待機児童問題は解消されるのか?政府が打ち出した「新子育て安心プラン」とは?

待機児童問題を解消するため、「2021年度〜2024年度の4年間で約14万人の保育の受け皿を整備しよう!」と厚労省が打ち出したのが「新子育て安心プ
ラン」です。

現状、待機児童はどのくらいいるのか?


プランが始まった2020年4月1日時点で、全国の待機児童数は12,439人でした。(ちなみにその6割強が都市部で発生)
2023年9月に子ども家庭庁が発表した集計結果によると、2023年4月時点での待機児童数は全国で2680人となっており、その数は確実に減少していることがわかります。
※ただし、待機児童数のカウントには、いろいろなトリックがあり、一見待機児童がゼロでも、潜在的な待機児童はもっとたくさんいると考えられています。このことはまた別記事で紹介したいと思います。

プラン開始後、どのくらい保育の受け皿は増えたのか?

前述の子ども家庭庁の集計結果によると、2021年度から2024年度末までの4年間で利用定員数は約 8.5万人分増加し待機児童は解消する見込み、としています。
※ただし、この「整備量」は認可保育所や、認定こども園だけでなく、小規模保育事業や家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業などを全て含めた数。認可に入れたかったけど、入れず致し方なく保育ママに預ける・・・などの場合も「待機児童は解消した」とみなされます。

どんな支援をしているのか?

では、具体的に新子育て安心プランでは、保育の受け皿を増やす為にどのような施策を打ってきたのでしょうか。

①地域の特性に応じた支援
・保育施設の整備費等を交付する際、国がより多く負担するようにする
・自治体の窓口に「保育コンシェルジュ」が常駐し、相談支援を拡充することでミスマッチを解消する
・保育園の送迎用巡回バスを新規に配備または増便する

②保育士の確保
・保育補助者の雇用を補助(保育補助者の勤務時間は週30時間以内、とする制限を撤廃)
・保育士の配置について、常勤保育士1名の代わりに、短時間勤務保育士2名を充ててもOKとする
・潜在保育士に求人情報などを提供する、保育士・保育所支援センターの機能強化
・保育士の離職防止や勤務環境の改善を図るため、保育事業者コンサルタント・保育士支援アドバイザー・巡回アドバイザーなどを配置する

③子育て資源の活用
・小規模保育の利用定員の弾力化
・保護者に対するベビーシッターの利用料助成の非課税化
・企業主導型ベビーシッターの利用補助の拡充
・育休取得に積極的に取り組む中小企業への助成

所感

・「新子育て安心プラン」はとにかく「待機児童」を解消をゼロにすることを目指したプラン(中小企業への育休取得の促進とかあんまり関係ない話も入っているけれど)。施策との因果関係は不明ではあるが、実際に保育の受け皿は増えていて、定義上の「待機児童」問題は解決に近づいているように見える。
・一方で、保育所での不適切保育や、認可外保育施設での子どもの死亡など痛ましい事例が相次いでいることから、「量」の支援から「質」の支援へと舵を切るべきフェーズにきているように感じた。

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