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3月の最終日「にじをかく」

 最終日で日曜日。今日はとても暑かった。昨夜確認した予報でもそうだったが、とはいえまだ三月なわけだし、とカーディガンを着て外出したが、半袖でちょうど良くて、プロデューサーばりに肩に掛けていた。

 そんなこんなな三月。早いもので明日から娘も年長さんだ。自分のときがどうだったかは全然憶えていないが、昨今はもう一年前のこの時期にランドセルの下見や予約をするのが当たり前らしい。そんなわけで下見&予約をすでに終えた。二週間前くらいからカタログを観てアタリをつけてはいた。漫画『よつばと』にランドセルを買いに行くエピソードがあり、わりと感慨深い話なのだけれど、ランドセルを背負う娘を見て、込み上げてくるものが……、と書きたいところだが、別にそんなことはなく、というか、まだハッキリ言って全然実感が湧かないというのが、正直なところ。夏くらいには届くらしく、それから前撮りというか、記念撮影をするらしいので、多分、そのころにはもう少し実感は湧くのだろう。

 しかし、早いもので(?)娘ももう五歳だ。今月は誕生日があった。この、一年に一回しかない最重要イベント、年度末ということもあり、仕事がゴタゴタしていて何かと侵食されがちというか、今年も例によって、取引先と若干モメているタイミングに丸かぶりして、当日は急な残業でケーキ屋さんの閉店時間に間に合わなくなり、翌朝取りに行けたものの、休出になり予定していたいちご狩りに行けなかったりした。幸い、行けなかったのは僕だけで、予約もしていたので、妻と娘、それと妻の妹とその子で行って、娘はとても楽しかったようだけれど、マジで時代が時代なら切り捨て御免である。事務所持ってたら総出だ。いやまぁ、冗談だけれども。ただ、こういうとき、僕は僕で良い人間であろう、なんて思ったりもする。性格悪いくせにね。

 誕生日プレゼントは、妻の方の親戚の方々からは、すみっこスマホを貰った。クリスマスプレゼントのすみっこパソコンと連動できるらしく、ここのところ外出するときはストラップで首から下げて持って行っている。僕らからは本人たっての希望で『ぷにるんず』という『たまごっち』の仲間みたいなオモチャをプレゼントした。どうやら保育園の一部の女子で流行っているらしい。原宿のお店で購入し、その後は竹下通りを散策。道行く人々が持っていた巨大でカラフルなわたあめを買おうということになり買った。ぱっと見、体の半分くらいの大きさのわたあめを手に持って、とても嬉しそうだった。案の定、食べきれなくてほとんど僕が食べたのだけれど、糖分の急性過剰摂取で脳みそが爆発しそうになった。まさに「食ってみろ、飛ぶぞ」である。娘はとても可愛いので(親バカ)、竹下通りを歩いていたらスカウトされちゃったりして、なんて思っていたけれど、されなかった。でも、みなとみらいでは「キッズモデルに……」と声をかけられた。なんかビミョーに胡散臭かったのでお断りしたけれど。

 一週間遅れたけれど、僕の母こと『新潟のばあば』とも今日一日、一緒に遊んでプレゼントも貰った。いろいろと貰ったり買ってあげたりと、プレゼント何が欲しいかなぁ、と娘ともども考えあぐねていたのだけれど、クーピーペンシルの60色セットなるものがあることを知り、それをプレゼントしてもらうことにした。僕が子供のころは12色がスタンダードで24色もあれば豪華だったけれど、五倍だ。いざ貰ってみると、結構迫力があって、これは嬉しいだろうな、なんて思う。娘も早く帰ってお絵描きしたくなったらしく、ばあばと別れ最寄駅についたときに「おやつにドーナツでも買ってく?」と聞くも、「いらない。かわない! はやくかえる!」なんて意言い出す始末。宣言通り、帰宅後手洗いも早々に、早速お絵描きを始めていた。

 大迫力な60色のクーピーを横に置いて、画用紙を準備する。こんなにも色とりどりのクーピーを使って何を描くの? と、それとなく尋ねてみると、「たくさんあるから、にじをかく!」と即答。そっか、そうだよな。良いね、と思った。たくさん色があったら、たしかに虹を描くべきだ。描くべき、というより、それが自然というか当然というか必然というか、娘にはそういう感性というか発想を大切にしていってほしいし、彼女がそれを大切に出来るように、良い人間になろう、と思った。

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