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さしこむように「好き」と思えり

好きな人とごはんに行った。

このあたりで少し有名な洋食屋さんで、ハンバーグがおいしいらしい。
メインの料理はふたりで半分こして食べるように、ハンバーグとグラタンにした。それにオードブルとデザートのセットをつけた。

私は、外食のときに料理を分けっこするように頼むのが好きで、そうやって一緒に分けっこしてくれる人も好き。当たり前のようにデザートの話をしてくる人はもっと好きだ。こんな風だから、メニューを決める段階でときめいていて、きっと私の好きはダダもれだったと思う。笑

お料理は全部おいしかった。白いマスタードソースのかかったハンバーグは聞いていた通りおいしかった。でもそれ以上に、オードブルのキッシュがお気に入りだった。ひと口食べた瞬間、ふたりで目を丸くして「おいしい!」と言い合ったあと、好きな人がお皿を少し持ち上げて、キッシュを前後から観察しはじめた。まるで茶道で茶器を拝見するような動作で。笑

その姿を見て、ふと、「好き」だと思った。

シャンプーを選ぶ横顔見ておれば、さしこむように「好き」と思えり

これは私の好きな俵万智さんの短歌。本当にこの通りだなと思う。好きって何気ないふとした瞬間に感じたりする。そう、さしこむように。
短歌ってすごい。この31字だけで、私はあの瞬間の感情とふたりの間を流れる空気を思い出して、あの場面にトリップできるような気がする。

そういえば、撮った写真を見返していたら、いつもと同じフィルターで撮ったのに、いつもよりもあたたかくてふわふわしているような気がして、まるで、あの時の私の気持ちまで閉じ込めたみたいだった。

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ほら、そんな感じがするでしょ?

また会えるといいな

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