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搬入口のターニングポイント

 最寄り駅までの道は基本狭く、車両一方通行のところも結構あります。そんな場所に複合商業施設が建っていまして、商業施設ですから当然ながら商品の搬入口がある。商品やその原材料を運ぶトラックがその搬入口まで来て荷を下ろすわけですね。そして、搬入口に入った商品がバックヤードを通ってお店に並ぶ。

 狭い場所に建つ商業施設の搬入口はその環境のため小さなものひとつしかなく、車の方向転換がムズイ立地のせいか、床には丸いターンテーブルが設置されていました。搬入口に向かって入り、ターンテーブルで方向転換させた後、荷台から商品を搬入口へ運ぶという手筈なわけですね。

 そして、ターンテーブルに車が乗ると、搬入口の上に「満」という字が光るようになっていました。駐車場によくあるやつですね。「いま満車だから搬入するのはちょっと待ってね」という表示なのでしょう。更に警備員が1~2人常駐しています。まさに至れり尽くせり、鉄壁の布陣です。

 そんなある日も、その店の搬入口のそばを歩いていたのですが、搬入口に車が止まっていないにも関わらず、「満」の字が光ってたんです。何だろうと思って「満」の字を見てるとパッと消える。時には一瞬だけ「満」の字が光ってはすぐ消える、という時もありました。

 通勤のたびにチラ見しまくった結果、理由が分かりました。「満」の字はターンテーブルに車が乗ると光る仕組みになっているのですが、どういうわけか警備員がターンテーブルに乗っても反応して「満」の字が光るようなのです。設定なのか仕様なのかは知りませんが、とにかく警備員がうっかりターンテーブルに乗ると車が停まってなくても満車になる仕組みとなっている。

 この搬入口は今後、ふたつのターニングポイントがあります。ひとつ目は警備員がターンテーブルと光る「満」の字との関係性に気づくかどうか。ふたつ目は警備員がお調子者かどうかです。それによって、警備員がターンテーブルを踏みまくって、「満」の字を点滅させる遊びを思いつくかどうかが決まってきます。

 というか、私がやってみたいだけですね。一瞬だけ転職も考えました。

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