いびきを止める方法が適当すぎる_ちゃんと調べてみた_

いびきを止める方法が適当すぎる。ちゃんと調べてみた。

ハイライト
・いびきで悩むヒトのうち、80%以上が対処をしていない
・いびき改善エクササイズでいびきの頻度は60%減!
・いびき改善グッズのエビデンスのなさがヤバい。

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🛏️いびきで悩む人の80%以上は対処せず🛏️

5,770人の成人男女を対象にした調査が2019年1月に行われました。

いびき

いびきをかいている人は45%
いびきで悩むヒトのうち、73%は誰にも相談していない
いびきで悩むヒトのうち、80%以上が対処をしていない

*セブンドリーマーズ調べ

したがって、いびきに悩んでいる人は決して少なくないにもかかわらず、何をしたらいいのかわからず、80%以上のヒトが何も対処できていないのです。


この調査を見てびっくりしました。だって、いびきって結構重大な問題じゃないですか。パートナーや子どもがいるヒトだったら、その関係にネガティブな影響を与えますし、友達と旅行に行ったら、嫌われる要因になるかもしれません。

飛行機などの長距離移動で、見知らぬ人に迷惑をかけているかもしれないのです。わりかしバカにできません。


今回は、

・いびきをかく原因 ~酔うといびきをかくのはナゼ?~
・どこでもデキる!いびきを改善する簡単な方法。
・いびきグッズのほとんどが効果ない!正しい知識を身に着けよう!

この3つの知識をシェアしていきます!


👩‍🔧いびきが起こるメカニズム👨‍🔧

浅い眠りから深い眠りへと落ちていくにつれて、軟口蓋、舌(ベロ)、喉の周りの筋肉が緩んでいきます。緩んだ筋肉が気道を少しずつ塞ぐ為、空気が通ることで振動し、音が発生します。

気道が狭くなればなるほど、気流の勢いが増し、いびきは大きくなります。

*軟口蓋とは、上あごの奥にある柔らかい部分のことです。
舌でつついてみると柔らかいのが分かります。


いびきが起こる原因😴

Mayo Clinicの記事がとてもよくまとまっていたので、これを参考にご紹介します。

1. お酒(アルコール)の飲みすぎ
アルコールは、喉と口周りの筋肉を緩ませる効果があります。したがって、緩んだ筋肉が気道をふさぐことでいびきが発生しやすくなってしまいます。
2.遺伝的な問題
軟口蓋の厚さが分厚かったり、喉の後ろに余った組織がある人は、気道が狭くなりがちです。さらに、鼻の通りが悪い構造になっている人は、いびきをかきやすい傾向があります。
3.性別
男性は女性よりもいびきをかきやすい傾向があります。
4.太り気味
体重が増えるにつれて、喉の脂肪が増え、気道が狭くなりがちです。いびきをかきやすくなることもよく知られています。


いびきを改善する方法

いびき改善エクササイズ🏋️

いびき改善エクササイズは、実はかなり多く研究されている方法です。2017年には過去に行われた56個のいびき研究の中から、211人の参加者のデータをまとめ上げるメタ分析が行われました。

ポッと出ただけの研究では、複数の研究をまとめるメタ分析を行うことはできないため、ある程度信用して良い内容だと思われます。

いびき改善エクササイズは、だれでも簡単にできるのに、しっかり効果が出ます。例えばこんな感じ。

いびきの『頻度』が60.0%減少する

・いびきの『大きさ』が44.7%減少する

などなど、いくつもの効果が示されています。


いびき改善エクササイズのやり方📝

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(https://securelaptop.org/tongue-exercises-to-reduce-snoring/)より引用
1)舌の先端を硬口蓋(上あご前側の硬い部分)に押し付け、舌を後方にスライドさせる(20回)
2)舌を上げ、舌全体を上あごに押し付ける(20回)
3)舌の先端を下の歯と接触させたまま、舌の後ろを口の底に押し付ける(20回)
4)母音を「あ」と断続的に言いながら、喉の奥を開く(20回)

1~4を1日3回を目安に行います。

要は、舌と顔周りの筋肉を鍛え、組織が気道をふさがないように適度に緊張させておく方法です。

1~3までは黙ってやることができるので、電車の待ち時間や、車の中など通勤・通学時間を使ってエクササイズを行うことができます。4は声さえ出さなければできる方法ですが、まずは1~3だけを試すのも良いアイデアです。


