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火をおこす体験で得られること:親子で防災 〜五感を研ぎ澄まして命を守る〜

台東区生涯学習課主催ラーニングスクエア「親子で防災 〜五感を研ぎ澄まして命を守る〜」5回連続講座の3回目は、防災広場のかまどを使った火おこし体験でした。
過去の講座についてはこちら↓からどうぞ。

第1回 視覚と聴覚で危険を探す

第2回 防災食を味わう

 
第3回は、触覚と嗅覚をテーマに避難を想定した屋外での活動を行いました。

台東区初音の森防災広場には、普段はベンチとして使われていますが非常時にはかまどになるかまどベンチが設置されています。

ちょっとわかりにくいですが、このかまどの上に座面となる木のベンチが乗っています。
手前の枝や枯れ葉は公園内で探して集めたものです。

まずは、参加者の皆さんに前回までの講座内容の振り返り、視覚、聴覚、味覚を使って学んできた事を確認しました。

今回は残りの触覚と嗅覚をどのように使うか、説明します。
触覚とは、触れて感じる感覚のこと。嗅覚とは匂いを感じる感覚のこと。

火をおこす道具、燃料となる枯れ葉や枯れ枝、焚き火の火に手をかざして得られる暖かさ、熱さを感じ、木が焦げた匂い、何かが燃えている時の匂いを体験をしました。

火をおこす道具は、火おこし器、火打ち石、マッチ、ライターをご用意して、それぞれどのように火をおこすのか実際に使って頂きました。

火おこし器は、湿度が高いと着火がかなり難しく、煙が出るまででも大変でした。
煙が出るくらいまで摩擦熱が発生すると、木が焦げ始めるので、木の焦げる匂いを嗅いでもらいました。

火打ち石も、火花を飛ばすまでは出来ても、その火花を実際に種火にするには、火花の飛ばし方や飛ばした火花を受けるマグネシウム粉末やおがくずや糸くずなどの燃えやすいものがある程度必要で、なかなか着火には至りませんでした。

マッチは簡単に火がつきました。
大人でも最近はマッチを使う機会が減っていますね。マッチを初めて見た子ばかりでしたが、上手に火をつけていました。

ライターは、大人には簡単につけられますが、実は小さな子供には簡単につけられない仕組みになっています。子供達も苦戦していてつけられなかったので、みんなマッチを使いたがりました。

道具の使い方を学んだら、焚き火にします。
公園内で燃えそうなものを探して来て、かまどに入れてからマッチで火をつけます。

まだ青い葉っぱや、厚みがあって乾ききっていない葉や枝はなかなか燃えません。
身の回りにある燃えやすいものと燃えにくいものを知っておくことも大切です。
別に用意しておいた端材を薪代わりに使い、白い煙が出たり、黒い煤が出たりしますので、都度なぜ白い煙が出るのか、煤が出る時と出ない時の違いなど説明しながら、焚き火を楽しんで頂きました。

煙が出れば匂いもありますので、何かが燃えている時には匂いがある事もお話しして、木が燃えている時の匂いも覚えておくように伝えました。
台東区はお寺などの古い木造建築が多く、万が一火事などに遭遇することがあれば、匂いで危険を察知することも出来るからです。

種火から焚き火を起こし、火を大きくしたり、小さくしたりコントロールする方法と、火を保つことの大変さを体験してもらえたと思います。

焚き火が安定する頃には、暖かかった空気も冷んやりと冷たくなってきたので、焚き火でお湯を沸かして温かいお茶を淹れ、おやつタイム。
割り箸にマシュマロを刺して焼きマシュマロを作って召し上がって頂きました。

なんてことない普通のマシュマロも、苦労して作った焚き火で焼いて、外で食べると格別な味になりますね。

少し寒くなって来たので、防災グッズに必ず入っているアルミブランケットが実際にどのくらい防寒、保温効果があるのか試して頂きました。

皆さんアルミブランケット自体は見たこともあるし、備蓄品としてご用意があるそうですが、実際に使ってみたのは初めてだったそうです。「意外とあったかい」「思ったよりちゃんと寒くない」などのコメント通り、知っていても体験してみないとわからない事はたくさんありますね。

最後に、今日体験したこと、火は危険なので遊んではいけないこと、次回のご案内をして終了しました。残り2回は遊心の峯岸先生が担当して下さり、同じ防災広場で野外活動を行います。

今回は区が主催の講座なので、このように防災設備として設置されたかまどを使うことが出来ましたが、普段から利用している近隣住民の皆さんからは「かまどになるのを知らなかった」「使っているところを初めて見た」とのお声がありました。

区や町会の活動意外では、かまどの使用が許可されないので、皆さんがご存じないのも当然かと思います。区の防災活動や広報がまだまだ足りないなど問題も多いようですし、火おこし体験の出来る場所が圧倒的に少ないので、私有地意外でこう言った体験の出来る場所がとても貴重になっています。

今回実際に防災かまどを使ってみたことで、(レンチなどの工具が必要など)緊急時に速やかに使える状態ではない事や、たとえ公益性があっても民間団体には使用出来ない事などが分かったので、改善を提案していきたいと思います。

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!