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【落語好きの諸般の事情】#02 ナイトキャップに誰を聴くか問題(後編)

就寝時のBGMとして聴く落語CDは誰がよいか?という問いかけをしたところで、前回は終了。今回はその続き。 

#02  ナイトキャップに誰を聴くか問題(後編)

人の考えは十人十色、百人百様であることを前提に、ここからはいちいち注釈を付けずに進行するけど、ナイトキャップに相応しい落語CDには条件がいくつかある。

<条件1>上方のハメモノ(お囃子)入りの落語は意外と入眠の邪魔にならない。ただ上方落語に慣れてない人には不向きかも。

<条件2>ライブ録音よりもスタジオ録音がよい。具体的には、前回挙げた笑福亭松鶴師の『上方はなし』や三遊亭円生師の『円生百席』など。演者との1対1感が強い方が入眠しやすい。

 <条件3>爆笑派やメッセージ派よりも熟練の話芸の達人がよい。話芸の達人の噺は、話すトーンとリズムが言葉の意味を超越してそのままBGMになる。具体的には古今亭志ん朝師とか三代目三遊亭金馬師とか。前記の二人も含む。

<条件4>噺の途中、声のトーンが激しく変わる高座は不向き。五代目柳家小さん師は普段50%くらいの声量からいきなり120%くらいの大声になることが演目によってはあって、それで時々目が覚めた。小さん師自身この声は「講談の張り扇の役目」と説明しているから、もともと客の目覚まし代わりなのでしょうね。

<条件5>噺の途中、アクシデントが発生する高座は不向き。桂米朝師はCDの中でも、噺の最中にはっきり分かる言い間違いを時々するため、聴きながらよく「あ」となった。これはナイトキャップに向かない。そのため米朝師のCDからナイトキャップを選ぶ際は演目を選ぶ必要があるという。声のトーンはとても入眠しやすいソフトボイスなんですがね。

<条件6>新作落語はストーリー展開が気になって寝ていられないので不向き。もっとも耳に馴染むほど古典化した新作はその限りではないけど。

あと、前回書いた噺の長さは、短くてもCDなら三本入るから結果的に長い噺と同じになってあまり関係ない。有線の落語専門チャンネルは延々流しっぱなしにできるが、さすがに一般的じゃないし。
個人的に過去最強だったのは、桂米朝師『地獄八景亡者戯』のスタジオ録音バージョン(言い間違いの無いテイク)。ただしレコードからMDにダビングした音しか持ってなくて、今聴けませんが。

さて、ここから先は今回のオマケです。
過去に拙サイト「落語別館」の日記やブログで書いた、東京時代に足を運んだ寄席と落語会の観覧記。それにちらっと説明を加えてのリサイクル公開(一部本邦初公開もアリ)。第2回は1998年7月の「新作落語大賞授賞式&上演ライブ」。予想通り前回は購読者がいませんでしたので、これからは心おきなく手前味噌の文章が書けます。ははは。

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