他にも、

・風船を膨らませる
・細いストローから水を吸う
・指をくわえて頬を押す

など、口の筋肉を鍛えるようなトレーニングの有効性が示されています。


鼻クリップは効果がほぼない!👃

2016年にPulmonary Medicine誌で公表された研究では、鼻クリップに関する優秀な14個の研究内容をレビューされました。対象患者は294人。鼻クリップに関する研究の中では最大規模のデータを扱っています。

その結果、鼻クリップを使っても

いびきの強度や頻度、長さはほとんど変わらない』

と結論付けられています。

したがって、いびきでお悩みの方が”鼻クリップ”を買う意味はほとんどありません。

Amazonを見ると、形の違ういろいろな鼻クリップ(ノーズピン)がありますが、どれも鼻の通りを良くするという発想。特に意味は無いでしょうから、買う必要はありませんよ。


いびきバンドは・・・なんなんだ?

いびきバンドは、こんな感じの商品です。Amazonを見るとかなりの数があるみたいです。でも、全然意味が分かりません。


商品説明欄をカンタンにまとめると、

①:このバンドをすると口が開かなくなる
②:鼻呼吸になる
③:いびきがでにくくなる

ということが書いてあります。


しかし、このパンツもどきをかぶって変態仮面もどきになったところで、本当に口呼吸→鼻呼吸になるかどうかは一切テストされていません。データが見つからないのです。

それだけでなく、いびきが少なくなったり、音が静かになったりするかどうかも怪しいです。だって、そのデータがあったらそれを紹介するでしょう?それがないってことはいったい・・・??

そもそも、イビキをかくヒトは”睡眠時無呼吸症候群”になっている人もたくさんいます。睡眠時の無呼吸が続くと、空気をうまく吸えていないので血中の酸素濃度が下がります。そのせいで突然死や寿命の低下、各種疾患のリスク増加につながります。

無理やり口を閉じたらどうなるんでしょうか?

呼吸困難のヒトの口、わざわざ塞ぎますか?

僕は使いたくありません。


いびきスプレーはさらに意味不明👋

このスプレーの主成分は「ビタミンE」です。

ビタミンEがいびきに効くことを検証している医学論文や研究成果は全く持って見つかりませんでした。

本当に意味が分かりません。

ゼッタイ買っちゃダメな商品の一つだと思います。


病院でやるならCPAP🏥

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CPAP:持続陽圧呼吸療法とは、機械で空気を鼻から気道に送り込んで、睡眠時の無呼吸を防止する方法です。いびきにも効果があると言われています。


重症の睡眠時無呼吸症候群を持っている患者さんの場合

・無呼吸の発生率の低下
・睡眠の質の向上
・日中の眠気の低下
・突然死、死亡率を下げる

など、医療的なメリットが強い方法です。

機械を厳密に管理するため、医療機関で診断を受けないと使えません。費用は1か月あたり¥4,500くらいです。本当にお悩みの方であれば、高くはない値段かと思います。

また、寝がえりなどがかなり難しくなるため、途中で脱落してしまう方も一定数います。診断を受けたうえで、自分のライフスタイルに合わせて治療法を検討していくと良いでしょう。

”CPAP”。覚えておいて損は無い用語ですよ!


💡まとめ💡

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いびきを防ぐために最もオススメの方法は「いびき改善エクササイズ」です。筋肉が緩んで気道をふさぐことがいびきの原因なので、メカニズムから考えてエクササイズは理にかなった方法です。


睡眠時無呼吸症候群の可能性がある方の場合は、健康上の危険が差し迫っている可能性があるので、病院の受診が推奨です。CPAPは健康上のメリットが証明されている良い選択肢です。ぜひ検討してみてください。


鼻クリップ・いびきバンド・いびきスプレーは、いびきの改善データがほぼありません。データ重視の私は絶対に選択しません。


マウスピースに関しては、選択が難しいので言及しませんでしたが、下あごが少し前に出るような形のマウスピースの場合、良い選択肢となる可能性があります。しかし、Amazonなど簡単に手に入る場所では見つからなかったため、適当に試すくらいなら、まずエクササイズやCPAPの検討をオススメします。


最近読んだ、ぐっすり眠れる本(難読)



おしまい

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引用

Camacho, Macario, et al. "Oropharyngeal and tongue exercises (myofunctional therapy) for snoring: a systematic review and meta-analysis." European Archives of Oto-Rhino-Laryngology 275.4 (2018): 849-855.

Camacho, Macario, et al. "Nasal dilators (Breathe Right Strips and NoZovent) for snoring and OSA: a systematic review and meta-analysis." Pulmonary medicine 2016 (2016).

Ieto, Vanessa, et al. "Effects of oropharyngeal exercises on snoring: a randomized trial." Chest 148.3 (2015): 683-691.

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