ダニエル・ピンク「モチベーション3.0」感想

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ダニエル・ピンク氏の「モチベーション3.0」について私が気になったところや自分なりに噛み砕いた内容と感想を紹介します。

50点/100点満点

※ビジネス書は役に立つ役に立たないは自分に合う合わないもあるし、置かれている状況にもよるので一概に内容の良し悪しを評しているわけではありません。

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モチベーション3.0とは?

モチベーション(動機)は3つに分けられる
1 生存欲求
2 アメとムチつまり報酬のために行動する
3 自律的、積極的、自発的行動


上記のように区分されており、モチベーション3.0は3番目の「自律的、積極的、自発的行動」のことだ。

1.0の生存欲求は動かないと死ぬとかなので基本的に環境や状況等に誘発されるものでコントロールは難しいためこの本では最低限度の話しかでない。

2.0はアメとムチでコントロールするため、自分から考えて自走していくような高いモチベーションがないとできないことには向いていない。やらされてる感が拭えない状態のこと。産業革命の時代から単純な労働力として人を使うためにはとても良い動機だったが今のクリエイティブな時代では欠陥が顕著になり始めている。

3.0は「自律的、積極的、自発的行動」にモチベーションが生まれるため困難な問題やクリエイティブな意欲を持って望まないと良い結果が生まれにくい物事にも望むことができるモチベーションを生むことができる。

この著書で多く語られることは2.0の問題点と3.0への移行への勧めというか3.0の発生をコントロールする方法である

具体的な2.0と3.0の違い

この本はどちらかというと3.0にこういう事をしたら2.0になっちゃうよというような話が多い

例えばイギリスのお金持ちが毎年夏に荒れた山道を馬車で走らせるという趣味を恒例にしている。
この趣味は馬車もいるし馬もいるし体力もそれなりに必要だが毎年楽しみにしている行事だ。
しかしこの金持ちに給料をあげるから毎年ここの山で馬車を走らせてと言うとおそらくこの金持ちは馬車を走らせなくなるだろう遊びが仕事に変わってしまった瞬間だ。

他にもとある保育園で規定の時間内に迎えに来てくれない保護者がいたために実験として時間内に迎えに来てくれないと1回毎に罰金を請求しますと張り紙をしたところ。
なんと迎えの時間に遅刻する保護者が増加したそうだ。
今までは善意として時間内に迎えに行くとしていた保護者がお金で解決できるから時間内に迎えにいかなくていいやとなってしまったのだ。

このように善意や興味などから自発的に行動を誘発するモチベーションは3.0で賞罰を与えてそのように行動を促すモチベーションは2.0であり、3.0から2.0に落としてしまうと結果的にその物事に関心や協力が失われてしまうという。

人は損得での自分の行動をコントロールされてしまうと仮にその指示の内容に従ったとしても本心的なモチベーション(やる気)というものは失われてしまう。

モチベーション3.0を2.0にしない為に気をつけること

行動に交換条件的な報酬を掲示しない
→「これやったらお小遣いあげるよ~的な」
やり方や時間、チームなど方法を指定してしまう
→手段を指定してしまうことで自律性が失われやらされてる感が強くなる。自律性を尊重することで内的意欲が発生する。


上記のふたつを守らないと2のやる気に切り替わってしまうとのこと。

モチベーション3.0についての感想

この著書の書いている内容は概ね正しいと思うが実際に会社や個人の立ち振舞として活用するにはいささか具体性と現実性に欠けている。

例えば昨今のテレワークが各所で導入されており、働き方はどんどん個人に合わせて自由になっていく。

これはこのモチベーション3.0としては非常に良い傾向だと思うが必ずこの自由裁量的な働き方で怠ける人間も必ず出てくる本人にその意志が無くても自分を律することのできない、支配されないと楽な環境に身をおいてしまう人間は必ずいるしどんな優秀な人間でも全くその傾向がないとは思えない。

例えば著書で紹介された実験の中で3グループの子供に絵を描かせて
1のグループには事前に絵を描いたら賞状をあげると伝え
2のグループには何も伝えず絵を描いたら症状をサプライズ的にあげる
3のグループには何も伝えず絵を描いても症状はあげない

この実験後に再び絵を描くチャンスを子どもたちに与えた時に積極的に絵を描いたのは2と3のグループで
1グループは絵に対しての関心意欲が低くなってしまったという。

これは少ない実施回数での結果としては間違っていないだろうが、仮に30回絵を描くチャンスを与えたら
おそらく2のグループも3のグループも飽きて絵を描くことに意欲が低くなっているだろう。

つまりモチベーション3.0は現実においての仕事や学習、努力などにおける長期的なビジョンが欠けていると思う。
さらに自律性つまり自由という概念にやる気を任せると必ず不発が起きる。

社会的に求められるのはサイコロのように時と場合において出る結果ではなく常に求められた水準の結果を出す人間だと思う。

そういう意味でこのモチベーション3.0の自発的動機づけはまだ汎用性がない技術である。

あとこれは本としての感想だが、正直言いたいこと事態はわりとシンプルなものなのに昔の人の経歴とか実験の話とか専門用語とかが多くて長いので読みにくい。

はっきり言って少ない内容をありとあらゆる実験結果を列挙して紹介しているだけのだめ冗長に感じる。


ブックオフで500円(ビジネス書の中古としては安め?)だったのであまり人気の本ではないのかな?とは思っていたけど内容と読むのにかかった時間で考えると少し損した気分になった。


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