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不法投棄との静かな闘い

 不法投棄は身近な犯罪です。ポイ捨てなんてポップな名前で呼ばれる程度のものから、粗大ゴミの放置、果てはゴミが文字通り山のように積まれる悪質なものまで、今日もどこかで何かが不法に投棄されているんです。さすがに捨てる瞬間を目撃するのは難しいですが、ちょっと意識して近所を見渡せば不法投棄されたものが簡単に見つかりますし、ネットで軽く検索すればヤバい不法投棄がいくらでも出てきます。

 いやもう本当に、誰の仕業か知りませんが、結構びっくりするものが捨てられてるんです。住宅地を流れる小川にチャイルドシートが捨てられているのを見かけたことがありますし、某大型スーパーの隣の道に子供用ブランコが丸々捨てられているのを見たこともあります。しかもブランコはふたりで向かい合って座るタイプの、結構でかいやつです。最初は「あれ、ここ公園だったっけ」と思いそうになりましたよ。思いはしませんでしたけど。

 以前にnoteで書いたと思うんですが、テレビとビデオデッキがセットで捨てられていたのを見つけた時もありました。でも、近づいて見るとビデオデッキはビデオデッキだったんですが、テレビだと思っていたものが電子レンジでした。どこの人が誰に向けてそんな大喜利みたいな捨て方をしますか。私、すっかり騙されてしまいました。

 他にもネットで調べてみると、自動車が空き地へ勝手に捨てられていたり、大量のゴミ箱がゴミとして投棄されていたりと、世の不法投棄はなかなか想像を絶します。キチンと手順を踏んでものを捨てるのは手間ですし時にはお金もかかる。そうなると、人目のつかない場所にポイとしたほうが楽だと考える者がどうしても出てくるのでしょう。

 当然ながら、不法投棄の対策をする方もいらっしゃいます。防犯カメラの設置や定期的な見回り、不法投棄を禁じる看板の設置など、これまた注意して近所を散策するといくらでも見かけることができます。

 ところで、私のジョギングコースにはとにかく犬の糞が定期的に設置される場所があります。住宅地の端に位置しており、確かに人目にはつきづらい場所ではあるんですが、民家まで数メートルの場所でもあり、車も人も普通に通る道です。というか、そもそも飼い主は何してんだという話です。

 あまりに頻繁に設置されてるためか、とうとう地元自治体が動きました。糞の設置場所に不法投棄をやめるよう書かれた三角コーンが置かれたんです。

 とは言え、私は思いました。犬の糞の不始末でも自治体が出てくるのは、ちょっとだけやりすぎじゃないかなと。確かに、見た目は不快ですし、完全なマナー違反ですが、犬の糞を不法投棄と言って役所が動くのは少しオーバーに思えたんです。

 ただ、三角コーンが置かれてからと言うもの、犬の糞の設置がなくなったんです。効果があったんですね。ちょっとやりすぎかなと思った私ですが、別に設置された糞を見たいわけでなし。まあよかったのかなと思いながら、私はジョギングを続けました。

 それから1週間後のことです。私は気づきました。三角コーン周辺の設置は確かになくなったんですが、それから更に数メートル離れた場所に設置されているのを見つけてしまったんです。飼い主、三角コーン程度では設置をやめる気がないようです。

 私、「もう自治体動いちゃえ」と思いました。我ながら勝手なもんです。今では三角コーンのそばに設置するようになってしまいました。自治体や近所の住民は更なる対策を取るのか、はたまたしばらく様子見をするのか。不法投棄を巡る静かな闘いは、住宅地の外れで今も続いています。

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