マガジン

  • 夢の話

  • 好きなバンドについて

最近の記事

  • 固定された記事

活動内容あれこれ

マネジメント 水無月ふすま https://twitter.com/6kono15?s=21 楽曲制作 YouTube https://www.youtube.com/channel/UCK5lpzlo-qi0ZYZBLnTWsrw SoundCloud https://soundcloud.app.goo.gl/qKWx3VFAjKpp1yXX7 MV出演・制作 halfim https://youtube.com/channel/UCSCHzOieGsD8kQHKJn

    • 2021「逆さまになっても優しく」

       母親譲りのぎょろっとした三白眼の大きなこの目。幼い頃、友達から目つきが悪いと指摘されたことがきっかけでこの目をコンプレックスに感じるようになっていた。  陽だまりのように暖かく柔らかな目を持つあなたはそんなわたしの目を見つめるたび、指先で優しく撫でるかの様に「羨ましい」と高い温度を持った言葉でただただ愛でてくれた。微塵程度に小さく些細な出来事でしかないのだけれど、初めて何かを肯定してもらえたような喜びが遠くから湧き上がり、色を染める様にじんわりと滲んでいった。その感覚自体が

      • 果て、ハテ、はて?

         僕らは薄いガラス玉のような存在なんだと思う。本当に些細なことで傷がつき、その傷は薄れることはあれど消えることはない。だからと言って透かして光を乱反射するほどの美しさはなく、年を重ねるごとに色はくすみ、いつしか何も映らなくなる。そんな仕組みをつくったのは一体誰だったっけ?思い出せやしない。きっと、いや、間違いなく、その仕組みを作り望んだのは紛れもない僕らなのだろう。そう、愚かな僕らなのだ。  数年前、本当にこの世から姿を隠したかった時、一番に恐れていたことは「忘れられる」こ

        • もう、いらないのです。なにも。そう、なにも。だからお願い…

           わたしだって天才に憧れた。天才になれると思ってた。だってみんなと考え方も感じ方もずっと違っていたから。きっと特別なんだと思っていた。そうやって信じきっていた。  この世のくだらない事象全てがわたしを認めて、わたしがわたしを好きになれるその日が来ることを考えていたし、そうなると思っていた。いつかのまま愛され続けると思っていた。  けれど結末はどうだ?結末すら迎えられずにいるではないか。自分で敷いたくだらないレールの上を怯えながら渡り、脱線すれば自暴自棄になり、他者へ再生を望む

        • 固定された記事

        活動内容あれこれ

        マガジン

        • 夢の話
          11本
        • 好きなバンドについて
          2本

        記事

          しないしないしない

          カーン。カーン。カーン。キーン。  何処かから、工事現場の足場を作るためにハンマーで金属を叩くような甲高い音が頭の中に響いて仕方がない。うるさい、五月蝿い、煩い、うるさい。  ガヤガヤ、ガヤガヤ。コツコツ、コツコツ。  遠くの方から雑踏のようなざわめく声が雨雲かのようにゆっくりと近づいてくる。だめだ、飲まれちゃう、早く逃げなきゃ。どこへ?どこまで?どうして?なぜ?  カンカンカン。ガタンゴトン。ガタンゴトン。  踏切の音、減速することなく通り過ぎる電車。この場所はどこなのだ

          しないしないしない

          はるの報せ

           夜と朝の寒暖差、広すぎて狭すぎてどこにも行けないこの世界が靄に包まれ、真なる姿を人目から隠すその間際。  それはもうとても長い眠りの中、凍てつくほどに厳しい冬を乗り越えた生き物たちは、はち切れんばかりに大きく膨らんだ蕾に亀裂が入り、優美に花ひらく音を耳にした。氷がゆっくりと溶け出して体温を取り戻すかのように目覚めた彼らの鼓動は、つながり続けるこの地を伝って響いてゆき、彼らが大きく呼吸をすることで無色透明なこの大気をゆらしてゆく。  そんな些細な変化を、命たちの目覚めを感じ、

          はるの報せ

          真似ごと と 想像

           海岸線沿いの電車、ベビーカーに乗った赤子の泣き声、忙しなく歩く人々の群れ、喧嘩別れしそうなカップル、陽の当たるベンチで談笑する老夫婦、駅前で恵まれない子供たちへの募金を呼びかける得体の知れぬ団体。  私はごくありふれた日常のありふれた情景の中で、誰にも気づかれることなく、ましてや音を立てることもなく、静かに、ただ静かに、指先の方からゆっくりと解けてゆき、繊維よりも細かく柔らかなものとなった時、この世のありとあらゆる場所につながっていったのを強く感じた。  もうどれくらいの

          真似ごと と 想像

          「私たちだけは許してあげようね。」

           世の中に私たちの将来が保障されるための言葉が生まれて、人々がそれを理解するまでどれだけの時間がかかるのだろうか?10年後、20年後、私が死ぬまで、はたまた太陽の寿命が尽きてしまうまで。現実はどこまでも酷いもので、誰かを擁護するために生まれたその言葉は、利益のみを求める醜く貧弱な人間の餌食となり、まんまと利用されてしまった。そして、その陰で本質的な部分に縋りながら必死に生きている人々は、当たり前のように蹴落とされ、嘲笑う声に日々怯えて暮らしているという事実がこの世の中の表面上

