私が電子タバコを吸わない4つの理由
2014年に日本でアイコス(IQOS)が発売されはや5年。普通のタバコに比べれば健康被害が少ないというプロモーションと、新しく楽しいデバイスの相乗効果により、シェアは拡大。グロー(glo)、プルームテックを加えた3大加熱式タバコは2020年には日本全体のタバコ市場の30%を超えると予想されています。
アイコスを始めとする加熱式タバコに加えて、VapeやE-cigaretteと呼ばれる、ニコチンを含む液体を加熱することで蒸気を楽しむ電子タバコと呼ばれる製品もシェアを拡大しています。ヨーロッパ諸国(英、独、伊)や韓国では加熱式タバコよりも電子タバコが一般的です。
これらの新型タバコは若者ほど多く吸っていることが明らかになっており、早急に悪影響を調査する必要があります。しかし、普通のタバコと同じように、その悪影響を短い期間で導き出すことは不可能です。2014年にアイコス発売と考えると、たったの5年ではまだまだ情報が蓄積されていないというのが現状。
そこで、今回は蓄積されていない情報の中でも、あくまで”現段階で”分かっていることをnoteにまとめていきます。
電子タバコを吸っている人や、これから吸おうと思っている人、家族や友人が吸っている人は、是非一度チェックしてみてください!
”電子タバコは普通のタバコより95%安全です”に隠された嘘。
”電子タバコは普通のタバコより95%安全です”
この主張は2014年に行われた調査(*1)が根拠になっているのですが、この調査はタバコ関連企業の出資により行われた調査であり、調査を行った「専門家」を選ぶプロセスが指定されておらず、企業に有益な報告をした可能性が高いと考えられています。
さらに、「タバコより安全である」といった主張しかなく、「電子タバコが安全である」という根拠には全くなっていないのです。
もちろん、短い期間の中で電子タバコの害を正確に測定するのは不可能ですが、この結果は余りにも企業に有益な結果です。さらに、このプロモーションは、電子タバコを吸おうとしている人に対して、『電子タバコがいかにも安全である』とミスリードを促すものであることは間違いありません。
電子タバコが引き起こす健康被害のメカニズム
1.粒子径
電子タバコにより発生する煙にふくまれる粒子は、従来のタバコと同じ100-600nmの径をもち、その粒子のほとんどが肺胞に沈着することが判明しています。成分濃度は普通のタバコより少ないのですが、2013年の研究(*2)によると電子タバコに含まれるエアロゾルも有害で、
・DNA損傷
・炎症誘発性サイトカインの発現
・遊離酸素ラジカルの生成
を引き起こすことが明らかになっています。これらは肺胞細胞にダメージを与える因子ですから、長期的に肺気腫などの重篤な障害を引き起こす可能性が考えられます。
2.有害成分
電子タバコのエアロゾル中に含まれる有害物質には
・NNN(発がん性物質)
・NNK(発がん性物質)
・ホルムアルデヒド(刺激・毒性物質)
・アセトアルデヒド(刺激・毒性物質)
が含まれ、これらの暴露レベルは国立職業安全衛生研空所が推奨するレベルを超えることが分かっています。
さらに、電子タバコには普通のタバコより多く含まれる有害物質もあります。それが重金属。これらが普通のタバコよりも有害な作用を示すことが懸念されています。
さらに、電子タバコのエアロゾルには血小板凝集を誘発し、心筋梗塞や狭心症といった、心血管疾患を引き起こす可能性も示唆されています。
そして、呼吸器系の問題としてマウスレベルの実験では、電子タバコのエアロゾルを暴露した場合、インフルエンザや肺ウイルスの増加やMRSAのような多剤耐性菌の増加、肺炎球菌の付着のほか、死亡率の増加が観測されており、免疫力の著しい低下が認められました。
ヒトを対象とした研究で分かっていること
普通のタバコから電子タバコに切り替えたとしても、安全性が上がるという証拠はありません。また、肺機能が改善するという証拠もありません。
既にCOPDになっているヒトが電子タバコに切り替えたとしても、咳の増加・増悪、肺機能の低下がみられることが分かっています。
さらに、屋内での電子タバコの使用は、受動喫煙に匹敵するニコチンを他人に吸収させることも判明しています。(*3,4)
ニコチン入りでないものを使っていたとしても、肺機能は低下することが明らかになっており、咳や鼻炎症状、喘息の罹患率も増えることが明らかになっています。
電子タバコと普通のタバコの関係
10代~の若者は電子タバコを始めやすい傾向にありますが、電子タバコを吸い始めた若者は、電子タバコが安全であると感じるため、次の年に普通のタバコを吸い始める確率が3.87倍に増加することが明らかになっています。(*5)
普通のタバコを吸っている人が電子タバコに変えると、6カ月以上禁煙の成功率が1.3倍に増加するというデータもある(*6)ので、
今普通のタバコを吸っていて、禁煙を考えている人にとっては電子タバコに切り替える意義はあるかもしれません。しかし、子どもや若者に積極的に電子タバコをアピールすることは、やはり避けるべき行動です。
まとめ
以上のことから、私が電子タバコを吸わない理由はコチラ。
1.粒子径が体に悪い
2.有害成分が多すぎる
3.ヒトを対象にした研究でも体に悪いことが分かっている
4.他人を意外と巻き込みがち
電子タバコや加熱式タバコが流行り始めてから、まだそこまで時間が経っていないので、科学的な情報もまだまだ少ないというのが現状です。現段階でのデータは今回の記事である程度把握できるはずですが、今後もっとショッキングなデータが出てくるのは、ほぼほぼ間違いないように思います。
自分のお金と健康をどのように使うのか、一度考えてみてくださいね!
僕の記事よりも、もっと分かりやすく、体系的に電子タバコの知識がまとまっている本がコチラ!是非参考にしてください!
引用
1.Nutt, David J., et al. "Estimating the harms of nicotine-containing products using the MCDA approach." European addiction research 20.5 (2014): 218-225.
2.Zhang Y, Sumner W, Chen DR. In vitro particle size distributions in electronic and conventional cigarette aerosols suggest comparable deposition patterns. Nicotine Tob Res. 2013;15:501-8
3.Chun LF, Moazed F, Calfee CS, Matthay MA, Gotts JE. Pulmonary toxicity of e-cigarettes. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2017;313:L193-206
4.Kalkhoran S, Glantz SA. E-cigarettes and smoking cessation in real-world and clinical settings:a systematic review and meta-analysis. Lancet Respir Med. 2016;4:116-28
5.Bold, Krysten W., et al. "Trajectories of e-cigarette and conventional cigarette use among youth." Pediatrics 141.1 (2018): e20171832.
6.Vanderkam, Paul, et al. "Efficacy and security of electronic cigarette for tobacco harm reduction: Systematic review and meta-analysis." (2016): 971-985.
7.Thirión-Romero, Ireri, et al. "Respiratory Impact of Electronic Cigarettes and “Low-Risk” Tobacco." Revista de Investigación Clínica 71.1 (2019): 17-27.
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