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【落語好きの諸般の事情】#12 落語家のマンガは余技か?副業か?問題

笑いの多い滑稽な落語をマンガチックと表現するように、落語とマンガにはそれなりに共通点がある。ひとことで表すと、登場人物の魅力やストーリー運びによって読者または観客を魅了する作品性が本分であるところ。落語には演者の話芸とライブ感、マンガには作者の画力と画面構成力が、それぞれ独自の技術として加味される。
こーゆーもっともらしく当たり前のことを回りくどく書くハッタリ、一度やってみたかった。もうしません。たぶん。

当今は芸能界、特に笑芸の世界ではマンガが達者な人がホントに増えた。余技として落語会のチラシとかプログラムの挿絵、CDのジャケット等描かれる方もいれば、媒体を介して定期的に作品を発表されている方もいて、立派に副業にしておられる方もいる。
マンガも描く落語家として一番有名なのは、現在名古屋を中心に活動する雷門獅篭さん。立川志加吾名義で雑誌連載した『風とマンダラ』他、マンガ家としての経歴を多数持つ。個性を重んじた立川流在籍時代の産物でもあるが、専門誌以外で落語家さんがマンガの連載を持ったのは唯一無二で、ここまでくると余技ではなく第二の本業だ。
実際にマンガ家として修業した経験を持つのが林家木久扇師。落語家になる前の1950年代に清水崑氏(河童のマンガで有名)に弟子入りして雑誌デビューもしており、現役の社団法人日本漫画家協会正会員でもある。もう一人、五代目柳家小さんの弟子で1960年代~70年代前半に新作落語で活躍した柳家つばめ師(1974年没)も清水崑門下で絵を学んだ時期があるという。

現役で似顔絵やイラストを描く人は、柳家喬太郎師や立川らく次さん(まもなく真打昇進)、柳家わさびさん、春風亭正太郎さん、柳家ほたるさん、大阪の桂文福師など数多く、私も全員は把握できていないが、その中で特筆すべきは大ベテラン・三笑亭笑三師。長らく浅草演芸ホールのプログラムの絵を担当され、今年の夏に林家たい平師(武蔵野美術大出身)にバトンタッチされた。演芸情報月刊誌「東京かわら版」の挿絵は現在も継続中である。
大阪では、五代目笑福亭松鶴師の孫で、豆落語家・笑福亭小つるとして高座に上がったのち、イラストレーターや著述家として活躍した和多田勝氏(1994年没)がいる。
あとそうだ。マンガでなく落語の方が余技の人もご紹介しておくと、現役のマンガ家・高信太郎氏はかつて春風亭柳昇師に入門して「春風亭蛾昇」の芸名をお持ちである。故人では赤塚不二夫氏と高井研一郎氏が立川流Bコース(外弟子)出身で、それぞれ「立川不二身」「立川雄之助」の芸名をお持ちだった。参考記録まで。

そんなわけで、マンガと落語の融合した展覧会「第五回 寄席描き展」は江東区・森下文化センターで好評開催中です。12月3日まで。入場無料につき皆様どうぞお越しくださいな。って我ながらジョイント下手だなー。


さて、ここから先は今回のオマケです。
過去に拙サイト「落語別館」の日記やブログで書いた、東京時代に足を運んだ寄席と落語会の観覧記。それにちらっと説明を加えてのリサイクル公開(一部本邦初公開もアリ)。12回目は、2004年の記録その2。

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