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デコる

昔から、「デコる」が苦手だった。

中学生のころ、私の周りでは無印のノートの表紙を可愛くデコるのが流行っていた。
同じ部活の友人はすごく上手で、すごく可愛いノートを作っていた。
それに憧れて私もやってみるのだが、どうやったら可愛くコラージュしたりイラストを描いたり出来るのか、皆目見当もつかなかった。
その頃からオタクだったから絵を描いてはいたのだが、このノートデコに必要なのはオタク的なイラストではない。
言葉にするのは難しいのだが、垢抜けた、ギャルっぽいイラストだったのだ。
コラージュも出来なければ絵も描けない。
自分の圧倒的なセンスのなさを痛感し、せっかく作ったノートは日の目を浴びることはなく、家の中だけでひっそりと使われていった。

思えば、ギャル文字も習得できなかった。
あの頃の流行りは丸くて、適度に崩した感じだった気がする。
私だって可愛い文字を書きたいと思ったわけだが、これも全く上手くいかず撃沈した。
諦めて丁寧で最低限読める字を書くことにシフトしたわけだが、大人になった今ではまぁそれは英断だったかなと思う。

私はずっと、どこかに自分で自分の可愛いと思えるものを生み出すことに憧れがある気がする。
でもこうやって自分の思う「可愛い」に自分の技量が追いつかなくて、その度に悲しくなってしまった。
結局それの悲しみを感じても続けられたのは、お絵描きだけだったのかもしれない。
奇跡的な話だ。

なんでこんなことを思い出したのかと言えば、Twitterで見てる人が凄く素敵な手帳デコをしているからだ。
Twitterやインスタ・YouTubeには、本当に素敵な手帳デコが溢れてる。
それに憧れてやってみたい気持ちになる。
でもそんな私の手を、中学生の私が手を引いて止めるのだ。
やめときな。ただでさえ同人誌の表紙に毎回泣いてるんだぞ、と。
懸命な制止だ。
それでもやっぱり可愛いものを自分の手で産み出したいという憧れは捨てきれないから、多分近いうちに買っちゃうんだろうなと思う。

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