見出し画像

知的学級高学年に読み聞かせと朝の読書をやってみた結果

 知的学級の高学年に読書指導を行いました。目的は読書量を増やすこと。内容は読み聞かせ5ヶ月と10分読書1ヶ月。結果、鬼ごっことじゃれ合いが好きだった子ども達4人に、「学校図書館から本を借りる」「家から本を持ってくる」「親に本をねだる」「休み時間に本を読む」といった行動の変化が現れました。

朝の読書を通して得られた結果

 朝の読書を実践してすぐに、全員が10分間静かに本を読むことができるようになりました。彼らの読む力は小学校2年生〜5年生相当なので、同じ本を独力で10分間読み続けたのはたしかな成果です。

 その後2週間で図書館で借りる本に変化が見えました。字の多い絵本を選んでいた子達が低学年〜中学年レベルの物語を選ぶようになりました。その日で終わる本ではなく、少しずつ続きを読んでいくスタイルに変わりました。

 1ヶ月が経った辺りで、「家から本を持ってきてもいいですか」と子どもから質問を受けました。後日その子が欠席して家に電話した際、お母さんから「あの子が本屋へ行こう、本がほしいと言ってきました。漫画と攻略本以外の本をねだられたのは幼児の頃以来です。」と聞きました。

 その後、休み時間や授業のすき間時間に本の続きを読もうとする姿が頻繁に見られるようになりました。本を一冊持って校内を歩く姿が日常となり、協力学級の担任の先生や子ども達に驚かれました。


行った指導

読み聞かせ5ヶ月

 4月から担当した学級。まずは読み聞かせから指導をはじめました。ねらいは実態把握と読書の楽しさの伝達。知的学級だったため、子ども達が文章をどの程度読めるのかを知る必要がありました。その間、「他にできる読書指導を」と考えひとまず読み聞かせで本の世界の楽しさを伝えることにしました。

 一日一冊、その日の最初の授業の冒頭に絵本を読みました。初めて読み聞かせをする際に、「これは国語の授業の一環であること」「大人でも絵本から得られる気づきや成長があること」「この先どんな人生を選んでも読書は役に立つこと」を伝えました。

 子ども達はすぐにハマり、今日は何の絵本が読まれるのかを楽しみにするようになりました。読み聞かせに使った絵本を教室にしばらく置いておいたところ、手にとってゲラゲラ笑いながら音読する子もいました。4月から始まり夏休みをはさみ9月下旬まで読み聞かせは続きました。


「朝の読書」1ヶ月

 教育課程が後期に入ったタイミングで、読み聞かせをやめて朝の読書をはじめました。その日の最初の授業の冒頭10分間を「朝の10分読書」とし、自分の好きな本を静かに読む時間にしました。

 初回の指導で伝えたことは「絵本ではなく物語を選ぶこと」「それは10分間同じ本を読むためであること」「絵本であっても文章が多く10分間読み続けられるものは良いとすること」「国語の授業の一環であり、続ければ文字を上手に読めるようになる取組であること」の4点。

 朝の10分読書中の担任の動きは、子ども達と向かい合う形で座って自分の本を読むことでした。子どもの中に本を読んでいて大声で笑ってしまった子がいたので、その際は「静かにね」とだけ伝えました。その指導も一度きりでした。

 毎週金曜には全員で学校図書館に行き本を選ばせる時間をもちました。その他、授業が早く終わったときも「図書室いくよ」と声をかけ、学校図書館で好きに過ごす時間としました。じゅうたんで寝転がる子もいれば、そこにある本を読む子も、朝の読書で読んでいる本を持参し続きを読む子もいました。


補足

 本来であれば授業中ではなく、登校後、朝の会が始まる前の時間に朝読書を行いたいところでした。ですがこの学校は朝学習を行っているので朝の読書はできません。授業の冒頭10分というのは、毎日朝の読書を行うための苦肉の策です。

 支援学級、特に知的学級は授業内容を柔軟に考えることができるので、この方法を使うことができました。通常の学級でも教育課程に余裕がある低学年なら取り入れられると思います。

 朝の読書のキモは「担任が一緒にやること」「全員でやること」だと思います。勉強が遅れている子は読書じゃなくプリント、担任は丸付けや事務作業、みたいな状態だと朝の読書は本来の効果が出ません。過去に朝の読書をやってみて手応えがなかったという場合、その点を気にしてみてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?