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新型コロナとアフリカーーWHOが「各国は目を覚ませ」と訴えている件

▼新型コロナウイルスのニュースで筆者が気になるのは、アフリカのニュースである。ほとんど報道されない。しかし、ないわけではない。日本の場合はおもに、南アフリカのヨハネスブルクに駐在しているマスメディアの記者たちが書いている。

でも、報道される機会が少ないから、表題のWHOの声明も知られていない。

▼「新型コロナとアフリカ」について、筆者が最初に目にした大型の記事は、今から1カ月以上前の、2020年3月21日配信の読売新聞だった。

〈「各国は目を覚ませ」WHO、アフリカでの爆発的急増を警告〉

〈【ヨハネスブルク=深沢亮爾】新型コロナウイルスが、医療体制のなサハラ砂漠以南のアフリカ諸国でも広がる兆しを見せている。劣悪な衛生環境や貧困が感染に拍車をかける恐れがあり、世界保健機関(WHO)は爆発的に患者が増える事態への警告を発している。

 WHOのテドロス事務局長は18日、スイス・ジュネーブでの記者会見で「アフリカでは検知できていないケースがあるはずだ。各国は目を覚ませ」と強い口調で呼びかけた。

 サハラ砂漠以南の49か国では2月末まで感染確認はゼロだったが、19日には200人以上を数える。このうち116人を占める南アフリカは15日に「国家的災害事態」を宣言し、11人の感染を確認したルワンダは大統領自らが手を洗う動画に登場して啓発に努める。

 サハラ以南のアフリカ諸国で感染者数が少ないのは、ウイルス検査機関が乏しいことも背景にある。1月までは、南アフリカとセネガルの2か所しかなかった。WHOは「検査態勢は世界最低レベル」として、実際の感染者数と確認者数との間に大きな差がある可能性を指摘する。

 アフリカで爆発的な感染の拡大が懸念されるのは、中国と密接な関係を持つ国が多いからだ。

 中国は2000年代以降、アフリカ各国に多額の投資を続けてきた。サハラ以南各国在留の中国人は50万人以上とされ、すでに感染していた人が持ち込んだウイルスが、市中に横行している可能性がある。

 サハラ以南では4億人以上が1日1・9ドル以下で生活する。大都市周辺のスラム街は衛生状態が悪く、人口は過密状態だ。米ランド研究所が16年に発表した「感染症に脆弱な25か国」のうち、22か国はサハラ以南だ。

 欧米や日本など各国は近年、13億人の人口を抱えるアフリカを「最後のフロンティア」として投資や人事交流を強化している。南アフリカの外交筋は「感染が拡大すれば、アフリカ開発に与える影響も長期化する」と懸念している。〉

▼まず、WHOがかなり強い調子で警告していることがわかる。

▼筆者は、日本の「大都市」と「地方都市」との比較を考えるにつれ、地球上の「先進国」と「発展途上国」との比較に目がいく。病院の数、医療従事者の数、医療機器の数、すべて、前者が後者を圧倒している。

アフリカの場合は、それだけではない。「マスクがない」という話ではない。「石鹸がない」だけでなく、「石鹸で手を洗う」という習慣が定着していない地域が多い。いま、この文章を読んでいる人たちが「当たり前」に思っている、「石鹸で手を洗う」という常識が普及したのも、ごく最近のことにすぎない。

次号も、アフリカ関連の報道で気になったことをもう少し紹介しておく。今の新型コロナの「波」がおさまった後、「次の波」もまた、必ず海外から来る。(つづく)

(2020年4月29日)

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