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デザイナー読書メモvol.9「みんなではじめるデザイン批評」

ずいぶん寝かしていた本をやっと読みました。
例によってこちらのフォーマットに則って感想をまとめています!


この本の概要をまとめると?

より良いデザイン(目的を達成する)を制作するために必要な制作フローである批評をどのようにして行うべきか、環境や心構え、準備など様々な点から説明してくれる本です。

基本的な批評の枠組み」

デザインの目的は何か?

目的に関連しているのはデザインのどの要素か?

そうした要素は目的を達成するのに効果的か?

それはなぜか?


この本から得た学びは何か?その学びをどう活かせそうか?

・フィードバックには、「反応型」「指示型」「批評」の3つのタイプがあり、「批評」は批判的思考を用いた分析であり、デザインが目的を達成するために正しく機能しているかを理解する上で有益なフィードバック。

●反応型例
「おいおいひどいもんだな!」「ダサいね」「素晴らしい出来です!」
●指示型例
「私ならラジオボタンじゃなくてドロップダウンにするな、なぜなら〜」
●批評例
「目的が〜〜〜だとしたら、この文字サイズの大きさとレイアウトは効果的でないです。なぜなら他の情報に紛れてしまうからです。
→目的を理解しどの箇所を分析しているか明らかにし理由を伝える。

→マイナスな反応的なフィードバックが悪いのはデザイナー目線から見てもよくないのは分かるのですが、ポジティブな言葉も反応的に行うのはデザインを良くするという観点で言えば限定的な効果しかもたらさないということです。指示型も具体的で迅速に修正ができるので私自身よくやっているのですが、自分に認められたデザインが必ずしも効果的かというと…。
批判的思考(=意見を聞いてそれの良し悪しを判断するプロセス)でフィードバックすることを心がけたいです。


・良い批評を行うためには「協働とイテレーション」の文化が大事で、駆け引きや縄張り意識のない健全な環境が基盤が必要。

●協働
「調整」と「合意」のバランスを理解して協力して働くこと
●イテレーション
繰り返しソリューションに変更を加えて徐々に有効性を高めていくこと。
(例:目的が長距離音声コミュニケーションデバイスの製作、糸電話→黒電話→家庭用電話→携帯電話→スマートフォン)

→そもそもイテレーティブなプロセスを踏まない制作環境だと、批評をもらって分析し直す時間をもらって変更を加えていくというフローが成立しにくいので難しいというのは確かにと思いました。あとは批評の場の目的を自分の立場のため政治的に利用する、駆け引きのために利用するなど、共通の目的への理解がないとなかなか欲しい批評がもらえないとも思いました。


・共通の目的理解のためにミニクリエイティブブリーフを作成する

●主な記載内容
・製品の問題についての説明、または目的の簡潔なまとめ
・ソリューションの主要なユーザー(ペルソナ)
・ソリューションが使用される主なシナリオ
・製品のために設定されたビジネス上の目標
・守るべきデザイン原則

→プロジェクトの開始時点でメンバーが共通の基盤を持って制作出来ない場合があるので、製品にとって最も重要な基盤の要素と目的を1枚の紙にまとめて、ミーティング開始時やディスカッション時に毎回見直す。目的をプロジェクトが進むにつれて見失うことがあるのでこれはとても有効だと思いあました!ぜひ実践したいです。


批評は問題解決じゃない
→人間の脳は分析的思考(情報を取り込んで比較する)と創造的思考(アイデアを組み合わせて有望なソリューションを生み出す。問題解決。)の両方を意識的に行うことはできない。頻繁に行ったり来たりするらしい。そのため目的が問題解決に向かうと、メンバーに思考がバラバラになる、デザイン要素を分析するという批評の目的が達成されなくなるなどの問題があるそうです。解決法を思いついたらどんどん話を進めたくなるタイプなので気をつけようと思いました…。でも問題解決しないのはかなり難しいそうです。(分かる)


何に1番驚いたか?

デザインの批評をすると言っても、「批評」の定義から、メンバーの選び方、準備、そもそもの製作環境、扱いにくい人との接し方への対処など、やった方がいいことや配慮すべきことがかなりあるということ。めちゃくちゃハードル上がってしました…笑


この本から得た深めるべき問いはなにか?

感想になってしまうのですが、、
批評は共通の目的を理解して行うので、デザインに指摘が入っても批判的思考を理解していれば、なるほどと納得感を持って再度分析に入れると思います。でも共通の目的が理解されていない・設定されていない場合は、そもそも批評ができず、個人の反応、指示的なフィードバックになってしまうため効果的でなくなります。なので、最初の目的の共有は非常に大事だと思いました。そして目的を継続して確認していくフローも重要だなと思いました。


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