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知識の活性化

単語集と文法問題集を用いた小テストに否定的な意見が多いようです。それでも学習習慣がほとんどなかった人に、小テストというゲームに参加することで曲がりなりにも習慣形成ができるのであれば、入門者向けのエデュテイメントとしては一定の役割を果たしているのかもしれません。

一方で、小テストをモチベーションに単語集や問題集に取り組む場合は、知識が身についたとしても、断片的なものになりがちです。この断片的な知識を活性化する学習が必要になるわけです。一部の塾や予備校では、英文和訳・和文英訳をカリキュラムの中心に据えた講座があります。これは、バラバラに身についている知識を確認し、活性化していくことをねらいとしたものです。

ここで問題なのは、講義形式の授業の場合は予習をしていないと、この活性化の効果が得られないということです。予習なしに講義を聴くと、既知の知識にしか見えないことに時間を割いていることに違和感しか湧いてこない、ということにもなりかねません。そして、このことが「基礎が身についている」という錯覚をもたらしてしまうのです。

「逆転合格」というのは、多くの場合、自覚的低学力層が無自覚的低学力層より優位に立っただけであることが多いようです。後者は共テ模試などでたまたま高得点がたたき出せると、それが自分の実力と思いがちです。しかも知識の活性化は手を動かす学習によって実現することが多く、タイパ重視の受験生の多くが避けたいところとなっていることが、状況をさらに深刻にしています。

そして、この記事をお読みの方の大半は、自分の学習状況を客観的に把握できているでしょうから、本当に危機感を持つべき人には届かないというもどかしさもあるわけです。

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