集)ですが、2021年1月は、『日本の民主教育2020』を刊行いたしません。(刊行延期ではなく、欠番となります。)

コロナウイルス感染拡大の影響により、本書のもととなる「教育のつどい」が例年どおりに開催されなかったためです。何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

なお、次年度版以降の刊行については未定です。

【編集後記】

新型コロナウイルス禍の年末です。この1年ほどネットやSNSの「便利さ」を実感したことはありません。一方でそこで発せられる「メッセージ」の貧しさを感じます。「対面」ではない「ことば」が出てくる。相手の姿・形・表情が見えないことからなのでしょうか。それが、「対面の場」でも同じように発せられています。「ことばを紡ぐ」仕事に関わるわが身を振り返りながら自戒しています。「我慢の年末年始」ご自愛あれ。(Walker)

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