          「私たちだけは許してあげようね。」

          私は一体誰と繋がっているのだろう

           とある博物館は、世界的にも有名な大戦の業火を生き延びたという歴史的な建造物で、今でも当時と変わらずに利用されている。その中に併設されている図書館は、ある女性が命をかけて守り抜いた産物だった。  穏やかな日差しが差し込む頃、私は博物館の中にある小さな図書館へ配属された。自己紹介の際に両腕を大きく広げ、 「わたしは命をかけてこの図書館を守ります!」 と大きな声で宣言し、強い責任感と共に溌溂とした態度で仕事への敬意を示した。自分の気持ちを汲み取ってくれたのか、施設の従業員はもち

          私は一体誰と繋がっているのだろう

          指を切ったら

           少し前に「cinema staff」(シネマスタッフ)というバンドについて書きましたが、今回は「österreich」(オストライヒ)というバンドについて書きたいと思います。いつにも増してさらに面白くない文章ですが、お許しください。  高校1年生の秋ごろ。cinema staffに出会う少し前のこと。当時よく聴いていたバンドのプロフィールを探っているとthe cabs(ザ キャブス)というバンドにたどり着いた。どんなバンドなのかとYouTubeにあるMVを興味本位でみて見

          指を切ったら

          あなたのこと、それから、わたしのこと

           ああ…右目を隠すための長い前髪がなくなってしまった。寂しさも弱さも物足りなさも餓えも今この瞬間に芽生える殺意も、鏡に映る私には見えないように、誰かの目に映る私には見えないように。そうやって隠すための卑怯な手段を選び続けたからか、ひどい喪失感が影を踏みここから動けなくなってしまった。  僕らがいる部屋には窓は一つもなく、あるのは外に繋がっているドアのみ。部屋の中は全くと言っていいほど手入れが行き届いておらず、常に少し埃っぽかった。そんな部屋の真ん中に置かれた食事をするための木

          あなたのこと、それから、わたしのこと

          悲しまないで

           山肌を埋めるかのように所狭しと生える草木、息を吸うたびに心地よい重みを感じるほどに空気は湿っていて、鳥の羽音や森の囁きや風にふかれ落ち葉が舞う音がこの空間を丸々飲み込んでしまったかのような崇高な場所。そんな場所にまるで世界から切り取られた逸れものようにポツンと古い一軒の家が立っている。僕はそこで生まれ育った。  僕の家族は姉ひとりで、父も母も物心ついた頃にはもうどこにいなかった。大部屋の日当たりの良い場所、そこにある小さな木製のテーブルの上には、一輪挿しの花瓶と季節の花、そ

          悲しまないで

          僕らが正しいと思っている先に醜態や未練などはないと言えるか?

           僕は平常なふりをした化け物であって、常々後ろ指を刺されながら、たくさんの見知らぬ目線に体を射抜かれて、たわいもなく訪れ続ける日々の中を人目のつかない程度の当たり前に似た何かを必死に繕い、その化けの皮をかぶりながら過ごしている。確かに、僕が日々感じている苦痛というものは君が言うように勘違いや思い違いや妄想のようなものなのではないかと何度も思っているが、どんなに理解を求めてもただ月日ばかりが流れ、僕の中には不純物そのものとして残り続けているし、君の目にはそれが病として映ることは

          僕らが正しいと思っている先に醜態や未練などはないと言えるか?

          week

           小さな丘の上にあるお城や宮殿のように大きな図書館。私はそこに向かってお誕生日に買ってもらった緑色の自転車を懸命に漕いでゆく。駐輪場へ自転車を止めて急いで図書館の大きな入り口へ向かうと、その手前で天真爛漫な双子の兄弟、物静かな女の子、眼鏡をかけた賢そうな男の子が私が来るのを待っていた。図書館の中には児童館や託児所のような施設が組み込まれており、私はそこへ通うひとりだった。私を待ってくれていたみんなに、 「遅くなってごめん。」 と声をかけながら合流し、仲良く揃って建物の中へと入

          擦り切れるまで!

           普段は散文的なものを並べていますが、今日は昔話を兼ねて私の好きなバンド「cinema staff」(シネマスタッフ)と出会うまでの過程を綴ります。  高校時代、毎週聴いているお気に入りのラジオがあった。ある日、番組内でパーソナリティの人が「次の曲、cinema staffでニトロ」と曲紹介をすると、とても泥臭いバンドサウンドが流れた。その頃の私は丁度、残響レコードに所属するアーティストの楽曲を聴き漁っている頃でcinema staffも残響レコード出身のバンドだったことも

          擦り切れるまで!

          アクター

           多分私はとても出来の悪い映画を飽きることなく何度も繰り返し見ているのだと思う。押し寄せるカタチのない演者の群衆は、律儀なシナリオには到底収まりきらず、生き地獄のような小さなこの場所でひしめき合い、蹴落とし合いながら、神が悪戯に振り分けて与える"役"を授かるために血眼になって縋ろうとしている。  私はその光景をかなり近しいどこかで何度もそれはもう呆れるほど見たことがある気がしていた。しかし、記憶を掘り起こし思い出そうとするたびに起きる持病の発作は、大事な記憶の部分を音を立てる

          アクター