「ファーストクラスに乗ったのに」と「ユーザーの期待」


「ファーストクラスに乗ったのに」ANAのサービスに男性が恨み節 - ライブドアニュース

こんなニュースが話題になっており、この男性の対応やANAのサービス自体の話は置いといて、これって期待値調整とかUXの話だなあ、と思ったのでとりとめもなく書きます。

期待値調整

「期待値調整」という言葉があります。

雑にいうと、ユーザーが、あるサービスや製品に対して過剰な(場合によっては過小な)期待を持たないように調整することです。

期待値ズレてる例

「肌年齢マイナス10歳」「あの芸能人も愛用」みたいなキャッチコピーで売ってる化粧品があったとして、実際使ってみたら「そこそこいいけどそうでもなかった」みたいなケースでは、その製品に対する評価が実質より下がってしまいます。

飲食店などでも同じように、事前に良い口コミを聞きすぎて、期待が高まりすぎて、いざ行ってみたら「普通....?」みたいな感想を持ったことは誰しもあると思います。

企業間取引でも「このシステムを入れたら御社のコストが50%削減できます!」みたいな営業で、実際は導入実績の一部のデータでしかなかった、みたいな場合、過剰に期待値をあげすぎていると言えます。

期待値調整って難しい

企業間取引ならいざ知らず、これだけSNSが広まってしまった昨今では、サービスや製品を提供する側からするとコントロールしづらいものでもあるなあ、と思います。

サービスや製品が高価であればあるほど、それがよほど品質の低いものではない限り、それは「良い体験」「良いもの」である、というバイアスがかかる傾向があります。

さらに、その「良い体験」「良いもの」を人に伝える際に、さらに正のバイアスがかかりがちです。自分が高いお金を払って、良い経験をしたことは話したくなりますが、失敗した経験はあまり話したくない、というよくあるアレです。

結局のところ「良い体験」「良いもの」を提供できていて、適切な価格設定がされていることが期待値のズレを長期的にはなくす、みたいなところに落ち着くのですが、ユーザーにどう思われているのか、という点は意識的である必要がありそうです。

おまけ

一応、デザインについてのブログなので、UXっぽい話をすると、このサービスや製品の利用前、ユーザーが体験を想像する段階を「予期的UX」と言います。

UXデザインにおいては、大きく分けて「利用前」「利用中」「利用後」「利用時間」のユーザー体験を設計しますが、前述のように「利用前」ユーザーの思いや期待は変数が多く、アンコントローラブルで、個人的にはこの段階の設計が難しいなあと。

だれか強いUXおじさんの論考を待ってます。

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