認知症を予防する3つの行動、認知症になりやすくなるかもしれない3つの行動とは?
自分や大切な家族が認知症になってしまったらどうしますか?
認知症の治療は全て対症療法。つまり、進行を抑えることができるだけで、根本的に治すことが出来る治療薬が現段階で世界のどこにも存在しません。
残念ながら、私たちが認知症にならないよう対抗する手段は、生活習慣を変えることだけなのです。なんとなく運動したり、脳トレみたいなことをすれば認知症にならなそうな気もしますが、一体どうやって過ごすことが認知症への最強の対抗手段なのかまでは全く知らない人が大半だと思います。
今回は、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE(https://www.nejm.org/)に掲載された『469人の75歳以上の高齢者の休日の過ごし方を5年に渡って追跡調査』した研究をご紹介します。これだけの人数を5年追跡調査するのはかなり大変だということは想像してもらえたらすぐ理解できることでしょう。
この記事では
・認知症予防に有効な4つの休暇の過ごし方
・認知症になりやすくなるかもしれない2つの休暇の過ごし方とは?
・運動・頭を使う活動・社会との関わり。一体どれが効果的なの?
・休暇をどのように過ごすことが認知症予防に最も効果的なのか?
について明らかにしていきます。
対象読者は
・最近、物忘れがひどいと思うヒト
・介護や医療に携わるヒト
・認知症に絶対になりたくないヒト
今回の記事を読むのに必要な時間:6分
認知症予防に有効な3つの休暇の過ごし方とは?
5年の追跡調査の中で、休日にこれらの活動をしてた人はしていない人と比べて何%が認知症になったかというグラフ
簡単に言うと、ダンスは平均76%、楽器演奏なら69%の割合で認知症になる人が少なかったということになります。
他の休日の過ごし方100%未満ではあるんですが、グラフに生えたひげが100%以上のモノが多いですね。これは、データの正確性ともいえる部分です。ひげが100%を超えているものは、あまり信頼できないデータとして理解してみてください。
結論①:ダンス、ボードゲーム、楽器演奏は
認知症予防にかなり有望。
認知症発症リスクを76%~69%減らせる!!
結論②:クロスワード、読書は弱いが、
認知症予防効果がありそう。
認知症発症リスクは41%~35%減らせそう!
水泳、家事は何とも言えない結果。種類やハードさでかなり変わってくるので、もっとしっかりした研究が出るのを待つ必要がありそうです。特に水泳はむしろ認知症発症に関わっている可能性もあります。これについては後に詳しく書きますね。
次は、”認知症の発症を助長する可能性がある”休日の過ごし方をご紹介していきます。せっかく健康の為・・・と思って頑張っているアノ行動がまさか、逆に認知症リスクを高めているとは。。。
認知症になりやすくなるかもしれない3つの休暇の過ごし方
5年の追跡調査の中で、休日にこれらの活動をしてた人の何%が認知症になったか?というグラフ
グループエクササイズというのは、フィットネスジムなどみんなで並んでインストラクターによるエクササイズレッスンを受けるものの事。
グループエクササイズは認知症予防にほとんど効果が無いようです。わざわざ健康の為にエクササイズしている人は多いと思いますが、それがまさかの結果です。
問題は、サイクリングと階段昇降で、ほぼ確実に認知症を助長すると考えられます。なぜかと考えるヒントは、先程紹介した水泳にありました。
水泳はひげの先が230%まであります。これは、認知症を助長する可能性もあるということです。サイクリングと階段昇降、そして激しい水泳に共通するのはとても激しい運動であることです。
つまり、激しすぎる有酸素運動は脳への酸素供給を抑制し、酸欠状態を作り出します。したがって、脳へのダメージが蓄積し、認知症発生に関わるのではないかと考えられます。
結論③:サイクリング、階段昇降、
激しい水泳は、認知症予防の観点からは
避けるべき活動。
今回書いていない休暇の過ごし方以外にも、私たちの余暇の使い方はたくさんあります。ここまでくると、ほかにも社会との関わり方等、大まかにどういった活動が認知症予防に最適なのか知りたくなります。
大まかなジャンルが絞れれば、例えば予防効果の高かったダンスや楽器演奏に興味がない人でも、どんな活動をする事が認知症予防に効果があるかという目安になるからです。
リサーチを進めてみると、15582人の高齢者を5年に渡って追跡調査した中国の調査データがあったので、ご紹介しますよー!
知的活動・社会との関わり・TVなどを比較して、一番大切なのは・・・
大まかなジャンルごとの休暇の過ごし方による認知症になった人の割合の違い
結論④:知的活動、社会との関わり、
その他の活動を比較すると、
読書を始めとする積極的な知的活動が
最も認知症予防効果が高い。
この結果から言えるのは、運動以外の活動においてはどれだけ積極的に行動しているかだと考えられます。
・読書やボードゲームは
自分からやろうと思わないとできません。
・社会との関わりは自分から行く場合と
向こうからくる場合が半々。
・TVやラジオは完全に受け身の活動。
この積極性が認知症に大きく関わってくるのでしょう。
長くなってきたので”最後に”どのように休暇を過ごすのが認知症予防に効果的なのかをまとめていきます。
休暇をどのように過ごすことが認知症予防に最も効果的なのか?
結論を整理するとこうなります。
①:ダンス、ボードゲーム、楽器演奏は
認知症予防にかなり有望。
認知症発症リスクを76%~69%減らせる!!
②:クロスワード、読書はは弱いが、
認知症予防効果がありそう。
認知症発症リスクは41%~35%減らせそう!
③:サイクリング、階段昇降、
激しい水泳は、認知症予防の観点からは
避けるべき活動。
④:知的活動、社会との関わり、
その他の活動を比較すると、
読書を始めとする積極的な知的活動が
最も認知症予防効果が高い。
したがって、
・ボードゲームや楽器演奏のような頭を使う活動は
認知症予防効果大!
・ダンスなどの運動も良いが、
酸欠になるような運動は避ける。
・知的活動は自分から何かを生み出すような
クリエイティブ性があるものだとさらに良い!
この3つのポイントに注意して
休暇を過ごすようにすると良いでしょう。
特にダンスや楽器演奏などをやっている人はそんなに多くはないので、スキル上達と共にアイデンティティを形成する事にも役立ちます。「自分だけの○○〇」を持っている人は人生の満足度もとても高い事が明らかになっていますから、是非チャレンジしてみてください♪
それ以外の活動が良いんだ!という人でも、何かを作り出すことにチャレンジすることが認知症の一番の予防方法かもしれません。
そういえば、私の患者さんも折り紙ブロックで
鶴を大量生産していたっけ。。。(笑)
道理で90歳過ぎてるのに認知症にならないわけだ。。。
引用
1.Verghese, Joe, et al. "Leisure activities and the risk of dementia in the elderly." New England Journal of Medicine 348.25 (2003): 2508-2516.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa022252
2.Wang, Hui-Xin, Weili Xu, and Jin-Jing Pei. "Leisure activities, cognition and dementia." Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Molecular Basis of Disease1822.3 (2012): 482-491.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0925443911001979
3.Wilson, R. S., et al. "Relation of cognitive activity to risk of developing Alzheimer disease." Neurology69.20 (2007): 1911-1920.
https://n.neurology.org/content/69/20/1911
4.Lee, Allen TC, et al. "Association of daily intellectual activities with lower risk of incident dementia among older Chinese adults." JAMA psychiatry 75.7 (2018): 697-703.
https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/article-abstract/2681169
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