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若鮎という名のお菓子。お菓子に鮎ってなんなん?

若鮎と聞いて、泳ぐ鮎ではなく、お菓子屋産の鮎を想像したあなたは立派なお菓子ヲタクです。

早い所で5月〜和菓子屋さんの店頭に並ぶお魚型のお菓子。多分、初見ではそそられない形です。ネーミングにも鮎の文字。
予備情報がないとハテナだらけになりそうなお菓子なのに、Twitterで聞いたら、メンズの好き率が高い。これは由来とフォルムが関係しているのか?ということで、今回は和菓子の「若鮎」についてのお話です。


1.お菓子に鮎って、どゆこと?

そもそも、このお菓子の元の姿は、調布というお菓子です。
薄く焼いたカステラ生地で求肥(甘いお餅)やあんこを挟んだもの。ネーミングは、なかなか難しい解説だったので、ざっくり説明します。
税金がお米やら布やらだった頃の、税の名が「調」で、製品名が「布」で、「調」を収める時の「布」の形に似ていたから、「調布」です。みやびですね。(白目)

詳しく知りたい方はこちらで。学校で習ってるらしいのですが、たまたま私の教科書にはなかったのかもしれないです。

で、お菓子自体は、江戸時代後期に、岡山県の和菓子職人「間野与平」という方が考案したとな。歴史ある和菓子ですね。置いてある和菓子屋さんは多くないかもですが、1年通してあります。

対して、若鮎は6月の鮎漁の解禁にちなんだお菓子で、お店によりますが5-7月限定の初夏のお菓子。これまた発祥があるのですが、色々いわれていて定かではない。けれど、鮎がとれる地域の、京都か愛知か岐阜かって言われています。

そんな地域の方々が、鮎を愛するあまり、お菓子にしちゃいました。鮎愛爆発‼︎だったら面白いですね。和菓子にお魚モチーフは多くないので(代表的なものは鯛焼きでしょうか)、形にしたい位、鮎が特別なものだったり、神聖なものだったのかなとも思います。

中身は調布と同じなものが多いですが、地域やお店によってそうとも限らないのでややこしいですが、基本は焼いた生地で、お餅包んでます。
そしてそれを、鮎っぽくすれば若鮎のできあがり!ちなみに、呼び名も様々で、若鮎や、鮎調布や、登り鮎や、稚鮎や、色々ございます。結構自由ですね。


2.若鮎作りは熱さとの戦い。地味な見た目に隠された職人の汗と涙の結晶。

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画像引用元
関ヶ原松野屋 若鮎

若鮎作りを経験した時、熱すぎて泣けました。

まず、平鍋という銅製の平な鉄板に、生地を同じ厚さで長すのが激ムズです。

そして冷めると固まっちゃうので、灼熱の鉄板の上で、生地にお餅を置いて、ペロっとたたんで、生地同士をぎゅっと押しつけて、熱々を手に持って尾を作って。

砂糖を含んでいるものは、熱をたくさん持ってくれるので、生地に触ると痛いくらい熱いです。

さらに熱した焼きごてで、顔や尾ひれの模様をつけるのですが、これまた至難の技。同じ位置に同じ濃さでつけないと、違うお顔に。こちらは顔の部分の焼きごて。尾ひれもあるし、1本のこてで、全部やってしまう所も。

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画像引用元
馬嶋屋菓子道具店 焼きごて

そんな手のかかる若鮎ですが、茶色いしお店に並んでも地味。しかも鮎って。見た目からも、味の想像が難しいですよね。

これが、実は、しみじみと美味しいお菓子でして。材料は非常にシンプルですが、小麦と卵ともち米の風味が、びっくりするくらいに合います。間野与平さんは天才です。メンズ人気は、お菓子には珍しい見た目のかっこ良さや、釣りされるなど、お魚や鮎にちょっと親しみがある?からなのかな?なんて思いました。

推し(鮎)への愛がつのりすぎて、お菓子にしちゃったんだな。そんな感じで若鮎を見つけたら、一度お試しあれです。鮎さんと出会えるのは今だけなので。


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