【散文詩】生理的に受け付けないと言われたら

キモいでもムカつくでも面と向かって言われたら凹む。陰口はなぜか迂回して届く。人の口に戸は立てられないは数少ない真実だ。

しかしそれでも届いていない膨大な悪口が言葉の廃棄物処理場に蓄積されていく。まあ、されているだろう。悪意は物理的存在以上に心身を損傷する。他愛の無い雑談のツマが漏洩したように薄汚く堆積する。

生理的不快さは暴力性を帯びているから被害者ではなく普遍的加害存在として忌避された烙印。

ねえ、ねえ。生理的に無理と言われたことがありますか。しかも一度ではなく、異なる人から複数回。

拒絶の反復が齎す影響は不存在を超える黒い穴だけど全てを呑み込むのなら「悪の権化」にでもなろうかと復讐に燃える悪となろうかと。

緘黙は言葉への対抗手段なのか。褒め言葉も言葉であるかぎりは抗う相手と化す。哀しき武具としての言葉の連なりに武装解除した全面的緘黙症。

優しさに裂ける皮膚が線維を剥き身にして緘黙に亀裂が疾走る。

無理無理。生理的に無理。全てが収斂して回帰する。