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選ばれる理由をつくる

久々に見た東京タワー

2019年11月28日以来、実に4年ぶりの東京出張でした。

かつては展示会などで毎年のように東京へ行っていましたが、2020年4月の緊急事態宣言以降はオンラインへ軸足を移し、地元に居ながらにして全国から仕事を請けられる体制へとシフトしました。

環境の変化に伴って、Webの仕事はオンラインで完結できるようになり、東京へ行かなければならない理由は年々減っています。とはいえ、リアルイベントでセッションに参加したり、他の参加者と対面で話したりするという体験は、オンラインでは味わえない臨場感があって良いものです。

SWTTはどんなイベントだったか?

入口にあった看板

メインの目的は「Salesforce World Tour Tokyo」

「データ + AI + CRM + 信頼でこれからの時代をリードする企業へ」というキャッチコピーが示すように、本イベント全体を通してAI活用をキーワードにしたセッションが目立ちました。

データサイエンティスト協会が2023年9月にリリースした資料によると、一般ビジネスパーソン向けアンケートで「職場におけるAI導入率」を調査した結果、日本のAI導入率は13.3%だったそうです。

データサイエンティストをめぐる環境の違い 〈一般ビジネスパーソン調査の日米比較〉より引用

つまりまだ1割強しか活用していないわけで、これが「データ + AI + CRM」利用となると、実践している企業の割合は更に少なくなるでしょう。

そういった現状であるがゆえに、「こういう風にAIを活用しています」という事例を交えながら「生成AIをビジネス活用しましょう」と啓蒙するようなセッションが多い印象を受けました。

一部のセッションはアーカイブが公開されるようです。

Salesforceのユニークなところは、サービスを売って終わりではなく、ユーザーに勉強や交流の機会を提供して、成果が出るまで伴走することに意欲的であるところです。わたしたちのような制作会社も、こういう姿勢で価値提供できるようになれたら素晴らしいなと思います。

4年ぶりの東京散策(主に本屋巡り)

せっかくなので、イベント以外の場所にも足を運ぶことにしました。

まずは、以前の投稿でも登場した誠品生活日本橋。目標どおり年内に行くことができました。

誠品生活は台湾の大型書店チェーンである誠品(Eslite)が運営するショッピングセンターで、書店をメインに生活雑貨やカフェ、そしてものづくりスペースが融合したリビングプロジェクトという空間づくりが特色です。

店内の様子(公式サイトより引用

日本橋の誠品生活にもDIY体験ができるブースが設けられていて、ガラス工芸や彫金や染物など、オリジナル商品を自作することができるというコンセプトが踏襲されていました。

本のセレクトもユニークで、台湾に関する本が多いのはもちろんのこと、デザインや建築などクリエイティブに関する書籍が多いのが印象的でした。

山口出身・台湾在住のライター栖来ひかりさんの書籍を発見

台湾で訪れた「誠品生活松菸店」と比べると小規模ではあるものの、店内の本を座って読める場所が多く用意されていて、ゆったりとした居心地の良い空間でした。

4年ぶりの東京散策(本屋巡りのつづき)

続いて、GINZA SIXという商業施設にある銀座 蔦屋書店

店内の様子(公式サイトより引用

銀座 蔦屋書店は「アートのある暮らし」をコンセプトに、本を介してアートと日本文化と暮らしをつなぐ書店を中心とした複合施設です。

伝統的な工芸品から現代アートまで幅広く展示されており、ギャラリーやカフェも併設されています。どことなく誠品生活と似ていますね。

高さ6mの書棚に囲まれたイベントスペース(公式サイトより引用

それもそのはず、蔦屋書店を運営するCCCは誠品生活を店舗づくりの参考にしており、銀座店も例外ではありません。本をはじめさまざまな商品を取り扱い、店内で有意義な時間を過せるようにという提案は、まさしく誠品書店の「ヒューマニティー・アート・クリエイティブ・ライフ」がルーツです。

あえて2つの店舗を比較すると、誠品生活は商品が雑多でDIY要素が強く、ユーザーがより能動的に利用することができる空間という印象でした。

対する蔦屋書店は、棚の配置や本の並びが入り組んだ構造になっていて、ドン・キホーテ的な回遊と偶発的発見を楽しむことができました。

選ばれる理由はなんなのか?

出版市場の縮小が止まらず、書店の消滅に歯止めが掛からないと言われています。そんななか、大型書店は体験価値の提供を重視して、カルチャーセンターテーマパークのような業態へと変化しています。

書店に限らずあらゆる商業施設や店舗が、そのような存在になっていくのかもしれません。オンラインで何でも購入できる時代において、モノを買うという目的でリアル店舗に足を運ぶ理由は年々減っています。

丸一日かけて色々な店舗を巡りましたが、買ったのは移動中に読みたい新書2冊と、ネット販売されていないDVD一枚だけでした。ほとんどのものは、あえて今ここで買うべき理由が見出せませんでした

インフレや金利上昇で消費の低迷が続くなかで、今後はオンライン・オフラインに関わらず、買うべき理由が見出せないモノやサービスは、更に売るのが難しくなるのではないでしょうか。

良いモノを作れば売れるという時代ではありません。モノが良いのは当たり前で、それに加えて買うべき理由が明確でなければ、ユーザーに選ばれることはないでしょう。

自社の存在意義を明確にするパーパスを重視する企業が増えています。社会に貢献する企業はユーザーの共感を呼び、信頼され、その企業の提供する商品・サービスを選ぶ理由に繋がります。

わたしたちの商品・サービスを選んでもらうために、社会とどのように関わり、どんな貢献ができるのか?改めて考えさせられた今回の出張でした。

では。


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